2010年05月の記事一覧

チェス布局の指し方[14]

第2章 ポーンの重要性

2.1 ポーンの弱点(続き)

 本節の初めに述べたように防御における弱点は外形に現れるポーンの弱点が唯一の種類というわけではない。図22のわざと作った局面を考えてみよう。

 図22

 これは単純なキング+ポーン収局である。戦力は互角だがポーンの形は均等でない。黒はキング翼で3対2で優勢だが白はクイーン翼で同じような態勢になっている。この局面の唯一の違いは白の二重bポーンである。ほとんど違わないと思うかもしれない。しかしこの局面がマスターの試合に現れたら白の選手のほとんどは状況が絶望的だとしてためらうことなく投了するだろう。白の負けは何によるのだろうか。白のポーンはどれも防御するのに弱いというわけではない。それらはすべて黒のポーンと同じく簡単に守ることができる。しかし二重bポーンのために白のクイーン翼のポーンは攻撃力が非常に弱い。黒はキング翼の多数派ポーンを突き進めてすぐにパスポーンを作ることができる。しかし白は正確に応じられるとクイーン翼の多数派ポーンからパスポーンを作ることがどうしてもできない。

(この章続く)

2010年05月31日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェス世界選手権争奪史(229)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 世界選手権戦は1969年4月14日からモスクワのエストラーダ劇場で始まった。待望の番勝負にもかかわらずスパスキーは初戦でつまづいた。劣勢の収局で互角にするために奮闘して次の局面に到達した。

ここで 52.Ke3 Na4 53.Rh4 Nc3 54.Rb4 なら引き分けだったかもしれない。代わりにスパスキーは 52.Rh6+ と余計なチェックをかけ次のように負けた。52…Ke5 53.Rb6 Na4 54.Re6+ Kd4 55.Re4+ Kc5 56.Rxa4 Ra1 黒投了

(この章続く)>

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チェス世界選手権争奪史(228)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 決勝戦のスパスキー対コルチノイは9月6日からキエフで始まった。どちらが勝つかの衆評は入り乱れていた。スパスキーがラルセンに危なげなく勝ったのでスパスキーがわずかに有利とする者が多かった。しかしコルチノイの長いチェスの経歴にはむらがありどんな予想も当てにならなかった。第1局は穏やかな引き分けだったが第2局はコルチノイが時間に追われてポカを指しスパスキーが勝った。第3局はコルチノイがずっと主導権を維持していたが引き分けに終わった。第4局はスパスキーがまた黒番で勝ち2点リードした。第5局は引き分けだったが第6局はスパスキーが後半での不注意な手で、今回の挑戦決定競技会で一番の会心局にできたのをふいにしコルチノイが勝った。明らかに第7局が山場だった。コルチノイがスパスキーの第6局の敗戦の落胆につけ込んで第7局で互角の成績に戻せるだろうか。まさしくこの種の不運な負けから立ち直ることができないことがスパスキーの長年の最大の欠点となっていた。

キング翼インディアン防御
白 スパスキー
黒 コルチノイ

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 Bg7 4.e4 d6 5.f3 O-O 6.Be3 Nc6 7.Nge2 a6 8.Nc1 e5

9.d5 Nd4 10.Nb3 Nxb3 11.Qxb3 c5 12.dxc6e.p. bxc6 13.O-O-O

13…Be6(13…Qe7! 14.c5? d5! 15.exd5 cxd5 16.Nxd5 Nxd5 17.Qxd5 Rb8 =/+

または 13…Qe7! 14.Qb6 Bb7!)14.Qa3

14…Ne8(14…d5 15.cxd5 cxd5 16.exd5 Nxd5 17.Bc4 Rc8 18.Bxd5 Bxd5 19.Kb1 +/-

15.h4! f6?

16.c5! Rf7 17.Qa4 Qc7 18.Bc4 Bxc4 19.Qxc4 Bf8

20.h5! dxc5 21.hxg6 hxg6 22.Qe6

22…Rd8(22…Nd6 23.Bxc5 Nb5 24.Bxf8 Raxf8 25.Rh6 +/-

23.Rxd8 Qxd8 24.Rd1(24.Qxc6!)24…Qe7 25.Qxc6 Nc7 26.Qb6 Kg7 27.Nd5 Qe6

28.Bxc5 Bxc5 29.Qxc5 Nb5 30.Qe3 Qc6+ 31.Kb1 Nd4 32.Rc1 Qb5 33.Nc7 Qe2 34.Ne6+ Kh7 35.Qh6+ 黒投了

 スパスキーは次局にも勝ち2引き分けが続いて6½-3½でスパスキーが番勝負を制した。またしてもスパスキーがペトロシアンへの挑戦者になり、またしても世界のチェス愛好家の大多数の期待はスパスキーの方にあった。

(この章続く)

2010年05月30日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェス世界選手権争奪史(227)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 一方7月5日からスウェーデンのマルメで始まったラルセン対スパスキー戦は大接戦が予想されていた。しかし実際はスパスキーがのっけから3連勝し5½-2½で番勝負に勝った。第4局は引き分けで第5局はラルセンが勝ったが第6局の引き分けの後スパスキーが第7局に勝ち第8局を引き分けて挑戦者決定戦に進んだ。第3局が彼の一番の秀局だった。

シチリア防御
白 スパスキー
黒 ラルセン

1.e4 c5 2.Nc3 d6 3.g3 g6 4.Bg2 Bg7 5.d3 Nc6

6.f4 e6 7.Nf3 Nge7 8.O-O O-O 9.Bd2 Rb8 10.Rb1 b5

11.a3 a5 12.a4 b4 13.Nb5 d5 14.c4 bxc3e.p. 15.bxc3 c4

16.Be3 cxd3 17.e5 Ba6 18.Qxd3 Qd7 19.Rfd1 Rfc8 20.Qd2 Nf5

21.Bf2 h5 22.Bf1 Rd8 23.Bd3 Qe7 24.Qe2 Rb7 25.h3 h4

26.Nxh4 Nxh4 27.gxh4 Bh6 28.Bg3 Qc5+ 29.Kh2 Ne7 30.h5 Nf5

31.hxg6 fxg6 32.Bxf5 exf5 33.c4 d4 34.Nd6 Rxb1 35.Rxb1 d3

36.Qxd3 Bxf4 37.Qd5+ Qxd5 38.cxd5 Be3 39.Bh4 Bf4+ 40.Kg2 Bd3

41.Rb6 g5 42.Bg3 Bxg3 43.Kxg3 Bc2 44.Rb2 f4+ 45.Kg4 Bxa4 46.Kxg5 f3

47.Ne4 Kf8 48.Nf6 Bd1 49.Rb7 f2 50.e6 Rxd5+ 51.Kh6 Rh5+ 52.Kg6 黒投了

(この章続く)

2010年05月29日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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「ヒカルのチェス」(169)

「British Chess Magazine」2010年3月号(3/3)

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コーラス バイクアーンゼー(続き)

イアン・ロジャーズ

第2回戦
□ヒカル・ナカムラ
■ルーク・ファン・ベリ
シチリア防御ナイドルフ戦法 [B96]

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6 6.Bg5 e6 7.f4 Nbd7 8.Qf3 Qc7 9.Bxf6!? Nxf6 10.g4

 ヒカルは「この戦型は今日ではあまり見られない。通常は白はキャッスリングしてそのあと少ししてから g4 と突く」と説明してくれた。「これはちょっとひねった手である。」

10…b5 11.g5 Nd7

 「黒が 11…b4 とやってくれば 12.Ncb5! で黒陣が嫌な目に遭う。」

12.O-O-O

 一般的な局面から珍しい形になった。黒の主手順のうち 12…Bb7 は 13.Bh3 と応じられ 12…b4 は眼目の 13.Nd5 の捨て駒を誘発する。

12…Nc5 13.a3

13…Rb8!?

 これは典型的な作戦で、黒ビショップがb7に行く前に …b4 と仕掛けるつもりである。しかし例外的な断固たる手で応じられてしまった。13…Be7 の方が穏当だった。

14.b4!

14…Nd7

 「試合前にこの手を研究していた。もし 14…Na4 と来たら 15.Ndxb5! axb5 16.Bxb5+ Rxb5 17.Nxb5 Qb6 18.Qd3

と指すつもりで、事前の研究によれば白がだいぶ優勢だと思う。この後は例えば 18…Bd7 19.Nxd6+ Bxd6 20.Rd2!」

15.Nd5!

 ここまででナカムラの時計は10分未満を示していたがファン・ベリは時間が足りなくなり始めていた。

15…exd5 16.exd5 Be7 17.Re1

17…Ne5

 「ここで彼はすぐに駒を返すことにした。しかし私は次の局面の形勢をどう判断したらよいか分からなかった。17…Nb6 18.Nc6 Nxd5! 19.Qxd5(19.Nxb8! Qxb8 20.Qxd5 Bb7 21.Bxb5+! の方がはるかに良い-ロジャーズ)19…Be6 20.Qg2 Rc8

このあと例えば 21.Nxe7 Qc3 でどうなるのか確信がもてなかった。」本譜で 17…Kf8!? も白の駒捨ての重大な試練だった。その骨子は 18.Nc6(18.Qe4 Ne5! 19.fxe5 Bxg5+ 20.Kb1 dxe5 21.Nc6 Bf4 もはっきりしない)に 18…Bb7! と応じることができ 19.Nxe7? は 19…Re8 で駒を取り返すことができない。

18.fxe5 Bxg5+ 19.Kb1 dxe5 20.Nc6

20…Bf6?!

 「20…O-O の後ルークと私は 21.Rxe5! Bf6 22.Rh5 で黒に問題があるという結論に達した。」

21.Bd3!

 ナカムラはこの手に20分以上かけた。しかしこれで黒キングに安全の地がなくなったのでそれだけのかいがあった。「最初 21.Nxb8 Qxb8 22.Bd3 で交換得できると考えていた。しかしそのあと黒はキャッスリングする必要がなく 22…Ke7! の後 …Qd6、…Bb7、…Rc8 と指せることに気がついた。黒がこのような陣形にできれば形勢はこちらがだいぶ悪い。」

21…h5

 「この手はちょっとしたポカだが 21…Rb6 でも 22.Nxe5 Bxe5 23.Qh5! で黒キングが中央列で立ち往生になる。」たぶんファン・ベリは 21…O-O とするつもりだったのだろうが 22.Rhg1! で白の攻撃がつぼにはまることに気づくのが遅すぎた。以下は例えば 22…Kh8 23.Bxh7!! Kxh7 24.Qxf6!! gxf6 25.Re4!

の後 26.Rh4# で詰みになる。

22.Rxe5+! Bxe5 23.Re1

23…Bg4!

 この手にかけるしかない。23…f6 でe5のビショップを救うのは 24.Bg6+! Kd7(24…Kf8 25.Rxe5 Bd7 26.Re7)25.Rxe5!

で筋に入る。

24.Qf4!

24…O-O!

 「24…f6 の後 25.Bg6+ と指すことができ 25…Kf8 なら 26.Rxe5 でクイーン取りの狙いがあり、25…Kd7 なら 26.Bf5+! Ke8 27.Nxe5 fxe5 28.Rxe5+ Kd8(28…Kf8 29.Bxg4+)29.Qg5+

で詰ませる。」

25.Rxe5!

25…g6?

 頑強な受けの後ファン・ベリは残り20分のうちこの手に15分使いナカムラの指す手を簡単にさせてしまった。「彼にとっては不運なことに自然な 25…Rbe8 は 26.Rxe8 Qxf4 27.Ne7+ Kh8 28.Rxf8# で頓死してしまう。彼は即負けにならない唯一の他の手を見つけた。」

 実際は 25…f5! でもしのげる。そのあと白はb8の駒取りをがまんして 26.Qg5! で攻撃を続けるのが良い。

26.Qf6!

 急に混乱に輪をかけて新しい 27.Bxg6! の狙いが加わり黒は処置なしである。

26…Rbe8 27.Ne7+ Rxe7 28.Rxe7 Qxh2 29.Bxg6! Qh1+ 30.Kb2 Qxd5

31.Bxf7+!

 「初め 31.Be4 と指すつもりだったが 31…Qd2 32.Re5 Rd8 のあと勝つ手順を見つけることができなかった。」

31…Qxf7

 31…Rxf7 は 32.Re8+ で詰みになる。

32.Rxf7 Rxf7 33.Qxa6 Kg7 34.Qxb5 Kg6 35.Qc4 Rd7 36.b5 Kg5 37.b6

37…Bf3

 「37…h4 なら 38.Qb5+ Bf5 39.Qxd7! Bxd7 40.b7 で勝ちになる。」

38.Qb5+ Rd5 39.Qb3 1-0

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(この号終わり)

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チェス世界選手権争奪史(226)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 準決勝の組み合わせはタリ対コルチノイとスパスキー対ラルセンになった。そのうちの一方については専門家の間で事実上意見が一致していた。それはタリがコルチノイに対して勝ち目がない、あるいはせいぜいわずかな可能性しかないということだった。理由?タリのコルチノイに対するこれまでの対戦はコルチノイの9勝に対しタリはわずか1勝で他は9引き分けだった。要するにある強豪選手が別の強豪選手を無力化してしまえば・・・

 果たしてコルチノイが勝った。しかし成績は誰もが予想したよりはるかに僅差だった。最初の3局は引き分けだったがタリは第3局で簡単な勝ちを逃がしていた。しかしコルチノイが次の2局を連勝しタリの棋風を一見手玉にとっていることを証明しているようだった。それでも第6局は彼のもくろみを少なくとも一時的に頓挫させた。

カタロニアシステム
白 コルチノイ
黒 タリ

1.Nf3 Nf6 2.c4 e6 3.g3 d5 4.Bg2 Be7 5.O-O O-O 6.d4 dxc4 7.Qc2 a6

8.a4(8.Qxc4 b5 9.Qb3 Bb7 10.Rd1 Nbd7 11.Bg5 c5 12.dxc5 Qc7 13.Nbd2 Bxc5 =

8…Nc6(8…c5!)9.Qxc4(9.Rd1 Na5 10.Nbd2 b5 11.axb5 axb5 12.b3 +/=

9…Qd5 10.Nbd2 Rd8 11.e3 Qh5

12.e4!? Bd7 13.b3 b5 14.Qc3 bxa4 15.bxa4 Bb4 16.Qc2 Rac8

17.Nc4 +/= Be8 18.h3?(18.Bb2!)18…Rxd4!

19.g4?(19.Nxd4 Nxd4 20.Qd1 Qxd1 21.Rxd1 Ne2+ 22.Kh1 Nc3

形勢不明)19…Qc5 20.Nxd4 Nxd4 21.Qd3 Rd8

22.Bb2(22.Be3!)22…e5 23.Rfc1(23.Rfd1!)23…Qe7 24.Bxd4 Rxd4 25.Qg3 Qe6!

26.Qb3(26.Qxe5? Rxc4 27.Qxe6 Rxc1+)26…a5 27.Qc2 c5 28.Ne3 Bc6 29.Rd1 g6 30.f3 c4

31.Qe2(31.Rxd4 exd4 32.Nxc4 Bc3 33.Nb2 Nd7 -/+)31…Bc5 32.Kh1 c3 33.Nc2 Rxa4 34.Qd3

34…Bd4(34…Bb4!)35.f4 Rxa1 36.Rxa1 Bb6 37.Rb1 Bc5

38.f5(38.Qxc3! Nxe4 39.Rb8+ Kg7 40.Qxe5+ +/-)38…Qd7 39.Qxc3 Nxe4 40.Qxe5

40…Bd6(40…Nf2+! 41.Kh2 Bd6 42.Rb8+ Bxb8 43.Qxb8+ Qe8! -/+

41.Qxa5?(41.Rb8+ Bxb8 42.Qxb8+ Kg7 43.Qe5+ Nf6 44.Ne3

白が引き分けにできるかもしれない)41…Bc7 42.Qb4 Qd3 白投了

 この勝ちでタリが巻き返しそうに見えた。しかし残りの4局は激闘の末すべて引き分けに終わりコルチノイが5½-4½で番勝負に勝った。

(この章続く)>

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チェス世界選手権争奪史(225)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 コルチノイ対レシェフスキー戦は5月7日からアムステルダムで行なわれ5½-2½でコルチノイが楽勝した。たぶん世界選手権戦への最後の登場となるレシェフスキーは不調で、1950年代にボトビニクと戦えなかったことを嘆くしかなかった。その頃なら世界選手権獲得も夢ではなかったはずだった。現実はタイトルに手の届くところまで来ていながら最後のところで敗退したケレスやブロンシュテインの仲間に加わることとなった。

 ラルセン対ポルティッシュ戦は予想どおり準々決勝の中で一番の激戦になった。番勝負は5月6日からユーゴスラビアのポレッチで始まり第1局は引き分けだった。それからラルセンが第2局と第3局を連勝しポルティッシュが第4局で勝った。そして2局引き分けが続きポルティッシュがまた勝った。第8局と第9局も引き分けだった。しかしポルティッシュは第9局の指しかけ時には勝てる局面だったのをふいにしたことに気持の整理がつかないまま第10局に臨みラルセンのあまり見かけない布局定跡に易々とはまって5½-4½で敗退した。それが次の第10局である。

ウィーン試合
白 ラルセン
黒 ポルティッシュ

1.e4 e5 2.Nc3 Nc6 3.Bc4 Nf6 4.d3 Na5 5.Nge2 Nxc4

6.dxc4 Be7 7.O-O d6 8.b3 O-O 9.Ng3 c6 10.Bb2 Qa5

11.Qe1 Qc7 12.a4 Be6 13.Rd1 a6 14.Qe2 Bg4 15.f3 Bd7

16.Kh1 Rab8 17.Nf5 Bxf5 18.exf5 Rfe8 19.Rd2 Rbd8 20.Rfd1 Nh5?

21.Ba3! Nf4 22.Qf2 Qa5? 23.Ne4 d5 24.Bxe7 Rxe7

25.Qh4! Red7 26.g3 Ne2 27.f6 Qb4 28.Qg4 黒投了

(この章続く)

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世界のチェス雑誌から(74)

「Chess Life」2010年2月号(2/7)

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2009年世界少年少女チェス選手権戦(続き)

GMジョン・フェドロウィッツ

フランス防御 [C10]
□ FMタヌジ・バスデバ
■ ハマザー・アミエル
世界少年少女チェス選手権第11回戦、2009年

1.e4

 この試合はこんな幼い子どもの試合[訳注 8歳以下の部の対局]とは信じられないすごい内容だった。最初タヌジの捨て駒は無理筋だと思った。しかし分析エンジンは私が誤っていたことを証明した。

1…e6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Nd7

5.Bd3

 黒の堅固な陣形に対する白の最善の手順は 5.Nf3 Ngf6 6.Nxf6+ Nxf6 7.c3 c5 8.Ne5 で、攻撃の機会が多い。

5…Ngf6 6.Nxf6+ Nxf6 7.Nf3

7…Be7?!

 黒が守りに片寄った手を指していると白の主導権が大きくなっていく。7…c5 と中原に突っかけるのが絶対だった。

8.Qe2 O-O 9.Bg5 c5 10.dxc5 Qa5+?! 11.Bd2 Qxc5 12.O-O-O

 この反対キャッスリング形の局面では白の攻撃の方が強力である。

12…Bd7 13.Ne5 Rfc8 14.Bc3

14…Be8

 白の Nxd7 から Bxh7+ の狙いに備えるために黒は1手かけなければならない。

15.Bd4!

 この軽手で …Rxc3 の意図を防ぎ黒の動きを難しくさせた。

15…Qa5

 もちろん 15…Qxd4?? なら 16.Bxh7+ である。

16.Kb1

 ここで黒がどうしたらよいかは判然としない。

16…b5

 16…Nd5!? は危険を伴うがそうでない手などない。

17.g4

17…h6?

 黒はポーン暴風への原則に背いた。受ける方面を弱めてはいけない。17…Nd5!? から …Nb4 を狙えばまだ戦えた。

18.h4 Nd5

 黒は …Nf4xd3 でd3の大切なビショップを消す手を狙っている。

19.Qe4! Nf6 20.Qf3 Bd6 21.Qh3

 g5 突きに本腰を入れると共に …Bxe5 から …Bc6 の狙いをかわした。

21…Nd7 22.Nxd7 Bxd7 23.g5 h5 24.Qf3 e5 25.Qxh5 exd4

26.Qh7+ Kf8 27.Rhe1 Be6 28.Qh8+ Ke7 29.Rxe6+

29…Kxe6

 29…fxe6 なら黒が受かるかもしれないと考えていた。しかし 30.Qxg7+ Kd8 31.Be4! でd4とa8の両当たりで白の攻撃が続く。パスポーンもできている。

30.Qxg7 Be5 31.Bf5+!

31…Kxf5

 31…Kd6 は 32.Qxf7 で 33.Qd7+ または 33.Qe6+ に対する受けがない。

32.Qxf7+ Kg4 33.Rg1+ Kh3 34.Qf3+ 黒投了

 黒はタヌジの攻撃をそらすようなことを何もしなかった。

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(この号続く)

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チェス世界選手権争奪史(224)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 タリ対グリゴリッチ戦は4月21日からベオグラードで始まった。タリが圧倒的な本命だったが初戦に勝って早くもリードを奪ったのはグリゴリッチで、それから4戦連続引き分けでリードを守った。第6局が転機だった。

ボゴインディアン防御
白 グリゴリッチ
黒 タリ

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nf3 Bb4+ 4.Bd2 a5

5.Nc3 O-O 6.e3 d6 7.Qc2 Nbd7 8.a3 Bxc3

9.Bxc3 Qe7 10.Be2 a4 11.O-O b6 12.Nd2 Bb7

13.e4? c5! 14.e5 Ne8 15.f4 cxd4 16.Bxd4 dxe5

17.fxe5 Nxe5! 18.Bxb6 Nd6 19.Bd4?(19.Qc3!)19…Nf5 20.Bxe5 Qc5+

21.Rf2 Qxe5 22.Nf3 Qc5 23.Qc3 Rfd8 24.Qb4 Qa7

25.c5 Rab8 26.Qc3 Rbc8 27.Rd1 Rxd1+ 28.Bxd1 Rxc5

29.Qb4 Bc6 30.Qf4 Rd5 31.Be2 h6 32.Ne5 Ba8

33.g4 g5 34.Qc4 Rxe5 黒投了

タリは次の3局で2½点をあげて5½-3½で番勝負を制した。

(この章続く)

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チェス世界選手権争奪史(223)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 スパスキー対ゲレル戦は4月2日から黒海に面するスフミで行なわれた。結果は予想どおり5½-2½でスパスキーの楽勝だった。スパスキーは黒番の4局を引き分け白番の4局のうち閉鎖シチリア防御の同じ戦法で3局を勝った(4局目は引き分け)。第6局が最も危なげなかった。

シチリア防御
白 スパスキー
黒 ゲレル

1.e4 c5 2.Nc3 d6 3.g3 Nc6 4.Bg2 g6 5.d3 Bg7 6.f4

6…Nf6(ゲレルは第8局でついにこの手を放棄し代わりに 6…e6 から 7…Nge7 を採用しかなり楽に引き分けた)7.Nf3 O-O 8.O-O Rb8

9.h3(スパスキーは第2局ではここで 9.Nh4 と指したが 9…Nd4 10.f5 b5 11.Bg5 b4 12.Nb1 Nd7 13.Nd2 Ne5

14.Kh1 a5 15.Rb1 a4 16.Nhf3 Nexf3 17.Nxf3 Nb5 18.Qd2 a3 19.bxa3 Nxa3

となって主導権は黒のものだった)9…b5 10.a3 a5 11.Be3 b4 12.axb4 axb4 13.Ne2 Bb7

14.b3(第4局でスパスキーはもっと正確に 14.Qd2 Ra8 15.Rab1 Qa5 16.b3 と指していたがここでもゲレルは 16…d5 と指していたら互角にできたかもしれなかった)14…Ra8 15.Rc1 Ra2 16.g4

16…Qa8?(16…e6! 17.f5? exf5 18.exf5 Re8 =/+)17.Qe1 Qa6 18.Qf2 Na7 19.f5 Nb5 20.fxg6

20…hxg6(20…fxg6!)21.Ng5 Na3 22.Qh4 Rc8 23.Rxf6! exf6 24.Qh7+ Kf8 25.Nxf7!

25…Rxc2(25…Kxf7 26.Bh6 Rg8 27.Nf4 Rxc2 28.Rf1 +/-)26.Bh6

26…Rxc1+(26…Rxe2 27.Qxg7+ Ke8 28.Ng5 fxg5 29.Bxg5 +-)27.Nxc1

27…Kxf7(27…Bxh6 28.Nxh6 Ke8 29.Ng8 Kf8 30.Ne7 以下詰む)28.Qxg7+ Ke8 29.g5 f5 30.Qxg6+ Kd7 31.Qf7+ Kc6 32.exf5+ 黒投了

(この章続く)

2010年05月25日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェス布局の指し方[13]

第2章 ポーンの重要性

2.1 ポーンの弱点(続き)

 強くなることもあれば弱くなることもある別のよく見られるポーンの形を以下の2図に示す。

 図20(白番)

 黒のd5とc5のポーンは「浮きポーン」と呼ばれる。浮きポーンが強いか弱いかはどちらの陣営が主導権を握っているかとそのポーン自身が縛り付けられているかそれとも自由に進めるかで決まってくる。図20は1972年世界選手権戦のフィッシャー対スパスキー戦の第6局である。ここでは攻撃を受けていて黒はそれらを突き進めることができないのでいくらかお荷物になっている。黒はそれらのポーンを駒で守ってきたが防御手段を取ってきた結果として黒軍はいくらか陣形が乱れている。特にcポーンが釘付けにされていることに注意が必要で、白(フィッシャー)は次の手でそのことにつけ込んだ。1.Nd4 そして次のように進んだ。1…Qf8 2.Nxe6 fxe6 3.e4!

3…d4(3…dxe4 と取ると黒のポーンの形がどうしようもないほどばらばらになってしまいフィッシャーは容易にポーンを取り返して優位に立つだろう)4.f4 Qe7 5.e5 Rb8 6.Bc4 Kh8 7.Qh3 Nf8 8.b3

スパスキーがどのように転落していったかが簡単に見て取れる。フィッシャーはビショップ対ナイトの優位を得て f5 と突いてキング翼に決定的な攻撃を開始しようというところである。スパスキーの白枡ビショップが交換されたのでキングの周りの白枡が非常に弱くなっている。黒の陣形は動きが難しく反撃もほとんど期待できない。黒キングとcポーンは厳しい圧力にさらされパスdポーンは白のビショップとクイーンによって厳重にせき止められているので役に立っていない。

 図21(黒番)

 今度は図21を見てみると状況が違うことに気がつく。ここでは黒の浮きポーンは働きの良い駒によってしっかり守られていて、すぐにそれらを突き進めることにより黒は非常に強力なパスポーンを作り出すことができる。結末は以下のとおりだった。1…d4! 2.Qe2 Ne5 3.exd4

3…cxd4(3…Bxc1? 4.dxe5)4.Rxc8 Bxc8 5.Re1 d3!

6.Qd1(6.Qxe5 Qxe5 7.Rxe5 d2 はなおさら悪い)6…Bg4 7.Qa1 d2 8.Rxe5 d1=Q 9.Re8+ Rxe8 10.Qxf6 Be2

11.Ng3 Bg7 12.Qc6 Bb5 13.Qc1 Qxc1 14.Bxc1 Re1 15.Be3 Ra1

16.a4 Bd3 17.f4 Rb1 18.Kf2 Bxf1 19.Nxf1 Rxb3 白投了

収局は黒の楽勝である。

 以上から導かれる一般的な結論は浮きポーンは守りにおいては弱い存在(隣接した列の2個の出遅れポーンのようなものである)であるが自由に前進できれば攻撃の戦力となれるということである。

(この章続く)

2010年05月24日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェス世界選手権争奪史(222)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 一部は米国からの長距離電話により、また一部はチュニスの米国大使館の介入でさらに交渉が行なわれた後でフィッシャーは嵐のような反感の喧伝(けんでん)のなか米国に帰国した(「チェス界はチェスの神童が怪物少年の世界チャンピオンに成長するのをなんとしても見たくないのだ」というのは新聞がフィッシャーについて描写していたことの一つの見本である)。それでも責任の全部ではないにしてもほとんどがチュニジアの大会役員にあるという米国チェス連盟の報告は説得力のある文章になっている。大会役員たちが事の収拾のためにもっともっと精力的に努力することができたはずなのは確かだった。彼らは実のところそのためにはほとんど何もせず、真意は何であれ難題を悪化させるために多くのことをした。またしてもフィッシャーの世界選手権の追求は激しい妨害で阻まれた。

 競技会自体はフィッシャー事件で味噌をつけられたがベント・ラルセンが15½-5½という成績で優勝した。ゲレル、グリゴリッチそれにコルチノイが14-7で同点2位で、ポルティッシュが13½-7½で単独5位だった。レオニド・シュテインはまたしても最後の進出権をかけて決定戦を戦うことになった。今度の相手はホルトとレシェフスキーで皆13-8の成績だった。決定戦は一ヵ月後にロサンゼルスで行なわれレシェフスキーが最後の席を射止めた。

 挑戦者決定番勝負の準々決勝の組み合わせはスパスキー(もちろんシードで)対ゲレル、タリ(同様に前回の挑戦者決定競技会での2位の結果によるシードで)対グリゴリッチ、コルチノイ対レシェフスキー、それにラルセン対ポルティッシュとなった。

(この章続く)

2010年05月24日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェス世界選手権争奪史(221)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 1966年世界選手権戦の結果とある程度の試合内容とがほとんどすべての人にとって失望というべきものならば、ペトロシアンの次期挑戦者を決める次の一連の大会の始まりはほとんど大混乱というべきものだった。1967年のインターゾーナル競技会の開催は他を押しのけてチュニジアのスースに与えられていた。最初はインターゾーナルのような非常に重要な大会のみならずこれまで国際大会開催の責任を負ったことのなかったチュニジアチェス協会ではその責任に全然適していないかもしれないという不安があった。しかしその不安はボビー・フィッシャーが参加するというニュースに対する広範な興味と熱狂によってかき消された。彼は1965年後半には自分で行なった孤立から抜け出てそれ以来少し大会に参加して二様の結果を残していた。しかしもちろん挑戦者決定競技会進出の有力候補だった。その彼がなぜ進出しなかったのかはたぶん米国チェス協会専務理事のエド・エドモンドソンが「チェスライフ」(同協会の機関誌)の1968年2月号に掲載した同協会宛ての長い報告によって一番よく説明できるだろう。以下はその記事の抜粋である。

    9月10日 チュニジアチェス協会と組織委員会の両会長のリダー・アルカディ氏がすべての連盟に1967年インターゾーナルの日程表を送付した。10月16日月曜日の第1回戦を除きスケジュールは火曜・水曜・木曜が対局日、金曜が休日、土曜と日曜が対局日、月曜が休日と決められていた。このスケジュールによる休日の例外はレシェフスキーとフィッシャーに対してだけであり彼らの信仰に十分に便宜を与えることが必要と考えられた。[レシェフスキーは正統派ユダヤ教徒、フィッシャーはキリスト原理主義教団の信徒で共に安息日を守っていた。]
    10月15日日曜 フィッシャーとレシェフスキーは大会予定より早く第3回戦の相手と対局を始めた。これは二人の宗教上の休日である10月18日水曜を除外できるようにするためだった。
    10月16日月曜から10月24日火曜まで 最初の7回戦は9月10日にベルカディ氏の配布したスケジュールどおりに終了した。
    10月25日水曜 スケジュールではこの日が第8回戦に当たっていた。しかしフィッシャーのコルチノイとの試合はフィッシャーが10月25日日没から10月26日日没まで宗教上の休日を守るため10月30日まで延期された(9月10日のスケジュールどおり)。同様に-そしてフィッシャーはこれを不必要だと考えていた-彼の翌日からの第9回戦(10月26日木曜の対ゲレル戦)も11月6日まで延期された。
    10月26日木曜 最も自分のためになるだけでなく関係する者皆にもより良いことだと感じ、直前の2日間に行なった口頭での提案がうまく伝わっていないかもしれない[大会委員長は英語が話せずフィッシャーはフランス語が話せなかった]と考えたフィッシャーは彼の試合の延期を避けるためにスケジュールを再び調整するよう文書で提案した・・・10月26日に大会委員長のヘンタティは文書で次のように回答した。「1967年10月26日付けのあなたの手紙は確かに受け取った。そしてインターゾーナル競技会の組織委員会は遺憾ながらあなたの要求に応じられないことをお伝えする。」それがすべてだった。フィッシャーの提案以外の何らかの方法で問題を解決しようとする提案もなかった。なぜ何もできないのか(またはしないのか)の説明もなかった。役員たちと当該競技者との「コミュニケーション」もなかった。
    10月27日金曜 問題はほったらかしのままだった。役員たちは何も行動せずフィッシャーの第8回戦と第9回戦は延期された。その結果フィッシャーは大会の対局条件についての自分の改善提案が無視されているためと第9回戦の不必要な延期のあと大会後半に6日連続対局を課せられる苦難のために大会を放棄しなければならないことを文書で大会委員長に通知した・・・
    [10月28日土曜日フィッシャーの時計が大会委員長によって開始され1時間後に不戦敗と宣告され対戦相手であるソ連のアリバルス・ギプスリスに1点が与えられた。これはだしぬけで規定上不当な手続きで、以降の交渉に不幸な結末をもたらすことになった。]
    10月29日日曜 ベルカディ氏がスースからチュニスに行きフィッシャーのホテルの部屋を訪ねた。長い議論[明らかにベルカディ氏はかたことの英語で]の末にフィッシャーはスースに戻り大会に復帰することに同意した。フィッシャーが6日連続対局する必要がないように1日か2日の休日を設けることをベルカディ氏が約束した後でフィッシャーは同意したのだった。ベルカディ氏は照明を改善するか[別の論争点だった]あるいはフィッシャーの試合を別室で行なうことも約束した・・・それからフィッシャーは大会に戻り第11回戦のレシェフスキー戦にちょうど間に合った。
    10月30日月曜 フィッシャーは延期されていた第8回戦のコルチノイとの試合を行ない引き分けた。
    10月31日火曜 全競技者によって第12回戦がスケジュールどおりに行なわれフィッシャーは[ロバート]バーンを負かした。成績は7勝3引き分けで、他に1局が延期されていてもう1局(ギプスリスとの)がまだ争いの元となっていた。彼の成績に最も近い者は既に2局余計に指していて8-4の成績で追っていた。
    11月1日水曜 ギプスリス戦が宙に浮いたまま残りの試合を指すのは確かに望ましくなかった。そこでフィッシャーは審判による裁定を求めた。
     米国チェス連盟がフィッシャーのために行なったいくつかの質問に審判員たちが全然回答しなかったので我々は非常に重要なことについてうわさに頼らざるを得ない。うわさではもしフィッシャー対ギプスリス戦が本当に行われることになればソ連は自国の4人の参加者全員をインターゾーナルから引き揚げると大会役員たちに通告したそうである。もしそのような脅しがたとえほのめかしにせよ行なわれたならば次に起こったことの説明がつく。
     チェコスロバキアのヤロスラフ・サイタルは大会後半戦の審判としてちょうど役目を始めていた。彼はフィッシャーにギプスリス戦の不戦敗は取り消せないと通知した。これを聞き、そして約束の休日がまだスケジュールに組み込まれていなかったのと照明の改善の約束が守られていなかったのを考慮してフィッシャーは二度目の大会放棄をした・・・

(この章続く)

2010年05月23日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェス世界選手権争奪史(220)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 第13局で挑戦者がようやく初勝利をあげ1点差にした。そしてその差を詰めようとして布局をますます奇異な戦型にもっていった。一方ペトロシアンは相手の際どい指し方を咎めようと努める代わりに毎回わずかでも安全な有利さで満足した。例えば第14局は次のような具合だった(ペトロシアンの白番)。1.Nf3 Nf6 2.g3 b5?! 3.a4 b4 4.d3 Bb7 5.e4 d6

6.Bg2 Nbd7 7.O-O e6 8.a5 Rb8 9.Nbd2 Be7 10.Nc4 O-O

11.Re1 a6 12.Bf4 Ba8 13.Qe2 Re8 14.h3 …

第16局も同様だった。1.d4 g6 2.e4 Bg7 3.Nf3 d6 4.Be2 e6

5.c3 Nd7 6.O-O Ne7 7.Nbd2 b6 8.a4 a6

9.Re1 Bb7 10.Bd3 O-O 11.Nc4 Qe8 12.Bd2 f6 13.Qe2 …

 第19局でスパスキーは貴重な勝利をあげついに互角の成績にした。しかしそうすることによって彼はほとんど全力を出し切ってしまったかのようだった。ペトロシアンは第20局に勝ち第21局を引き分け第22局に勝って少なくとも互角で番勝負を終わることを確定させた。そしてもうタイトルの移動はなくなったがともかく最後の2局を行なうことになった。第23局はスパスキーにとって意味のない勝利で第24局は引き分けだった。最終成績は12½-11½となってペトロシアンの勝利が決まった。

(この章続く)

2010年05月22日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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「ヒカルのチェス」(168)

「British Chess Magazine」2010年3月号(2/3)

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コーラス バイクアーンゼー(続き)

イアン・ロジャーズ

第7回戦
□ヒカル・ナカムラ
■アレクセイ・シロフ
シチリア防御スベシュニコフ戦法 [B33]

1.e4 c5

 ナカムラは確かに尊大さをなくしていない。シロフが 1.e4 e5 でなくシチリア防御を自分に対して用いたのは間違いだと対局後にきっぱり言った。彼の解説は「」で示す。

2.Nf3 Nc6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 e5 6.Ndb5 d6 7.Bg5 a6

8.Bxf6!? gxf6 9.Na3

 白の不注意な手順-8.Na3 b5 9.Bxf6 が本手-のせいで黒に通常の 9…b5 の代わりに 9…f5!? の選択肢もできた。シロフはちゅうちょなく挑戦を受けて立った。驚いたことにナカムラはこの手を研究していなかった。

9…f5

10.Nc4

 10.Bc4 b5 11.Bb3 b4 12.Qh5 は黒に 12…Ra7! が発見されるまで白がとても面白いと考えられていた。

10…Nd4 11.exf5 Bxf5 12.Ne3

12…Bg6!?

 「12…Be6 を予想していた。それなら 13.g3 Bg7 14.Bg2 Qd7 でほとんど普通のスベシュニコフの局面になる。」

13.Ncd5

13…Bh6

 「ここが最初の勝負所だった。13…f5!? 14.c3 f4 15.cxd4 fxe3

の後どうなるのかよく分からなかった。16.Nxe3 なら 16…Qa5+ 17.Qd2 Qxd2+ 18.Kxd2 exd4 となってこの収局は何もでかしていない。だから 16.fxe3 と指すつもりだったが 16…Qa5+ 17.Nc3 Bh6 となって黒には十分な反撃力があり、これなら確かにアレクセイの得意とする局面だった。」

14.c3 Ne6 15.Bd3

15…Bxe3!

 「黒が単に 15…O-O と指せば 16.Nf5 で問題なくこちらが良い。」

16.Nxe3 Qb6 17.O-O Nf4 18.Be2!

18…Rg8

 「18…Qxb2 なら 19.Qxd6!! で勝勢のはずだ。19…Nxe2+ なら 20.Kh1 Rd8 21.Qxe5+ Kd7 22.Rad1+ Kc8 23.Nd5!

となる。」

19.Bf3!

19…Nh3+?!

 「これはポカで、このあと白がはっきり優勢になった。代わりに 19…Bd3 20.Nd5 なら黒に 20…Nh3+ 21.Kh1 Qxf2!

といううまい手があるが、それでも 22.gxh3!(22.Qxd3? Qg1+!!)22…Bxf1 23.Qxf1 でd5のナイトが強力なので白が比較的容易に勝つはずだ。しかし黒は単に 19…O-O-O! と指すことができた。20.Nd5?! としても 20…Nxd5 21.Qxd5 Qxb2 でこちらが1ポーン損となるだけかもしれない。」

20.Kh1

 「20.gxh3 は 20…Bc2+ でクイーンを取られる。」

20…Nxf2+ 21.Rxf2 Qxe3 22.Bxb7!

22…Rb8

 「黒が 22…Qxf2 とルークを取れば 23.Qxd6! が強すぎる。」

23.Re2 Qb6 24.Bd5 Rg7 25.Qd2 f5

 「こちらの駒は全部良い地点にいるがポーンの形のために突破口を見つけるのはそれほど容易でない。」

26.Rf1 Kd7 27.b4 f4

28.a4!?

 「28.a3 としてから c4-c5 と突いていく考えの方が良かったかもしれない。」

28…a5 29.b5 Rd8

 「時間で30分ほどリードしていたがここで20分使った。キングをb8にルークをc5に置くひまがあれば黒の方が形勢が良くなるかもしれない。だからこちらは活発に指さなければならない。」

30.g3! fxg3 31.hxg3 Kc8 32.c4 Kb8 33.Rf6 Re7 34.Kh2! e4

35.Qc3

 「問題は 35.c5! と突くと 35…Qc7 とやってこられることだった。感覚的には絶対何か良い手があるはずだが対局中は見つけることができなかった。読んでいたのは 36.cxd6 Rxd6 37.Rxd6 Qxd6 38.Qxa5

で、38…Qxd5 なら 39.Rd2 で良いが 38…Ra7! とされると 39.Qd2 Rd7 でビショップが落ちる。」後になってナカムラはコンピュータがこの手順中 37.b6! Rxb6 38.Qxa5! を見つけたと教えられた。それなら試合終了だった。

35…Rc8 36.Re3

36…Ka7?!

 「たぶんアレクセイは何かしのげる手を考えていたのだろう。しかし形勢は思わしくなく時間も1分を切っていた。」シロフは 36…Qc5 をやってみるしかなかった。37.Qxa5 なら 37…Ra7 である。ただし 37…Qxe3?! はだめで 38.Qa8+ Kc7 39.Qb7+ Kd8 40.Rxd6+ で次の手で詰みになる。

37.Bc6 Rd8 38.c5!

38…dxc5 39.Bxe4 Rd6 40.Rxd6 Qxd6 41.Qxa5+ 1-0

 「41…Kb8 のあと 42.Rd3! と指すつもりで、黒には適当なチェックがない。」

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(この号続く)

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チェス世界選手権争奪史(219)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 2点差をつけられたスパスキーは何をやってもはねつけられるようだった。第11局は短手数の引き分けだったが第12局は戦いらしい戦いだった。

キング翼インディアン防御
白 ペトロシアン
黒 スパスキー

1.Nf3 g6 2.c4 Bg7 3.d4 d6 4.Nc3 Nd7 5.e4 e6

6.Be2 b6 7.O-O Bb7 8.Be3 Ne7 9.Qc2 h6 10.Rad1 O-O

11.d5 e5 12.Qc1 Kh7 13.g3 f5 14.exf5 Nxf5

15.Bd3 Bc8 16.Kg2 Nf6 17.Ne4 Nh5 18.Bd2 Bd7

19.Kh1 Ne7 20.Nh4 Bh3 21.Rg1 Bd7 22.Be3 Qe8

23.Rde1 Qf7 24.Qc2 Kh8 25.Nd2 Nf5 26.Nxf5 gxf5

27.g4 e4 28.gxh5 f4 29.Rxg7 Qxg7 30.Rg1 Qe5

31.Nf3 exd3 32.Nxe5 dxc2 33.Bd4 dxe5 34.Bxe5+ Kh7

35.Rg7+ Kh8 36.Rf7+ Kg8 37.Rg7+ Kh8 38.Rg6+ Kh7 39.Rg7+ 引き分け

(この章続く)

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カテゴリ: チェス世界選手権争奪史

チェス世界選手権争奪史(218)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 第8局と第9局も引き分けだったが第10局はまさしく激闘だった。

キング翼インディアン防御
白 ペトロシアン
黒 スパスキー

1.Nf3 Nf6 2.g3 g6 3.c4 Bg7 4.Bg2 O-O 5.O-O Nc6 6.Nc3 d6 7.d4

 キング翼インディアンのよく知られた戦型に移行した。本局はこの番勝負で両対局者が布局を未知のわき道にそらさなかった数少ない試合の一つである。

7…a6 8.d5 Na5 9.Nd2 c5

 これは b4 突きで(理論的に)悪形のナイトが取られるのを予防した手である。黒の防御態勢の真価はa5のナイトが役に立つことを示せるかどうかにかかっている。

10.Qc2 e5

 代わりに 10…Rb8 は 11.b3 b5 12.Bb2 で黒に十分な反撃力があるように見えない。

11.b3

 1957年のボトビニク対スミスロフの世界選手権戦第3局でボトビニクは 11.a3 と指した。しかし 11…b6 12.b4 Nb7 で局面はすぐに引き分けが濃厚になった。たぶん白の最善手は明らかに 11.dxe6e.p. である。1965年タリンでのコルチノイ対クジミン戦では 11…Bxe6 12.b3 d5 13.cxd5 Nxd5 14.Bb2 Nc6 15.Nxd5 Bxd5 16.Bxg7 Kxg7 17.Qb2+ Kg8 18.Ne4 Bxe4 19.Bxe4

と進んで白が優勢だった。

11…Ng4

 これはグリゴリッチの創始した捌きである。その意図は …f5 と突くことと白にキング翼を弱める h3 突きを指すように仕向けることである。

12.e4

 12.h3 なら黒は 12…Nh6 の後 …f5 から …Nf7 と指す。

12…f5 13.exf5 gxf5 14.Nd1

14…b5

 14…e4 15.Bb2 Bd4 は 16.Bxd4 cxd4 17.b4 でナイトが取られる。

15.f3 e4

16.Bb2

 16.fxg4 とナイトを取るのは 16…Bxa1 17.gxf5 Bd4+ 18.Kh1 Bxf5 19.Nxe4

となって白の交換損の代償が不十分である。

16…exf3 17.Bxf3 Bxb2 18.Qxb2 Ne5 19.Be2

19…f4!

 白は余裕があればナイトを Ne3-g2-f4 と捌き黒の多くの陣形上の弱点に型どおりのやり方でつけ込んでくる。だから黒は適切に反撃するためにできるだけ活発に動く必要がある。

20.gxf4

20…Bh3

 しかし実戦の手は戦術的に大きな誤りだった。20…Rxf4! なら黒は次のように大いに有望だった。21.Ne3(21.Rxf4 Qg5+ 22.Kh1 Qxf4 23.Nc3 Qd4!)21…Qg5+ 22.Kh1 Rxf1+ 23.Nexf1 Bg4! 24.Ne4 Qf4 25.Nfg3 Bf3+ 26.Bxf3 Qxf3+

21.Ne3!

21…Bxf1

 ここでの 21…Rxf4 は次のように白から猛攻をくらう。22.Rxf4 Qg5+ 23.Rg4! Bxg4 24.Nxg4 Nxg4 25.Bxg4 Qxg4+ 26.Kh1

しかし黒は 21…Ng6 で捨て駒を拒否する方がずっと良く 22.Rf3! Qh4! 23.f5 Ne5 24.Rg3+ Kf7!

で十分戦える。

22.Rxf1 Ng6 23.Bg4!

23…Nxf4

 23…Qf6 は 24.Be6+ Kh8 25.Qxf6+ Rxf6 26.f5 Ne5 27.Ne4

で黒が負ける。しかし実戦の手よりは 23…h6 の方がいくらか良かった。

24.Rxf4! Rxf4 25.Be6+ Rf7 26.Ne4

26…Qh4

 26…Ra7 には 27.Nf5! がある。

27.Nxd6

27…Qg5+

 27…Qe1+ は 28.Kg2 Qxe3 29.Bxf7+ Kf8 30.Qh8+ Ke7 31.Nf5+ Kxf7 32.Qxh7+

で白の楽勝になる。

28.Kh1 Ra7 29.Bxf7+ Rxf7 30.Qh8+! 黒投了

(この章続く)

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世界のチェス雑誌から(73)

「Chess Life」2010年2月号(1/7)

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2009年世界少年少女チェス選手権戦

サムリサとタヌジが銀メダル

トルコでのチェス物語

フェドがちょっと経験不足の少年少女チームの成績について報告する
GMジョン・フェドロウィッツ

 私は5年連続で世界少年少女選手権戦のコーチの一人という楽しい役目を務めた。今年の大会は11月11日から23日まで2年ぶり2度目のトルコのアンタルヤで行なわれた。ケメル市(ここにホテルがある)は非常に風光明媚で空港から車で1時間半である。2年前は車で移動中とても暗かったので風景を見逃した。山々と地中海の眺めでチェスにとってこれ以上はないリラックスした良い雰囲気だった。

 リムラ・ホテルは何もかも備わった複合施設である。チームUSAの部屋は全部近接していた。そのため検討のための集合が非常に楽だった。2年前と同じようにコーチは皆試合後にロビーに集まって検討を行なった。我々はこれは学習過程の非常に重要な一部と考えている。主催者が速報を定期的に発行するので欠陥を早急に補修することが必要だった。別の利点は大会会場がすぐ近くだったことである。文字どおり部屋から100フィートで、バスに乗るためにあくせくすることがなかった。時差ぼけはいつも要因となるがこのぼんくらな筆者と違って我々の子どもたちは大丈夫だった。なにしろ私は残り2試合になるまで時差に適応できなかった。もっとも試合前の予習と試合後の分析ごとに起床していたが。

 今年のチームは最近では最も経験の少ないチームの一つだった。これは多くの上位選手やメダルを争える選手が学校のカレンダーとかち合ったことに責任がありそうだ。(米国からは58選手分が招待された。)。我々はこれを前向きに新たなやりがいのある挑戦ととらえた。今年は25人の子どもにコーチが5人でちょうど割り切れた。私の5人の生徒はアレック・ゲッツ、アンドルー・ン(16歳以下オープン)、デイビド・アデルバーグ(14歳以下オープン)、バルン・クリシュナン(12歳以下オープン)それにアリシャ・チョーラだった。

 アレックとアンドルーは強豪ぞろいの部門で最も厳しかった。デイビドは昨年のベトナムではメダル争いをして思いがけない番狂わせだった。今年も8回戦が終わったところで6点をあげて再びメダルの可能性があった。しかし残念ながら最後の3局を負けてしまった。バルンは黒番の準備に問題があった。これを直せば来年は健闘するだろう。アリシャの出だしはゆっくりだったが最後は本当にすごい勢いだった。来年はメダル争いに加わるだろう。

 それでは好成績者と未来の世界チャンピオン候補の試合を見ていこう。最初の試合はタヌイが華々しい戦術で銀メダルをもぎ取った。昨夏の汎アメリカ少年少女では私はコーチでなかったのでタヌジに会ったことがなかった。私が知っていたのは彼が楽に自分の部門で優勝したということだけだった。彼は若さに似合わず大局観と戦術の感覚に優れていて、性格も良く、チェスも大好きである。こやつは注目に値する。チェスでの大活躍が期待できる。

チームUSA成績

女子8歳以下
サムリサ・パラコル 8½点
アリシャ・チョーラ、ライザ・ビーニャ、アニー・ワン 7点
女子10歳以下
シモーン・リャオ 7点
女子12歳以下
セアラ・チャン 7½点
女子14歳以下
アリーナ・カッツ 7½点
アンナ・マトリン 6½点
女子16歳以下
ダリアン・ロビンソン 5½点
女子18歳以下
アビー・マーシャル 6½点
オープン8歳以下
タヌジ・バスデバ 8½点
ウィンストン・ゼン 5点
オープン10歳以下
デイチー・リン 7½点
トミー・ヒー 7点
ジョナサン・チャン 6½点
オープン12歳以下
ジャロッド・パマトマト 7½点
アーサー・チェン 7点
ダニエル・グレビッチ、マイケル・ブラウン、バルン・クリシュナン 6½点
オープン14歳以下
デイビド・アデルバーグ、スチュアート・フィニー 6点
ダニエル・ロゾフスキー 5½点
オープン16歳以下
アレック・ゲッツ 6点
アンドルー・ン 5½点


トルコで元気いっぱいの子どもたち
(左から)ダリアン・ロビンソン、アビー・マーシャル、アンドルー・ン、スチュアート・フィニー


米国の銀メダリスト
(左から)サムリサ・パラコル、タヌジ・バスデバ

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(この号続く)

2010年05月19日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 世界のチェス雑誌から

チェス世界選手権争奪史(217)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 この試合の後タリの巻き返しは弱かった。そしてスパスキーが次の2局に連勝し、誰もが10年も前に予言していた世界選手権の挑戦者についになった。ペトロシアンは誰の基準に照らしても手ごわいやつだったが、若い挑戦者が勝つことにほとんど疑問はないように思われた。なぜそうだったかは願望という2語で説明できる。

 生まれ故郷のアルメニアでこそペトロシアンはあがめられていたが(彼が世界チャンピオンになってまもなくエレバンである三つ子が生まれティグラン、バルタンおよびペトロスと名付けられた)そこを除けばほとんどのチェス愛好者の彼を見る目は冷淡かそれ以下だった。彼の棋風はいつもかなり退屈で難解に思われていたが世界選手権獲得後はいっそうそのようになった。そして彼の慎重居士ぶりはスパスキーの力強く快活な指し方と比較して割を食っていた。だから専門家を含めほとんどの人はスパスキーの勝ちを予想し、彼に勝って欲しいというより他に理由も無く彼が勝つと考えていた。

 しかし彼らが見逃していたのはペトロシアン好みのチェスをスパスキーに指させるために試合に注ぎ込む彼の精神力だった。世界選手権戦は4月11日からモスクワのエストラーダ劇場で始まり初戦は引き分けだった。そしてその後の5局も引き分けで、挑戦者もほとんど自分から打って出ようとしないことがすぐに明らかになった。しかし第7局でペトロシアンは巧みな捌きで先勝した。

dポーン布局
白 スパスキー
黒 ペトロシアン

1.d4 Nf6 2.Nf3 e6 3.Bg5 d5 4.Nbd2 Be7 5.e3 Nbd7 6.Bd3 c5 7.c3 b6

8.O-O Bb7 9.Ne5 Nxe5 10.dxe5 Nd7 11.Bf4 Qc7

12.Nf3 h6 13.b4 g5 14.Bg3 h5 15.h4 gxh4

16.Bf4 O-O-O 17.a4 c4 18.Be2 a6 19.Kh1 Rdg8

20.Rg1 Rg4 21.Qd2 Rhg8 22.a5 b5 23.Rad1 Bf8

24.Nh2 Nxe5! 25.Nxg4 hxg4 26.e4 Bd6 27.Qe3 Nd7

28.Bxd6 Qxd6 29.Rd4 e5 30.Rd2 f5 31.exd5 f4

32.Qe4 Nf6 33.Qf5+ Kb8 34.f3 Bc8 35.Qb1 g3

36.Re1 h3 37.Bf1 Rh8 38.gxh3 Bxh3 39.Kg1 Bxf1

40.Kxf1 e4 41.Qd1 Ng4! 42.fxg4 f3 43.Rg2 fxg2+ 白投了

(この章続く)

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カテゴリ: チェス世界選手権争奪史

チェス世界選手権争奪史(216)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 しかしスパスキーは第3局に勝って対戦成績を互角にした。そして5局連続引き分け(そのうちの2局はスパスキーが黒でマーシャル・ギャンビットを用いた)のあと第9局でタリが大いに優勢になった。しかし暖着を続けたあげくひどいポカを指してスパスキーにリードを許した。

ルイロペス
白 タリ
黒 スパスキー

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O Be7 6.Re1 b5 7.Bb3 O-O

8.a4(マーシャルを避けるためなら何でもよかった。第7局は 8.c3 d5!? 9.exd5 Nxd5 10.Nxe5 Nxe5 11.Rxe5 c6 12.Bxd5 cxd5 13.d4 Bd6

14.Re3 Qh4 15.h3 Qf4 16.Re5 Qf6 17.Re1 Qg6 18.Qf3 Be6

と進み白はポーン得を生かせなかった)8…b4 9.c3 d6 10.a5 bxc3 11.dxc3 Be6 12.Nbd2 Rb8

13.Bc2 Nh5 14.Nf1 g6 15.Ne3 Bf6 16.Nd5 Bg7 17.Bd3 Ra8

18.Ng5 Bc8 19.Bc4 h6 20.Nf3 Be6 21.Qd3 Nb8 22.Be3 Nf6

23.Red1(23.Nxf6+! Qxf6 24.Bd5! +/-)23…Bxd5 24.Bxd5 Nxd5 25.Qxd5 Nd7

26.Qc4(26.b4!)26…Kh7 27.Ra4 f5 28.g3 Qc8!

29.Qe2?(29.exf5 gxf5 30.Qh4 +/=)29…fxe4 -/+ 30.Rxe4 Qb7 31.Nd2 Qxb2 32.Qd3 Qb8! 33.Rh4 Nf6 34.Nf3 Qe8

35.Re1(35.Qc4!)35…Qd7 36.g4 Rae8 37.Bxh6 Bxh6 38.g5 Nh5 39.gxh6 Qf5 40.Qxf5 Rxf5 41.Nd2 Nf4

(この手が封じ手だった。黒はもうすぐポーン得になり難なく勝つ)42.Ne4 Rb8 43.Ng3 Rff8 44.Ne4 Ne6 45.c4 Rb2 46.Rd1 Rf5 47.c5 d5

48.Rxd5 Rb1+ 49.Kg2 Nf4+ 50.Rxf4 Rxf4 51.Rxe5 Kxh6 52.Re6 Re1 53.f3 Re3

54.Rxa6 Rexf3 55.Rc6 Ra3 56.Ng3 Ra2+ 57.Kg1 Rff2 58.Nf1 Rf7 59.Ne3 Kg5

60.a6 Re7 61.Nf1 Kh6 62.h3 Kg7 63.h4 Kf7 64.h5 gxh5 65.Rh6 Re5

66.Rh7+ Kg6 67.Rxc7 Rg5+ 68.Kh1 Ra1 69.a7 Rxf1+ 70.Kh2 Ra1 白投了

(この章続く)

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カテゴリ: チェス世界選手権争奪史

チェス布局の指し方[12]

第2章 ポーンの重要性

2.1 ポーンの弱点(続き)

 孤立dポーンには独自の世界がある。タラシュはかつて「孤立dポーンを持つことを恐れる者はチェスを止めた方がよい」と言っていた。このポーンの静的な弱さはしばしば動的な威力によって補われる。この点をもっと明らかにするのに役立つ二例を挙げる。

 図18(白番)

 図18で白は孤立dポーンとの戦いに成功している。白のルークは素通し列で活発に活動し、素晴らしい配置のナイトは盤上を席巻している。盤上で最も弱い駒は明らかにdポーンによって閉じ込められた黒のビショップである。白の陣形上の大きな優位を見ればこの優位を戦力上の観点に転換する手筋があっても少しも驚くにあたらない。図の局面から実戦は次のように進んだ。1.Qxc7! Qxc7 2.Ncxe6 Qxc3(クイーンが逃げれば白は切ったクイーンの代わりに2ルークとビショップを手に入れることになる)3.Rxc3 fxe6 4.Nxe6

白は1ポーン得で楽勝の収局になる。

 図19(白番)

 次は図19の局面を考えよう。ここでも白は非常に優勢である。しかし今度は孤立dポーンが攻撃側に立っている。ポーンがd4にいるので白はナイトを攻撃的な地点のe5に置くことができた。白の他の駒も活動的な地点に配置されている。対照的に黒の兵力は非常に守勢で、d5に駒を置いて白のdポーンをせき止めることもできなかった。このような局面では白はポーンをd5に進めて敵陣を乱す手筋を探すのがよい。白はここから次のような手順で勝った。1.Nxf7 Kxf7 2.d5 Nxd5 3.Nxd5

3…Qb8(3…exd5 は 4.Bxd5+ Kg6 5.Bxe7 Rxe7 6.Qxe7 Nxe7 7.Rxc7 で白の勝勢)4.Nxe7 Rxe7(4…Nxe7 は 5.Rxd7 Rxd7 6.Qxe6+)5.Bxe7

 一般に孤立dポーンの動的な強さはe5/e4とc5/c4の効果的な拠点の支配と好機に d5/…d4 と突いて仕掛ける可能性とから生じると言える。d4のポーンが敵のe6のポーンと対峙している通常の局面では孤立dポーン側は中原でいくらか陣地が広い有利さもある。孤立dポーンに対する時にはこのポーンをせき止め、キャッスリングしたキングや素通しc列に対する直接攻撃を用心することによって相手のdポーンの利点を無効にするように注意しなければならない。収局になれば孤立dポーンははっきりとした(おそらく致命的な)弱点になるのが普通である。

(この章続く)

2010年05月17日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェス布局の指し方

チェス世界選手権争奪史(215)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 スパスキー対タリ戦の世評はほぼ二分されていた。ある者はこれまでの対戦成績でタリに勝ち越しているのでスパスキーが少し有利とし別の者はタリであるがゆえにタリが勝つと考えていた。番勝負の結果はいささか期待はずれだった。最終結果は7-4でスパスキーが勝ちこれが話のほとんどを物語っていた。初戦はスパスキーがルイロペスの周期的にはやったり廃れたりしているマーシャルギャンビットを指しかなり楽に引き分けた。しかし第2局はタリと彼の多くのファンにとって大いに希望を抱かせるものだった。なぜならタリ一流のまやかし手でスパスキーが路頭に迷い彼でもそうなることが示されたからだった。

シチリア防御
白 スパスキー
黒 タリ

1.e4 c5 2.Nf3 e6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 a6 5.Nc3 Qc7

6.Bd3 Nc6 7.Be3 Nf6 8.O-O b5 9.Nb3 Be7

10.f4 d6 11.Qf3 O-O 12.a4 b4 13.Ne2 e5!

14.f5 d5 15.Ng3 Na5 16.exd5 Bb7 17.Ne4 Nc4

18.Bg5 Nxb2 19.d6? Qxd6! 20.Nxd6 Bxf3 21.Rxf3 Bxd6

22.Bxf6 gxf6 23.Be4 Rac8 24.a5 Bb8! 25.g3 Rfd8

26.Re1 Ba7+ 27.Kg2 Rd6 28.Rff1 Nc4 29.Kh3 Ne3

30.Rf3 Nxc2 31.Rc1 Rc4 32.Rd3 Bd4 33.Rxc2 Rxc2

34.Rxd4 exd4 35.Bxc2 d3 36.Bd1 Rd5 37.Kg4 Re5

38.Kf4 Re2 39.h4 h5 40.Nc5 Re1 41.Bxh5 白投了

(この章続く)

2010年05月17日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェス世界選手権争奪史

チェス世界選手権争奪史(214)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 一方タリ対ラルセン戦は激闘で、第9局が終わったところでは4½-4½の互角の成績になっていた。緊張が最高潮に達した第10局は老練なタリが棋理に反しているようだが有無を言わさぬ指し回しでまたしても立ちはだかる者すべてをなぎ払おうとしようと断固として見せつけているようだった(もっともこれより前の試合ではその反対が明らかだった)。

シチリア防御
白 タリ
黒 ラルセン

1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 e6 5.Nc3 d6

6.Be3 Nf6 7.f4 Be7 8.Qf3 O-O 9.O-O-O Qc7 10.Ndb5 Qb8

11.g4 a6 12.Nd4 Nxd4 13.Bxd4 b5(13…e5!?)14.g5 Nd7 15.Bd3 b4

16.Nd5! exd5 17.exd5 f5 18.Rde1 Rf7 19.h4 Bb7

20.Bxf5(タリは「この手は勝敗を気にしてひよってしまった」と述懐している。そしてもっと激しく 20.g6 hxg6 21.h5 g5 としてから 22.Bxf5

とやっていく方が良かったと述べている。これに対する黒の最善の受けは 22…Bf6 23.Be6 Qf8! で、黒が受けきる可能性がある)20…Rxf5 21.Rxe7 Ne5 22.Qe4 Qf8 23.fxe5 Rf4 24.Qe3

24…Rf3(24…Bxd5 25.exd6 Rxd4 26.Qxd4! Bxh1 27.b3 Bf3! 28.Qc4+ Kh8 29.Rf7 Qxd6 30.Rxf3 +/-

25.Qe2 Qxe7 26.Qxf3 dxe5 27.Re1 Rd8 28.Rxe5 Qd6 29.Qf4

(ここでは白の勝勢である)29…Rf8 30.Qe4 b3 31.axb3 Rf1+ 32.Kd2 Qb4+ 33.c3 Qd6 34.Bc5!

34…Qxc5 35.Re8+ Rf8 36.Qe6+ Kh8 37.Qf7! 黒投了

(この章続く)

2010年05月16日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェス世界選手権争奪史

チェス世界選手権争奪史(213)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 準決勝の組み合わせはスパスキー対ゲレルとタリ対ラルセンになった。どちらも接戦が期待されたが実際にそうなったのは片方だけだった。スパスキーはゲレルを5½-2½でかなり気楽に片付けた。最も精魂を傾けたのは第6局だった。

ルイロペス
白 スパスキー
黒 ゲレル

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O Be7 6.Re1 b5 7.Bb3 O-O 8.c3 d6

9.h3 Nd7 10.d4 Nb6 11.Nbd2 Bf6 12.Nf1 Re8

13.N1h2 exd4 14.cxd4 Na5 15.Bc2 c5 16.Ng4 Bxg4

17.hxg4 cxd4 18.g5 Be7 19.e5 Bf8 20.Bxh7+ Kxh7

21.g6+ Kg8 22.Ng5 fxg6 23.Qf3 Qxg5 24.Bxg5 dxe5

25.Rac1 Ra7 26.Qd3 Re6 27.f4! Nac4 28.fxe5 Nxe5

29.Qxd4 Rd7 30.Qe4 Be7 31.Be3 Nbc4 32.Rcd1 Rxd1

33.Rxd1 Nxb2 34.Qd5 Kf7 35.Rb1 Nbc4 36.Bf2 g5

37.Re1 Bf6 38.Kh1 Nb2 39.Re3 Nbc4 40.Re2 Nd6

41.Bd4 Ndc4 42.g4 Ke7 43.Bc5+ Kf7 44.Qb7+ 黒投了

(この章続く)

2010年05月15日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: チェス世界選手権争奪史

「ヒカルのチェス」(167)

「British Chess Magazine」2010年3月号(1/3)

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コーラス バイクアーンゼー

イアン・ロジャーズ


黒づくめの服のバルージャン・アコビアンがカラフルな服のイアン・ロジャーズとヒカル・ナカムラ(右)をなじるように指さしている。たぶんちょっとうらやましかっただけ。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

1 マグヌス・カールセン
gm ノルウェー 2810
0 ½ ½ ½ 1 1 ½ 1 ½ ½ 1 ½ 1

2 ウラジーミル・クラムニク
gm ロシア 2788
1 ½ 0 1 ½ ½ ½ ½ ½ ½ 1 ½ 1 8

3 アレクセイ・シロフ
gm スペイン 2723
½ ½ 0 0 ½ ½ 1 ½ 1 ½ 1 1 1 8

4 ビスワーナターン・アーナンド
gm インド 2790
½ 1 1 ½ ½ ½ ½ ½ ½ ½ ½ ½ ½

5 ヒカル・ナカムラ
gm 米国 2708
½ 0 1 ½ 0 ½ ½ ½ ½ 1 1 1 ½

6 セルゲイ・カリャーキン
gm ロシア 2720
0 ½ ½ ½ 1 ½ ½ ½ ½ 1 ½ ½ ½ 7

7 バシル・イワンチュク
gm ウクライナ 2749
0 ½ ½ ½ ½ ½ ½ ½ ½ ½ 1 ½ 1 7

8 ペーテル・レーコー
gm ハンガリー 2739
½ ½ 0 ½ ½ ½ ½ ½ 1 ½ 0 ½ 1

9 レイニェル・ドミンゲス
gm キューバ 2712
0 ½ ½ ½ ½ ½ ½ ½ ½ ½ ½ 1 ½

10 ファビアーノ・カルアーナ
gm イタリア 2675
½ ½ 0 ½ ½ ½ ½ 0 ½ ½ ½ 1 0

11 ナイジェル・ショート
gm 英国 2696
½ ½ ½ ½ 0 0 ½ ½ ½ ½ 0 ½ ½ 5

12 ルーク・ファン・ベリ
gm オランダ 2641
0 0 0 ½ 0 ½ 0 1 ½ ½ 1 1 0 5

13 セルゲイ・ティビアコフ
gm オランダ 2662
½ ½ 0 ½ 0 ½ ½ ½ 0 0 ½ 0 1

14 ヤン・スメーツ
gm オランダ 2657
0 0 0 ½ ½ ½ 0 0 ½ 1 ½ 1 0

第72回コーラス バイク・アーン・ゼー(オランダ) Aグループ 2010年1月16-31日
平均レイティング2719、第19水準、持ち時間 40手1時間40分、20手50分、残り15分、毎手30秒加算

 たぶんバイク・アーン・ゼーでの成績に最も喜んでいる選手は同点4位だった。22歳のヒカル・ナカムラはグランドスラム大会に初登場だったがあけすけな米国チャンピオンはシロフの逃走を止め大会の折り返し点で首位に挑みグランドスラム出場にふさわしいことを証明した。ファン・ベリ戦での電撃攻撃は今大会中白眉の試合でもあった。

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(この号続く)

2010年05月14日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: ヒカルのチェス

チェス世界選手権争奪史(212)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 一方ユーゴスラビアのブレッドではラルセンがイフコフに5½-2½と楽勝していた。タリはそれほど楽ではなかったがポルティッシュに同じ成績で勝った。彼は番勝負の全局をとおして典型的に奔放に指し回した。これはその第2局である。

カロカン防御
白 タリ
黒 ポルティッシュ

1.e4 c6 2.Nc3 d5 3.Nf3 dxe4 4.Nxe4 Bg4 5.h3 Bxf3 6.Qxf3 Nd7

7.d4 Ngf6 8.Bd3 Nxe4 9.Qxe4 e6 10.O-O Be7 11.c3 Nf6

12.Qh4 Nd5 13.Qg4 Bf6 14.Re1 Qb6 15.c4 Nb4 16.Rxe6+ fxe6

17.Qxe6+ Kf8 18.Bf4 Rd8 19.c5 Nxd3! 20.cxb6 Nxf4 21.Qg4 Nd5

22.bxa7 Ke7 23.b4! Ra8 24.Re1+ Kd6 25.b5! Rxa7 26.Re6+ Kc7 27.Rxf6 黒投了

(この章続く)

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カテゴリ: チェス世界選手権争奪史

チェス世界選手権争奪史(211)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 この後まもなくモスクワで行なわれたスミスロフとゲレルの番勝負は批評家たちの一般的な見方では元世界チャンピオンに分があるとされていた。しかし彼はひどい不調で1局も勝てなかった。一方ゲレルは意欲的な指し回しで初めの白番の奇数局3局に勝ち黒番は引き分けた。第5局では挑戦者決定番勝負の中で今でも最高の名局とたたえられる試合を指した。

グリューンフェルト防御
白 ゲレル
黒 スミスロフ

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 d5 4.cxd5 Nxd5 5.e4 Nxc3 6.bxc3 Bg7 7.Bc4 c5 8.Ne2 O-O 9.O-O Nc6 10.Be3 Qc7 11.Rc1 Rd8

 この戦型はフィッシャーも得意だったが芳しくない戦績だった(例えばスパスキー戦での2敗)。もっとも両局とも布局は自分の方が良かったとすぐに指摘していた。

12.f4

 1966年サンタモニカでのフィッシャー戦でスパスキーは 12.Qe1 と指し次のように続いた。12…e6 13.f4 Na5 14.Bd3 f5 15.Rd1 b6 16.Qf2 cxd4 17.Bxd4 Bxd4 18.cxd4 Bb7

形勢はほぼ互角だった。1970年西ドイツのジーゲンでのオリンピアードでスパスキーは 12.h3 と手を変えて次のように進んだ。12…b6 13.f4 e6 14.Qe1 Na5 15.Bd3 f5 16.g4 fxe4 17.Bxe4 Bb7

18.Ng3 Nc4 19.Bxb7 Qxb7 20.Bf2 Qc6 21.Qe2 cxd4 22.cxd4 b5

少なくとも黒が互角の形勢だがこの後フィッシャーはチームの勝ち点を考慮して無理に勝とうとして負けてしまった。

12…e6 13.Kh1

13…b6

 13…Na5 14.Bd3 f5 と指す方がずっと安全だった。実戦は白が相手の形を乱すポーンの犠牲で強襲を仕掛けた。

14.f5!

14…Na5

 14…exf5 は 15.Bg5 Rf8 16.Nf4 で白の圧力が強い。

15.Bd3 exf5 16.exf5 Bb7 17.Qd2 Re8 18.Ng3 Qc6 19.Rf2

19…Rad8

 一見良さそうな 19…Rxe3 20.Qxe3 cxd4 21.cxd4 Bxd4 は 22.Qf4! Qxc1+ 23.Qxc1 Bxf2 24.Qh6!

で良くない。25.f6 の狙いがあるので白が勝勢である。

20.Bh6 Bh8 21.Qf4 Rd7 22.Ne4

22…c4

 22…Rxe4 には 23.Bxe4 Qxe4 24.Qb8+ がある。最善の受けはたぶん 22…Qc7 で、23.Re1 Bxe4 24.Rxe4 Rxe4 25.Qxe4 で白が優勢である。

23.Bc2 Rde7

24.Rcf1

 この手は 24.fxg6 hxg6 25.Bg5 で 25…f5 とさせて交換得を図るよりも強力である。

24…Rxe4

25.fxg6!

 25…Rxf4 なら 26.gxh7# は自明である。それほど自明でないのは 25…Qxg6 で、26.Qxf7+ Qxf7 27.Rxf7 となって黒はf8またはh7での詰みを防げない。

25…f6 26.Qg5!

 もちろん黒はf8で詰まされるのでこのクイーンを取ることができない。

26…Qd7 27.Kg1! Bg7 28.Rxf6

28…Rg4

 28…Bxf6 は 29.Qxf6 hxg6 30.Qxg6+ Kh8 31.Bg5 R4e6 32.Bf6+ Rxf6 33.Rxf6

で決まる。

29.gxh7+ Kh8 30.Bxg7+ Qxg7 31.Qxg4! 黒投了

(この章続く)

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カテゴリ: チェス世界選手権争奪史

世界のチェス雑誌から(72)

Olympiad United! Dresden 2008(8/8)

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ヨーロッパのチェス侍(続き)
セルビア人の日本コーチ体験

 日本女子チームのコーチも担当していたので主将の中川笑子(レイティング1860、11戦5.5点、実効レイティング1756)の試合を紹介したい。彼女はすぐれた指し回しと局面の深い理解力でみごとに5勝をあげた。その中から第9回戦の中国台湾との試合をとりあげる。

□ 中川笑子 (1860)
■ エルサ・ウィー・チュン・ユエ (1612)
ニムゾインディアン防御 [E38]
(解説 ミハイロ・ストヤノビッチ)

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4 4.Qc2 c5 5.dxc5 Na6 6.a3 Qa5

7.Bd2 Nxc5 8.Nf3 d6 9.Rc1 Bxc3 10.Bxc3 Qa4 11.Qxa4+ Nxa4

12.Bxf6 gxf6 13.b4 Rg8 14.g3 b6 15.Bg2 Bb7 16.O-O Rc8 17.Nd2!

 ナイトを交換すると黒の弱いf6、f7またはh7のポーンに対する攻撃が容易になるので白が有利である。

17…Bxg2 18.Kxg2 Rg4 19.Rc2!

 この手は好手である。白はまず Rfc1 で黒の反撃を制限する。そうすれば Nd2 が自由に動ける。

19…b5?

 チェスの戦略の重要な原則の一つは「自分の不利なところで戦うな」である。19…Ke7 なら黒は少し不利なだけだった。それに対して白は 20.Rfc1、Nb3、e3、Nd4、f4、Kf3 と陣形を整えた後 b5 または Nb5、さらには f5(どれにするかは相手の手による)として優勢である。

20.Rfc1 bxc4 21.Nxc4!

 これで黒が大いに困っている。

21…Rd4?

 ここで 21…Ke7 は 22.Ne3 Rxc2 23.Rxc2 から 24.Rc7+ が残る。だから最善手は 21…Rd8 だった。以下 22.Ne3 Rd4 23.Rc7 Rd7 24.Rc8+! Ke7 25.R1c7

のあと Rxd7+ から Ra8 または Rh8 を狙って白が優勢である。ただしすぐに 25.Rh8 は 25…Rd2 26.Kf3 Ra2 で黒が引き分けにできる可能性が高くなる。

22.Nxd6+ Rxd6 23.Rxc8+

 あとは中川選手が大きな駒得を生かして勝ちを決めた。

23…Rd8 24.Rxd8+ Kxd8 25.Rc4 Nb6 26.Rh4 Ke7 27.Rxh7 Nc4

28.a4 a5 29.bxa5 Nxa5 30.Rh4 f5 31.Rb4 Kd6 32.h4 Ke7

33.Kf3 Kf6 34.Ke3 Nc6 35.Rb5 Kg6 36.a5 f6 37.a6 Na7

38.Rb7 Nc6 39.a7 Nxa7 40.Rxa7 e5 41.f3 Kh5 42.Rh7+ Kg6 43.Rh8 Kg7 44.Ra8 Kg6 45.g4 1-0

 日本は多くの分野で急速に地位を向上させてきた国なので、今度は「ヨーロッパの侍チェス」の生徒から何を期待できるだろうか?

******************************

(この本終わり)

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チェス世界選手権争奪史(210)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー(続き)

 準々決勝で最も熱戦を期待されたのは1956年以来初めて世界選手権戦に戻ってきた再起ボリス・スパスキーと今回が世界選手権獲得への最後の機会となるはずであることを十分に承知しているケレスとの番勝負だった。実際期待にそぐわぬものとなった。10番勝負は1965年4月4日にリガで開始され、ケレスの快勝で始まり第2局は引き分けになった。スパスキーは第3局で成績を互角にし第4局と第5局で差をつけさらに2局引き分けで第7局までリードを維持した。ケレスは第8局に勝ち第9局は引き分けだった。ケレスが番勝負を続けるためには勝たねばならない第10局は最初から最後まで波瀾万丈だった。

キング翼インディアン防御
白 ケレス
黒 スパスキー

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 Bg7 4.e4 d6 5.f4 c5 6.d5 O-O 7.Nf3 e6

8.Be2 exd5 9.cxd5 b5 10.e5 dxe5 11.fxe5 Ng4

12.Bf4(この手は新手で、以降の乱戦に引きずり込むつもりである。それまでの 12.Bg5 は次のように黒の指せる展開になる。12…f6 13.exf6 Bxf6 14.Bxf6 Qxf6 15.Bxb5 Bd7!

マルティネス対カバレク、テルアビブ、1964年)12…Nd7 13.e6

(眼目の手)13…fxe6 14.dxe6

14…Rxf4(14…Nb6 は 15.Qxd8 Rxd8 16.e7 Re8 17.Bd6 で良くない)15.Qd5 Kh8 16.Qxa8 Nb6 17.Qxa7 Bxe6

(明らかに黒には交換損の代償がある)18.O-O Ne3

19.Rf2(19.Rad1 で交換得を返す方が明らかに安全だが、引き分け-安全策の当然の結果-はケレスにとって意味がない)19…b4 20.Nb5 Rf7 21.Qa5 Qb8 22.Rae1 Bd5

23.Bf1 Nxf1 24.Rfxf1 Nc4 25.Qa6 Rf6 26.Qa4 Nxb2

27.Qc2?(27.Qa5 なら 27…Nd3 =/+ ただし 27…Nc4 は 28.Qc7 Qxb5 29.Qd8+ Bg8 30.Re8 +/-)27…Qxb5

28.Re7(28.Qxb2 は 28…Rxf3)28…Nd3 29.Qe2 c4 30.Re8+ Rf8 31.Rxf8+ Bxf8 32.Ng5 Bc5+ 33.Kh1 Qd7 34.Qd2 Qe7 35.Nf3 Qe3 白時間切れ負け

(この章続く)

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チェス世界選手権争奪史(209)

第9章 スパスキーと奇才フィッシャー

 チグラン・ペトロシアンが生まれ故郷のエレバンに戻りアルメニアのプラム・ブランデーで戴冠の祝杯を挙げている間にボビー・フィッシャーは世界の反対側でニュースになっていた。『スポーツ・イラストレーテッド』(米国の週刊スポーツ誌)の「ロシアが世界チェスでインチキ」という記事で彼はよそ者-はっきり言えばフィッシャーのこと-を世界選手権に挑戦させなくするために仲間で短手数の引き分けを前もって取り決めていたとキュラソーでのソ連軍団を非難した。短手数の引き分けが必要ならばロシア人選手たちがそのような戦術を用いないことはないということは一般に認識されていたが彼らが実際にそうしていたかという議論は続いていた。決定的な結論を出すことは明らかに不可能だった。フィッシャーの告発は二様の結果をもたらした。一つ目は本気であることを示すためにフィッシャーは1967年まで世界選手権競技会から引退した。二つ目は当時フィッシャーの告発とは無関係と主張されたけれどもFIDEは挑戦者の選出方法を抜本的に変えた。これ以降インターゾーナルからの進出者は彼らの間で一連の番勝負を戦い(これにより競技会によってもたらされる共謀の機会が排除される)最後に世界選手権の番勝負に至ることになった。

 1964年アムステルダムで開催されたインターゾーナルは滞りなく進行した。その結果ソ連のスミスロフ、スパスキー、タリとデンマークのベント・ラルセンの4人が同点優勝した。ラルセンはこの快挙によりフィッシャーに次ぐ西側最強の選手として登場し、フィッシャーの一時的な引退によりロシアの覇権を脅かす最大の存在となった。第5位に入ったのはレオニド・シュテインで、またしても同一国からの進出者を3名に制限する規定の犠牲になった。第6位はブロンシュテイン、第7位はボリスラフ・イフコフ(1933年生まれ、ユーゴスラビア)、そして最後の進出権を争う8位と9位には同点でラヨス・ポルティッシュ(1937年生まれ、ハンガリー)とレシェフスキーが入った。大会終了後まもなく行なわれた4番勝負の決定戦でポルティッシュはサミーの世界選手権戦への最後となるかもしれない希望をつぶした。

 他に挑戦者決定番勝負に加わるのはキュラソーでの2位決定番勝負でゲレルを下したことによるパウル・ケレスと、もちろんボトビニクだった。しかしボトビニクは再戦の権利が廃止されたことに不満で参加を辞退した。くじ引きの結果1回戦の組み合わせはボトビニクの代わりのゲレル対スミスロフ、ケレス対スパスキー、タリ対ポルティッシュ、ラルセン対イフコフとなった。

(この章続く)

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チェス布局の指し方[11]

第2章 ポーンの重要性

2.1 ポーンの弱点(続き)

 さらに続ける前に二つの明らかだが重要な一般的要点について触れておこう。一つ目は素通し列上の出遅れポーンと孤立ポーンは素通しでない列にあるものよりはるかに弱いのが普通である。これは素通し列上のポーンは敵の大駒によって縦から攻撃されるからである。二つ目はポーンそのものだけでなくポーンの前の地点も弱点になるかもしれない。例えば前に出てきたトマス対アリョーヒン戦ではc4の地点がしっかり黒の手中に落ち黒駒の絶好の拠点として利用された。

 盤上の戦力が交換によって減っていくにつれて弱いポーンの不利は減少するどころか増大していく傾向がある。それは弱者の保護を他の個所の活発な活動と組み合わせるのがだんだん困難になるからである。その実例が図17で見られる。この局面は1912年ブレスラウでのルビーンシュタイン対マーシャル戦である。

 図17(白番)

 ここまでの指し手でルビーンシュタインはマーシャルの2ナイトに対し双ビショップを持つ有望な中盤戦を拒絶し大駒だけの収局に持ち込んだ。明らかに彼の判断は主観的にも(マーシャルは収局よりも攻撃の方が得意だった)客観的にも正しかった。中盤戦では黒はf列を白キングに対する襲撃の集結地点として用いることができた。これに対して実戦の収局ではこの列の支配は大して重要でなく、黒は孤立cおよびeポーンの代償がない。これらのポーンの弱さは試合の結果を決めるのに十分だった。1.e4! Qh5 2.f4!(2.Qxc6 は 2…Rh6 3.h4 Qg4 で黒にキング翼で手を作らせ十分な引き分けの可能性を与えてしまう。黒はルークを切って永久チェックをかけるのがよくやるやり方である。白は急いで弱いポーンを取る必要はない。それらは逃げだすことはない。だから白はまず自分のキングの安全を確保すべきである)2…Qa5 3.e5 Rh6 4.Rc2 Qb6+ 5.Kg2 Rd8 6.Rff2

(これで黒は戦術の狙いが尽きて自陣が崩壊する)6…Rc8 7.Rfd2 Kh8 8.Rd6 Qb8 9.Rxc6 Rg8 10.Rc8

これで白が勝つ。

(この章続く)

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チェス世界選手権争奪史(208)

第8章 タリとペトロシアン(続き)

 ペトロシアンが第19局も勝った時ボトビニクは終わった。第20局は21手の引き分け、第21局は10手の引き分けだった。そしてボトビニクが過去23年間のほとんどその座についていた王座からついに降りた第22局はあっけない結末だった。

クイーン翼ギャンビット受諾
白 ボトビニク
黒 ペトロシアン

1.d4 d5 2.c4 dxc4 3.Nf3 Nf6 4.Qa4+ Nc6 5.Nc3 Nd5

6.e4 Nb6 7.Qd1 Bg4 8.d5 Ne5 9.Bf4 Ng6 10.Be3 e6 引き分け

 これで一つの時代が終わった。

(この章終わり)

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チェス世界選手権争奪史(207)

第8章 タリとペトロシアン(続き)

 それから長い凪(なぎ)が続き6局連続引き分けだった。リードしているペトロシアンは傍観に満足し相手に何かやってこさせるようにした。一方ボトビニクも早まった攻撃を仕掛けず単に好機を待つだけだった。しかし第14局でボトビニクは好機をとらえ対戦成績を互角にした。しかしそれもつかの間だった。ペトロシアンはお返しに第15局に勝った。それからもう2局引き分けが続いたあと第18局が天王山だった。

クイーン翼ギャンビット拒否
白 ボトビニク
黒 ペトロシアン

1.d4 d5 2.c4 e6 3.Nc3 Be7 4.cxd5 exd5 5.Bf4 c6 6.e3 Bf5

7.g4 Be6 8.h3 Nf6 9.Nf3 Nbd7 10.Bd3 Nb6 11.Qc2 Nc4

12.Kf1 Nd6 13.Nd2 Qc8 14.Kg2 Nd7 15.f3 g6 16.Rac1 Nb6

17.b3 Qd7 18.Ne2 Ndc8 19.a4 a5 20.Bg3 Bd6 21.Nf4 Ne7

22.Nf1 h5 23.Be2 h4 24.Bh2 g5 25.Nd3 Qc7 26.Qd2 Nd7

27.Bg1 Ng6 28.Bh2 Ne7 29.Bd1 b6 30.Kg1 f6 31.e4 Bxh2+

32.Qxh2 Qxh2+ 33.Rxh2 Rd8 34.Kf2 Kf7 35.Ke3 Rhe8 36.Rd2 Kg7

37.Kf2 dxe4 38.fxe4 Nf8 39.Ne1 Nfg6 40.Ng2 Rd7 41.Bc2 Bf7

42.Nfe3?? c5 43.d5 Ne5 44.Rf1 Bg6 45.Ke1 Nc8 46.Rdf2 Rf7

47.Kd2 Nd6 48.Nf5+ Bxf5 49.exf5 c4 50.Rb1 b5 51.b4 c3+

52.Kxc3 Rc7+ 53.Kd2 Nec4+ 54.Kd1 Na3 55.Rb2 Ndc4 56.Ra2 axb4

57.axb5 Nxb5 58.Ra6 Nc3+ 59.Kc1 Nxd5 60.Ba4 Rec8 61.Ne1 Nf4 白投了

(この章続く)

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チェス世界選手権争奪史(206)

第8章 タリとペトロシアン(続き)

 第6局は穏やかな引き分けだったが第7局で挑戦者が対戦成績をリードした。

イギリス布局
白 ペトロシアン
黒 ボトビニク

1.c4 g6 2.Nf3 Bg7 3.Nc3 e5 4.g3 Ne7 5.Bg2 O-O 6.d4 exd4 7.Nxd4 Nc6

8.Nxc6 Nxc6 9.O-O d6 10.Bd2 Bg4 11.h3 Be6 12.b3 Qd7

13.Kh2 Rae8 14.Rc1 f5 15.Nd5 Kh8 16.Be3 Bg8 17.Qd2 Nd8

18.Rfd1 Ne6 19.Nf4 Nxf4 20.Bxf4 Qc8 21.h4 Re7 22.Bf3 Bf7

23.Qa5 Be8 24.c5 d5 25.Bd6 Qd7 26.Bxe7 Qxe7 27.Rxd5 f4

28.Qd2 Bc6 29.Rd3 Bb5 30.Rd4 fxg3+ 31.fxg3 Bxd4 32.Qxd4+ Qg7

33.Qxg7+ Kxg7 34.Rc2 Re8 35.Kg2 Kf6 36.Kf2 Bc6 37.Bxc6 bxc6

38.Rc4 Ke5 39.Ra4 Ra8 40.Ra6 Kd5 41.b4 Kc4 42.a3 Kb5

43.Ra5+ Kc4 44.Ke3 a6 45.Kf4 Kd5 46.Kg5 Re8 47.Rxa6 Rxe2

48.Ra7 Re5+ 49.Kf4 Re7 50.Rb7 Ke6 51.a4 Kd7 52.Rb8 黒投了

(この章続く)

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カテゴリ: チェス世界選手権争奪史

「ヒカルのチェス」(166)

「British Chess Magazine」2010年1月号(3/3)

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ロンドン・チェスクラシック(続き)

第5回戦(12月13日)

 ヒカル・ナカムラとルーク・マクシェーンとの試合は観客に関する限り期待に違わぬ好取組で実際そうなった。ルークはキング翼インディアン防御の …Na6 戦法を堅持することにした。マグヌス戦ではそれで負けたが今度は勇気が報いられた。2勝目をあげただけでなくこの回の名局賞の1千ユーロももらった。ルークの指し回しが良かったが、ヒカルの戦い振りにも多くの賞賛が与えられる。

第5回戦
□ヒカル・ナカムラ
■ルーク・マクシェーン
キング翼インディアン防御 [E94]

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 Bg7 4.e4 d6 5.Be2 O-O 6.Nf3 e5 7.O-O Na6

8.Be3

 第2回戦のマクシェーンとの試合でカールセンは 8.Re1 を選択した。

8…Ng4 9.Bg5 Qe8 10.c5!?

 これで局面が不均衡になり確実に型にはまったキッド(King’s Indian Defense)の試合にならなくなる。

10…exd4 11.Nd5

11…Be6

 2005年イェーテボリでのナバラ対マクシェーン戦では 11…Nxc5 12.Nxc7 Qxe4 13.Re1 Rb8 14.Bc4 Qf5 15.Be7

と進み白の勝ちに終わった。

12.Be7!?

 これもヒカル・ナカムラの思い切った勝負手だった。恐らく 12.Bxa6 Bxd5 13.exd5 bxa6 14.cxd6 cxd6 15.Nxd4 Qd7

を読んで十分でないと判断したのだろう。チェスエンジンは好みの局面のようだが白が指せる局面かどうかは怪しい。

12…Bxd5 13.Bxf8 Qxf8 14.exd5 dxc5

 黒はルークを取らせてナイトと2ポーンを得た。駒割はまったく均衡がとれている。

15.Qb3 Rb8 16.Rfe1 Qd6

17.h3

 白はクイーン翼の黒のポーン全部を警戒しなければならない。例えば 17.Bc4? は 17…b5! と突かれ 18.Bxb5 と取ると 18…c6 19.dxc6 Nc7 20.a4 a6

でビショップが取られる。17.Qa4!? がクイーン翼のポーン突きを制止するための抜け目のない手かもしれない。

17…Nf6 18.Bxa6

 この手のあと黒が少し押し気味である。たぶん白は 18.a3 のようなそれほど形を決めない手を指すべきだった。

18…Qxa6 19.Rac1 Bf8 20.Ne5 Qb6 21.Qf3 Qd6

22.g4?!

 たぶんこの手は指し過ぎである。22.Nd3!? がもっと慎重な手で黒のクイーン翼のポーンを抑止する。以下 22…b6 23.b4 Nxd5 24.bxc5 bxc5 25.Rxc5 Nf4 26.Rec1

で白が指せそうである。

22…Bh6!

 黒は重要な黒枡を握った。いつかポーンをd2の地点に進ませる夢さえある。

23.Rc2 Re8 24.Rce2 Rf8 25.Nc4 Qxd5 26.Qxf6

26…Bg7!?

 たぶんこの手はすぐに 26…Qxc4 と取る手より優る。その手は 27.Re8 とされ例えば 27…Qxa2? と欲張ると 28.g5! Bg7 29.Rxf8+ Bxf8 30.Re8

となって 31.Qe7 からの詰みに受けがない。

27.Qh4

 27.Qf4 の方が良いだろうがそれでも黒には 27…Qxc4 28.b3 Qd5 29.Qxc7 d3 30.Re7 Bc3

という手順があって勝ちになるだろう。

27…Qxc4 28.Re8 Qd5 29.Rxf8+ Bxf8 30.Re8 Kg7

31.g5

 白にとって非常に困難な状況になり始めた。31.Qd8 Qxd8 32.Rxd8 と指すこともできたが長期的には実戦と似たり寄ったりかもしれない。

31…Qd6

 これで黒はキングの防御態勢を完了しクイーン翼ポーンの進攻に注意を向けることができる。

32.Kf1 b5 33.Ke1

 白はキングを使って敵ポーンの前進を止めたがっている。

33…c4 34.Qe4 c5 35.h4 c3 36.bxc3 dxc3 37.Qe5+

 難しい決断だがたぶん最善だろう。

37…Qxe5+ 38.Rxe5 a5 39.Kd1 a4 40.a3 b4 41.Kc2

41…h6!

 この手の意味は単にキングにh7の地点を用意しビショップをg7に上げて …b3+ とできるようにすることである。

42.Rd5?

 42.Re8 Bd6 43.Ra8 の方が実戦より黒にもっと課題を与えられた。

42…hxg5 43.hxg5 Kh7

44.Rd7

 ここでの要点は 44.axb4 cxb4 45.Ra5 b3+ 46.Kxc3

とすると 46…Bb4+! で白の負けになるということである。ビショップを取るとbポーンが昇格する。

44…Bg7!

 f7のポーンを取られて自分で釘付けの形になることはbポーンをもう一枡進ませる機会に比べて物の数ではない。

45.Rxf7 b3+ 46.Kb1 Kg8 47.Ra7 Bd4 48.Rxa4

48…Kf7!

 48…Bxf2? はたった1手の差だが大違いである。49.Re4 でも 49.Rc4 でもうまくいかない。黒は進展を図ることができず白のaポーンが前進を始めるとおおごとになる。

49.Ra6

 49.Ra7+ は 49…Ke6 50.Rb7 c4 で黒の密集軍は無敵である。例えば 51.Rc7 Kd5 52.Rd7+ Ke4

で黒キングが詰みにひと役買う。

49…Be5 50.Ra4

 ルークは …c2+ から …Bf4+ という大きな狙いを止めなければならないがそのために黒キングを侵入させてしまう。

50…Ke6 51.Rh4 Kd5 52.a4 c4

53.Rh1

 53.a5 c2+ 54.Kc1 Bd6 はご臨終である。

53…c2+ 54.Kc1 c3

 黒の狙いはポーンを昇格させることでなくビショップで詰めることである。白は詰み筋の両方の斜筋を押さえることができない。

55.Rh4 Bd6 0-1

 あと2手で詰む。ルーク・マクシェーンはこの試合で1千ユーロの名局賞をもらった。恐らくキング翼インディアン防御は大丈夫なのだろう・・・

第6回戦(12月14日)

 デービド・ハウエルとヒカル・ナカムラは33手目までに盤上から駒のほとんどが飛び散ったあと引き分けた。黒番のナカムラはキング翼で反撃に努めたがハウエルは頑強に抵抗し引き分けの異色ビショップ収局になった。

 残り1試合を残しての成績はカールセン12/18、クラムニク11、マクシェーン7、アダムズとハウエル6、ナカムラ5、ショート4だった。最終戦で(ナイジェル・ショート相手の黒番)カールセンは優勝を絶対確実にするためにはまだ勝つ必要があった。ウラジミル・クラムニクがヒカル・ナカムラ相手の黒番で勝てば引き分けでは十分でないからである。だから3-1-0の得点方式の採用は大会の緊張感を最後まで維持するのに役立った。

第7回戦(12月15日)

 激闘の大会にふさわしく優勝の行方は最後の試合が終わった時に決まった。最初に終わったのはナカムラ対クラムニク戦だった。両選手は勝つために大いに努力した。クラムニクはルークを切ってビショップと2ポーンを取り白キングに対する狙いも得た。しかし米国選手は持ちこたえ両選手は最終的に手を繰り返して引き分けにした。二人ともロンドンでの最終結果にはすこし不満だろうが大会を大きく盛り上げた二人の役割は賞賛に値する。

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(この号終わり)

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カテゴリ: ヒカルのチェス

チェス世界選手権争奪史(205)

第8章 タリとペトロシアン(続き)

 次からの3局は引き分けだった。第2局でペトロシアンはクイーン翼ギャンビット受諾を指した。彼はこの防御を第6局、第8局、第16局、第20局、それに第22局でも繰り返し用いすべて引き分けだった。第3局でボトビニクは指しかけ時に1ポーン損だったが再開までの優れた研究のおかげで半点をもぎ取ることができた。第4局はたった24手だった。

 第5局で挑戦者はこの選手権戦中の最高の出来で対戦成績を互角にした。

グリューンフェルト防御
白 ペトロシアン
黒 ボトビニク

1.c4 g6 2.d4 Nf6 3.Nc3 d5 4.Nf3 Bg7

5.e3

 第1局のようにペトロシアンは穏やかな戦法を選択した。たぶん 5.Qb3 はボトビニクがスミスロフとの番勝負の準備で徹底的に研究していたので避けたのだろう。

5…O-O 6.Be2

 フィッシャーは「チェスライフ」誌の解説の一つで 6.Be2 を「まさに初心者の手」と呼んだ。そしてここからどのように進展するかの例として本局を引用した。

6…dxc4 7.Bxc4 c5 8.d5 e6

9.dxe6

 9.e4 は 9…exd5 10.exd5 Re8+ 11.Be2 Nbd7 12.O-O Nb6

で黒が満足できる。実戦の手はこれよりも強い手である。

9…Qxd1+ 10.Kxd1 Bxe6 11.Bxe6 fxe6 12.Ke2

 形勢はほぼ互角である。黒の多数派クイーン翼ポーンが孤立eポーンの適切な代償になっている。

12…Nc6 13.Rd1 Rad8

 フロールは 13…Kf7 を推奨した。

14.Rxd8 Rxd8 15.Ng5 Re8 16.Nge4 Nxe4 17.Nxe4 b6 18.Rb1 Nb4 19.Bd2!

19…Nd5

 19…Nxa2 と取ると 20.Ra1 Nb4 21.Bxb4 cxb4 22.Rxa7 Bxb2 23.Rb7 +/=

となる。

20.a4 Rc8 21.b3 Bf8 22.Rc1

22…Be7?

 この手のためにペトロシアンが黒の多数派クイーン翼で有利に戦うことができるようになった。タリ推奨の 22…a6 なら 23.b4 c4 24.b5 axb5 25.axb5 Be7

で黒がはるかに強力に反撃できた。

23.b4! c4 24.b5 Kf7 25.Bc3 Ba3 26.Rc2 Nxc3+

 この手は 27.Nd2 の防ぎである。

27.Rxc3 Bb4 28.Rc2

28…Ke7

 タリは「ソ連のスポーツ」誌で 28…e5 の主変化を次のように分析していた。29.Nd2 c3 30.Ne4 Ke6 31.f3 h6 32.Kd3 Rd8+ 33.Kc4 Rd2!? 34.Kb3

34…Rxc2(34…Kd5 35.Nxc3+ は白の勝ち)35.Kxc2 Kd5 36.Kd3! c2 37.Kxc2 Kc4 38.Nd2+

これで白が優勢である。

29.Nd2 c3 30.Ne4 Ba5 31.Kd3 Rd8+ 32.Kc4

32…Rd1

 32…Rd2 なら 33.Kb3 +/- である。

33.Nxc3 Rh1 34.Ne4! Rxh2 35.Kd4 Kd7

36.g3

 36.g4 は 36…h5! が鋭い反撃で 37.Ke5 hxg4 38.Nf6+ Ke7 または 37.gxh5 gxh5 38.Ke5 Be1 となる。

36…Bb4 37.Ke5 Rh5+ 38.Kf6 Be7+ 39.Kg7 e5

40.Rc6 Rh1 41.Kf7! Ra1 42.Re6 Bd8 43.Rd6+ Kc8

44.Ke8 Bc7 45.Rc6 Rd1 46.Ng5 Rd8+ 47.Kf7 Rd7+ 48.Kg8 黒投了

(この章続く)

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チェス世界選手権争奪史(204)

第8章 タリとペトロシアン(続き)

 タイトル防衛の準備をしている間にミハイル・ボトビニクはこれから対戦する相手と前回の相手との棋風と気質の大きな違いについて何度も考えをめぐらせたに違いない。そして1963年3月23日にモスクワのエストラーダ劇場で両雄の対局が始まった時ほぼ同じ考えがまた彼の頭をよぎったに違いない。黒番のボトビニクは以前に何回もしていたように堅実なニムゾインディアン防御を採用した。そしてペトロシアンはタリの荒っぽいゼーミッシュ戦法でなく穏やかな 4.Qc2 で応じた。もし対局中にボトビニクの心がタリとの最初の番勝負の第1局に舞い戻ったらその違いに純粋に嬉しく思われたに違いない。ペトロシアンはチェスの医者が末期的な舞台負けと呼ぶかもしれないものにさいなまれている人間のように指していた。そして実際に最初の規定手数に達した時にこの患者は死亡してしまった。

ニムゾインディアン防御
白 ペトロシアン
黒 ボトビニク

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4 4.Qc2 d5 5.cxd5 exd5 6.Bg5 h6

7.Bxf6(ボトビニクはケレスが1941年の絶対選手権戦で用いてきた 7.Bh4 に対し次のように非常に楽しい経験をした。7…c5 8.O-O-O Bxc3 9.Qxc3 g5 10.Bg3 cxd4 11.Qxd4 Nc6 12.Qa4 Bf5

そして黒が22手で勝った)7…Qxf6 8.a3 Bxc3+ 9.Qxc3 c6 10.e3 O-O 11.Ne2

(ここまでは1953年チューリヒでのレシェフスキー対ゲレル戦と同じである。その試合ではゲレルは 11…Bf5 と指し 12.Nf4 Nd7 13.Be2 Rfe8 14.O-O Nf8 15.b4

と進んで白の方が形勢が良かった。ボトビニクの次の手は 12…Qxf4 があるので 12.Nf4 を防いでいる)11…Re8 12.Ng3 g6 13.f3 h5 14.Be2 Nd7 15.Kf2 h4 16.Nf1 Nf8

17.Nd2 Re7 18.Rhe1 Bf5 19.h3 Rae8 20.Nf1 Ne6 21.Qd2?

21…Ng7(ケレスはここで 21…Ng5! で 22…Bxh3 を狙うことを推奨した。白が 22.Kg1 と応じれば 22…Bxh3 23.gxh3 Nxh3+

で黒が勝つ。一例は 24.Kh2 Rxe3 25.Nxe3-25.Kxh3 なら 25…Rxe2-25…Qf4+ 26.Kh1 Nf2+ 27.Kg1 Qg3+ 28.Kf1-28.Ng2 なら 28…h3 29.Bf1 h2#-28…Nh3 29.Bd1 Qg1+ 30.Ke2 Nf4#

である。また 24.Kh1 ならば 24…Qg5 25.Kh2 Qg1+ 26.Kxh3 Rxe3!

で …g5-g4 のねらいで決まる。22.Qd1 と受ける方が優るがそれでも 22…Bxh3! 23.gxh3 Ne4+ 24.Kg2 Qg5+ 25.Kh2 Nf2

で黒の勝勢である。以下は 26.Qd2 なら 26…Rxe3、また 26.f4 なら 26…Qf6 27.Qd2 Rxe3! 28.Nxe3 Qxf4+ である)22.Rad1 Nh5 23.Rc1 Qd6 24.Rc3 Ng3

25.Kg1 Nh5 26.Bd1 Re6 27.Qf2 Qe7 28.Bb3 g5

29.Bd1 Bg6 30.g4? hxg3e.p. 31.Nxg3 Nf4! 32.Qh2 c5

33.Qd2 c4 34.Ba4 b5 35.Bc2 Nxh3+ 36.Kf1 Qf6

37.Kg2 Nf4+ 38.exf4 Rxe1 39.fxg5 Qe6 40.f4 Re2+ 白投了

(この章続く)

2010年05月06日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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世界のチェス雑誌から(71)

Olympiad United! Dresden 2008(7/8)

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ヨーロッパのチェス侍(続き)
セルビア人の日本コーチ体験

 佐野富(レイティング2111、9戦4.5点、実効レイティング2307)は非常にチームに貢献してくれて、堅実で論理的なチェスを指した。それは第3回戦のルーマニアとの試合によく表れている。

□ レベンテ・バイダ (2582)
■ 佐野富 (2111)
イギリス布局 [A05]
(解説 ミハイロ・ストヤノビッチ)

1.Nf3 Nf6 2.g3 d5 3.Bg2 c6 4.O-O Bf5 5.d3 h6

6.b3 e6 7.Bb2 Be7 8.Nbd2 O-O 9.Re1 Bh7 10.e4 Nbd7

11.Qe2 a5 12.a4 Nc5 13.Red1 Rc8 14.Ne1 Qc7 15.e5 Nfd7

16.Nf1 Rb8 17.d4 Na6 18.c4 Nb4 19.Ne3 Rfe8 20.f4 Nb6

21.Bc3 Ra8 22.g4 f6 23.Bxb4 axb4 24.a5 Nd7 25.cxd5 cxd5 26.f5

 双方とも時間不足の中で白は危険だが黒にとって嫌な手を指した。局面は黒が危なそうに見えるが実際は黒の方が良くて佐野選手はそれを素晴らしい指し回しで実証する。チェスエンジンもここからの10手を全く同じ手順で指し進めている。

26…fxe5!

 これは中原の争点を解消する最善の方法である。

27.fxe6 Nf6!

28.Rac1?!

 客観的に見て 28.Nxd5 Nxd5 29.Bxd5 exd4 と指す方が形勢は少し悪くても白にとって良かった。この後 30.Rxd4 には 30…Bc5 がある。

28…Qd6!

 28…Qxa5 は 29.dxe5 で黒は時間不足もかかえているので良くない。

29.g5?!

 この判断も疑問である。ポーンを犠牲にしても黒陣は揺るがない。

29…hxg5 30.dxe5 Qxe5 31.Nf3 Qf4!

32.Rd4

 32.Nxd5 は 32…Nxd5 33.Rxd5 Qxc1+ でだめである。

32…Be4!

 クイーンを敵陣に置いておくのが良い。

33.Nd2 Rxa5 34.Nxe4 dxe4 35.Rdc4 Bd6 36.Nf1 b6!

 この手はc列を守る準備である。

37.Kh1 Bc5

 黒は初めて不正確な手を指した。37…Rxe6 が強い手だった。

38.Bxe4

 白は 38.Ng3 を見逃した。その意図はナイトでe4のポーンを取って異色ビショップの戦いに持ち込もうということである。

38…Nxe4 39.Qxe4 Qf6!

 白キングが弱いので黒はまた勝勢になった。

40.Re1 Qf2!

 黒は非常に正確な手で規定手数に達した。

41.Rxc5

 41.Ng3 は 41…Ra2 で終わりである。

41…bxc5 42.e7 Ra7 43.Qc4+ Qf7 44.Qxc5 Raxe7 0-1

******************************

(この本続く)

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チェス世界選手権争奪史(203)

第8章 タリとペトロシアン(続き)

 そして第23局でペトロシアンがとうとう名局賞をとった。

イギリス布局
白 ペトロシアン
黒 コルチノイ

1.c4 c5 2.Nf3 Nf6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 g6 5.Nc3 d5 6.Bg5 dxc4 7.e3

7…Qa5(7…Bg7!)8.Bxf6 exf6 9.Bxc4

9…Bb4(9…Bg7!)10.Rc1! a6 11.O-O

11…Nd7(11…O-O 12.Nd5 +/-)12.a3 Be7?(12…Bxc3)13.b4

13…Qe5(13…Qxa3 14.Nd5 +/-)14.f4!

14…Qb8(14…Qxe3+ 15.Kh1 のあと白の狙いは 16.Re1 と 16.Nd5)15.Bxf7+! Kxf7 16.Qb3+

16…Ke8(16…Kg7 17.Ne6+ Kh6 18.Rf3 +-)17.Nd5 Bd6 18.Ne6 b5 19.Ndc7+ Ke7 20.Nd4!

20…Kf8(20…Bxc7 なら 21.Nc6+、20…Qxc7 なら 21.Rxc7 Bxc7 22.Qe6+ Kf8 23.Qc6 Ra7 24.Ne6+)21.Nxa8 黒投了

 タリは第4巡の初めから病気のために競技会を欠場した。病院のベッドから対局を続けるという懇願が認められなかったためだった。ボビー・フィッシャーは何回か彼の見舞いに行った。しかしタリの同国人たちは自分たちの本分にかかりきりのようで誰も見舞わなかった。第26回戦終了後ペトロシアンとケレスが首位に並びゲレルが半点差で追っていた。第27回戦はゲレルの手空き番でペトロシアンがフィッシャー戦、ケレスがベンコー戦だった。ケレスはこの競技会で既にベンコーを三たてに負かしていた。ペトロシアンは引き分けたが皆も驚いたしほとんどの者が残念がったことにケレスはいいところなくベンコーに負けてしまった。そのため第28回戦でペトロシアンがフィリップとケレスがフィッシャーと引き分けた時ケレスはまたしても鼻の差で及ばなかった。傷の上塗りをするように最終戦でベンコーがゲレルに負けたためゲレルが同点2位になることができケレスが自動的に次の挑戦者決定競技会にシードされなくした。まもなく両者による順位決定番勝負が行なわれケレスが4½-3½で勝った。最終成績はペトロシアン17½点、ケレスとゲレル17点、フィッシャー14点、コルチノイ13½点、ベンコー12点、タリとフィリップ7点だった。

(この章続く)

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チェス世界選手権争奪史(202)

第8章 タリとペトロシアン(続き)

 コルチノイは第13回戦でせっかくフィリップに勝ったにもかかわらずその直後4連敗してしまった。そして優勝はペトロシアン、ゲレルおよびケレスの3人の争いになった。実のところ首位争いの3人はコルチノイの気力がほとんど消えうせたのを感じ取ってことさら獰猛に彼に襲いかかったせいだった。第17回戦ではケレスの番だった。

シチリア防御
白 ケレス
黒 コルチノイ

1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 e6 5.Nc3 Qc7

6.Be3 a6 7.Be2 Nf6 8.a3 Be7 9.O-O O-O 10.f4 d6

11.Qe1 Nxd4 12.Bxd4 e5 13.fxe5 dxe5 14.Qg3 Re8 15.Kh1 Bd8

16.Be3 Kh8 17.Bd3 Be6 18.Rae1 Rc8 19.Bd2 Qb6 20.Nd1 Nd7

21.b4 Be7 22.Ne3 Qd8 23.Rd1 Bh4 24.Qf3 Nb8 25.Nf5 Bf6

26.Be3 Qc7 27.c4 Be7 28.c5 Nc6 29.Qe2 Rcd8 30.Bc4 Bf8

31.Bd5 g6 32.Nh6 Nd4 33.Qc4 Bxh6 34.Bxh6 b5 35.Qa2 Qe7

36.Be3 Kg8 37.Bxd4 exd4 38.Rxd4 Qg5 39.Qf2 Qe5 40.Rfd1 Kg7 黒投了

(この章続く)

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チェス布局の指し方[10]

第2章 ポーンの重要性

フィリドール「ポーンはチェスの魂である」

 自分のポーンの扱い方をある程度理解したり敵の歩兵に対する正しい対処法をある程度知っているのでなければ誰もチェス布局の複雑さの習得は期待できない。ポーンは骨の構造、即ち盤上の骨格を成し、自分のポーンが弱ければ自陣が全体的に病んでいるかもしれない。一方自分のポーンが強ければ恐らく自陣が全体的に健全で元気であろう。

 布局から生じるポーンの形で駒の働きが決まってくるかもしれない。弱いポーンの守りに汲々とすることになるかもしれないし、不本意な地点にいるポーンによって自分の駒が動きを阻害されることが起こるかもしれない。さらに言えば弱い地点のような要因はポーンの形しだいである。

 これからこの最も重要な分野を系統的に調べていくことにしよう。

2.1 ポーンの弱点

 ポーンはかなり異なる二つの方面で弱くなる。即ち守りにおいて弱くなるし攻めでも弱くなる(「静的」および「動的」弱点が通常の用語である)。まず守りに弱いポーンを考えてみよう。ポーンはチェス駒の中で最も動きが少ない。だからポーンに当たりがかかっている時、攻撃している駒の利きからよけることが非常に困難なことがある。危険にさらされているポーンを守る最も経済的な方法は別のポーンで守ることである。駒で守るのは守る役目を負わされた駒の動きが損なわれることになる。

 他のポーンで守れないポーンは疑念の目で見るべきである。つまり潜在的な弱点になるかもしれないのである。このような弱点の見本は孤立ポーンと出遅れポーンである。両隣の列の味方のポーンがなくなったポーンが「孤立」ポーンで、両隣の列の味方のポーンが進みすぎてそれらから守られなくなったポーンが「出遅れ」ポーンである。

 もちろん前の段落の説明はせいぜい役に立つ一般論である。孤立または出遅れポーンが本当に弱いかどうかは盤上の駒配置全体に依存している。本書の布局を読んだり並べたりしていくうちに孤立dポーンが強力な攻撃の道具になる局面の例に出くわすだろう(特にクイーン翼ギャンビット受諾で)。シチリア防御でも黒が早期に …e5 と突いて出遅れdポーンを甘受しながら白軍がこの欠陥につけ込む態勢にないために黒の指しやすい局面になるいくつかの戦型がある。しかしこれらは原則というより例外である。読者は次の顕著な例でポーンの弱点がどれほど深刻になる可能性があるか納得するはずである。

 図16(黒番)

 この局面は1925年バーデン=バーデンでのジョージ・トマス卿対アリョーヒン戦に現れた。目立つ特徴は白の二つのポーンの弱点、即ち孤立aポーンと出遅れcポーンである。これらは次々に白陣の全体的な崩壊につながった。白駒は守りの地点を占めるように強いられている。特に白のビショップは教会の大黒柱というより栄光あるポーンになっている。勝利への過程は手数がかかるが最終的な結果について何の疑いもないのは白が一度としてほんのわずかな活動の余地も許されなかったからである。図から試合は次のように決着がついた。1…Qd5 2.Qe3 Qb5 3.Qd2 Rd5 4.h3 e6 5.Re1 Qa4 6.Ra1 b5

7.Qd1 Rc4 8.Qb3 Rd6 9.Kh2 Ra6 10.Rff1 Be7 11.Kh1 Rcc6

(これは …Qc4、…Ra4 そして …Rca6 と駒を組み換える作戦である。その後は白のaポーンが守れなくなる。この狙いのため白はすぐにクイーン交換を強いられる)12.Rfb1 Bh4 13.Rf1 Qc4 14.Qxc4 Rxc4 15.a3 Be7 16.Rfb1 Bd6

17.g3 Kf8 18.Kg2 Ke7 19.Kf2 Kd7 20.Ke2 Kc6 21.Ra2 Rca4

22.Rba1 Kd5 23.Kd3 R6a5 24.Bc1 a6 25.Bb2 h5

(白のすべての駒が縛り付けられているのでキング翼に新たな弱点を作らせるのはたやすい。狙いは …h4 である)26.h4 f6 27.Bc1 e5

(白陣がついに崩壊する)28.fxe5 fxe5 29.Bb2 exd4 30.cxd4 b4 31.axb4 Rxa2 32.bxa5 Rxb2 白投了

 この実例はポーンの弱点が比較的長く持続することをよく説明している。即ちそういう弱点がいったん現れれば根絶することは難しいのである。図16で示された局面で黒はすぐに戦力を得する手段はないけれども決定的な優勢に立っている。白は弱いポーンを絶えず守る必要があるために完全な守勢に追い込まれ黒は意のままに態勢を強化することができる。

(この章続く)

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チェス世界選手権争奪史(201)

第8章 タリとペトロシアン(続き)

 同時にペトロシアンはベンコー相手に慣れない猛攻に手を染めていた。そして順調に名局賞に輝くかに見えた。

グリューンフェルト防御
白 ペトロシアン
黒 ベンコー

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 d5 4.Nf3 Bg7 5.Bf4 O-O

6.Rc1 c5 7.dxc5 dxc4 8.e4 Qa5 9.e5 Rd8

10.Bd2 Ng4 11.Bxc4 Qxc5 12.Ne4 Qb6 13.Bxf7+! Kxf7

14.Rxc8 Rxc8 15.Nfg5+ Kg8 16.Qxg4 Qc6 17.Nd6! Qd7

18.Qxd7?(しかしここでは 18.Qh4! h6 19.Nxc8 hxg5 20.Qc4+ Kf8 21.Nxe7! Qxe7 22.Bb4

で白の勝ちだった。または 18.Qh4! のあと黒が 18…exd6 としても 19.Qxh7+ Kf8 20.Qxg6 Kg8 の時白は 21.O-O!

から f4 として攻め勝つ)18…Nxd7 19.Nxc8 Rxc8 20.f4 Rc2 21.Ke2 Bh6 22.Nf3 Rxb2 23.g3 g5 引き分け

(この章続く)

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チェス世界選手権争奪史(200)

第8章 タリとペトロシアン(続き)

 しかし波乱に富んだ第12回戦の前はコルチノイとゲレルが7点でまだ首位に並び、ペトロシアンとケレスが6½点で僅差で追いフィッシャーが5½点だった。その回でコルチノイはフィッシャー相手に序盤から大きな優勢を確保し中盤の初めも快調に指し回していたのに突然自滅した。

図の局面で彼は 31.Bc6 と指し(正着は 31.Nb3! から 32.Nd4 +/=)31…Nxc6 32.Rc1?(32.dxc6)32…Qa7!

となって黒が駒得し勝った。

(この章続く)

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チェス世界選手権争奪史(199)

第8章 タリとペトロシアン(続き)

 フィッシャーの成績は明らかに本人と彼の膨大な信奉者にとって期待はずれだったが、彼の定評ある追い込みが今回も発揮されればまだ十分に首位に追いつき追い越すことも可能だった。そのうえ第7回戦ではケレスを相手に見事な指し回しをみせた。

ルイロペス
白 フィッシャー
黒 ケレス

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O Be7 6.Re1 b5 7.Bb3 d6 8.c3 O-O 9.h3 Na5 10.Bc2 c5 11.d4 Nd7

 ケレスはキュラソーで通常の 11…Qc7 の代わりにこの手を採用し4試合で3点をあげた。「いい手とは思わなかったし今も思っていない」とフィッシャーはこの試合の解説で評している。これが定跡論争におけるフィッシャー側の基調で、数年に渡って大会や種々のチェス雑誌と本でその論争が続いた。それ以来この手は大会の実戦からあまりはっきりした理由もなく消えてしまった。

12.dxc5

 第16回戦のタリ対ケレス戦は次のように進んだ。12.Nbd2 cxd4 13.cxd4 Nc6 14.a3 exd4 15.Nb3 Nde5 16.Nbxd4 Bf6

17.Bd2?(17.Nxc6 Nxc6 18.Rb1 =)17…Nxd4 18.Nxd4 Nd3! =/+

第21回戦でフィッシャーはケレス相手に 12.d5 と手を変えたが 12…Nb6 13.g4? h5! 14.Nh2 hxg4 15.hxg4 Bg5

で不利に陥り負けた。

12…dxc5 13.Nbd2

13…Qc7

 ロシアの雑誌で解説を担当したボレスラフスキーは 13…f6 を推奨した。その要点は 14.Nc4? が成立しないことである。14…bxc4 15.Qd5+ Kh8 16.Qxa8 Nb6 17.Qb8 Nc6

でクイーンが捕まってしまう。後にフィッシャー対イフコフ戦(ハバナ、1965年)で 13…f6 が指され 14.Nh4 Nb6 15.Nf5 Rf7 16.Nxe7+ Rxe7

で黒が問題なかった。しかし 16.Qg4 Kh8 17.h4(フィッシャーの指摘)

なら白がいくらか良かった。

14.Nf1 Nb6 15.Ne3 Rd8 16.Qe2 Be6 17.Nd5!

17…Nxd5

 17…Bxd5 は 18.exd5 f6 19.h4! Nxd5 20.h5

で白が優勢になる。

18.exd5 Bxd5 19.Nxe5 Ra7 20.Bf4 Qb6 21.Rad1!

 この手には 22.Rxd5 Rxd5 23.Qe4 という狙いがあり、じっくり自陣を強化しながら最終攻撃を見据えている。

21…g6

 21…Bxa2 に対するフィッシャーの読み筋は 22.Rxd8+ Qxd8(22…Bxd8 23.Nc4! Qe6 24.Qd1 Rd7 25.Nd2)23.b4! cxb4 24.cxb4 Bxb4 25.Qe4!

25…Bxe1 26.Qxh7+ Kf8 27.Qh8+ Ke7 28.Bg5+ f6 29.Ng6+ Kd7 30.Bf5+ Kc7 31.Bf4+

これで黒クイーンが取られる。

22.Ng4

22…Nc4

 ここで 22…Bxa2 は 23.Rxd8+ Qxd8 24.Bh6! で白が攻め勝つ。

23.Bh6

 23.Nh6+ は 23…Kg7 24.Rxd5 Rxd5 25.Nxf7 Qf6! でうまくいかない。

23…Be6 24.Bb3 Qb8 25.Rxd8+

25…Bxd8

 25…Qxd8 は 26.Bxc4 Bxc4 27.Nf6+ Kh8 28.Qe5 で白の勝ちになる。

26.Bxc4 bxc4 27.Qxc4!

27…Qd6

 27…Qxb2 は 28.Rxe6! でだめである。

28.Qa4 Qe7 29.Nf6+ Kh8 30.Nd5 Qd7 31.Qe4! Qd6 32.Nf4 Re7

33.Bg5

 フィッシャーが自分で指摘しているように 33.Bf8 で決まっていた。

33…Re8 34.Bxd8

34…Rxd8

 34…Qxd8 は 35.Qe5+ f6 36.Qxc5 Bxa2 37.Rxe8+ Qxe8 38.c4 となる。

35.Nxe6 Qxe6 36.Qxe6 fxe6 37.Rxe6 Rd1+ 38.Kh2 Rd2 39.Rb6 Rxf2 40.Rb7 Rf6 41.Kg3 黒投了

(この章続く)

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