チェスの基本の記事一覧

チェスの基本(001)

はじめに

 『チェスの基本』は13年前に初めて出版された。それ以降いわゆる「超現代の考え方」について論じた記事がいろいろな機会に現れた。そのような記事を読んだ人たちは何か新しく決定的なことが発見されたと思ったかもしれない。事実は「超現代の考え方」は一般に布局の段階においていくらか新しい戦術の手段をとおして以前と同じ原則を適用しているにすぎない。基本には何も変わりがない。変わったのは形式にすぎず、必ずしも最良の方向へではない。

 チェスでは戦術は変わるかもしれないが、戦略の基本原則はいつも同じである。だから『チェスの基本』は今も13年前と同じく通用する。チェスの規則や規定が現在と同じである限り、今から100年後も通用するだろう。だから読者は自分の必要とすることがすべて書いてあり何も付け加えることや変えることがないと保障されていると思って本書を読んでかまわない。『チェスの基本』は13年前は同種の中で標準的な一冊だった。そして今でも同種の中で標準的な一冊であると確信している。

J.R.カパブランカ
ニューヨーク、1934年9月1日

2014年06月23日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(002)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則

 初学者が最初に学ぶべきことは駒の働きについて慣れることである。このための最も良いやり方は単純な詰みのいくつかをどのようにすれば迅速に達成できるかを習うことである。

1.単純な詰み

例1 ルークとキング対キングの收局

 原則は盤のどの端でもよいから相手のキングを盤端に追い込むことである。

 この局面でルークの威力は初手の Ra7 によって発揮される。この手は黒キングを盤端に押し込め 1.Ra7 Kg8 2.Kg2 によって迅速に詰ませることができるようにしている。

 詰ませることのできる局面に持っていくためにはキングとルークの共同作戦が必要である。初学者は次の一般原則に従うとよい。

 自分のキングをできるだけ相手のキングと同じ段、またはここでの場合のように同じ列に置くこと。

 ここでの場合白キングが6段目に行ったときは、相手のキングと同じ列でなく中央寄りの隣の列に置く方が良い。

2…Kf8 3.Kf3 Ke8 4.Ke4 Kd8 5.Kd5 Kc8 6.Kd6

 6.Kc6 でない理由は、そう指すと黒キングがd8に戻り、詰ませるまでもっと手数がかかるからである。ここでは黒キングがd8に戻ると Ra8 で即詰みになる。

6…Kb8 7.Rc7 Ka8 8.Kc6 Kb8 9.Kb6 Ka8 10.Rc8#

 最初の局面から詰むまでちょうど10手かかった。5手目で黒は 5…Ke8 と指すことができ、原則に従えば白は 6.Kd6 と指す。 6…Kf8(黒キングはいつか白キングの前に行かされ Ra8 で詰まされる)7.Ke6 Kg8 8.Kf6 Kh8 9.Kg6 Kg8 10.Ra8#

(この章続く)

2014年06月24日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(003)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

1.単純な詰み(続き)

例2

 黒キングが盤の中央にいるので、白の最良の手段は次のように自分のキングを進めることである。

1.Ke2 Kd5 2.Ke3

 ルークがまだ戦いに参加していないので、キングをすぐに盤の中央に相手のキングの正面でなく1列横に進める方が良い。ここで黒キングがe5に来ればルークが Rh5+ によって押し返す。その一方で 2…Kc4 でも 3.Rh5 である。そして 3…Kb4 なら 4.Kd3 と追い、3…Kc3 なら 4.Rh4 で黒キングをできるだけ少ない枡に閉じ込める。

 この後は 4…Kc2 5.Rc4+ Kb3 6.Kd3 Kb2 7.Rb4+ Ka3 8.Kc3 Ka2 と進むかもしれない。注意すべきは白キングが何度もルークの隣に行って、ルークを守っただけでなく相手のキングの動く余地を狭めたことである。ここからは白は3手で詰ませる。9.Ra4+ Kb1 10.ルークがa列の任意の地点に行って黒キングを白キングの直下に来させる Kc1 11.Ra1# 詰むまで11手かかったが、どんな条件でも20手以下で詰むはずである。単調だったかもしれないが、自駒の適切な動かし方が学べるので初心者には練習する価値がある。

(この章続く)

2014年06月25日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(004)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

1.単純な詰み(続き)

例3

 今度は2ビショップとキング対キングの番である。

 黒キングが隅にいるので白は 1.Bd3 Kg7 2.Bg5 Kf7 3.Bf5 と指し進めることができ、黒キングは早くも少ない枡に閉じ込められている。もし黒キングが最初の局面で盤の中央か自陣の最下段から離れた地点にいたならば、白は自分のキングを進めて2ビショップの助けを借りて黒キングの動きをできるだけ少ない枡に制限するのが良い。

 そして本譜は 3…Kg7 4.Kf2 と続きそうである。この收局で黒キングは盤端に追いやらなければならないだけでなく隅にも追いやらなければならない。そして詰みが可能になるためには、白キングが6段目に行かなければならないと同時に、端の2列のどちらかにいなければならない。この場合ならh6、g6、f7そしてf8が該当し、h6とg6が最も近いのでこのどちらかに白キングを行かせるべきである。4…Kf7 5.Kg3 Kg7 6.Kh4 Kf7 7.Kh5 Kg7 8.Bg6 Kg8 9.Kh6 Kf8 白はここで足踏みをしてビショップの一つを動かし黒キングを戻らせなければならない。10.Bh5 Kg8 11.Be7 Kh8 ここで白枡ビショップは黒キングがg8に戻ったときに白枡の斜筋でチェックできる地点を占めなければならない。12.Bg4 Kg8 13.Be6+ Kh8 14.Bf6#

 詰みあがるまで14手かかった。どんな局面でも30手かからないはずである。

 この種の收局ではいつも空詰み(stalemate)に陥らないように注意しなければならない。

 この收局ではキングを端だけでなく隅に追い込むことを覚えておかなければならない。しかしこのような收局ではすべてにおいてキングは列の端であろうと段の端であろうと、例えばh5でもa4でもe1でもd8でも違いがなくなる。

(この章続く)

2014年06月26日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(005)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

1.単純な詰み(続き)

例4

 最後はクイーンとキング対キングである。クイーンはルークとビショップの働きをあわせ持っているので一番簡単な詰みで、いつも10手以下で詰めてしかるべきである。次の局面を例にとる。

 最初の手はクイーンから動かして黒キングの動きをできるだけ制限するのが良い。1.Qc6 Kd4 2.Kd2 既に黒キングは1枡しか動けなくなっている。2…Ke5 3.Ke3 Kf5 4.Qd6 Kg5(4…Kg4 なら 5.Qg6+)5.Qe6 Kh4(5…Kh5 なら 6.Kf4 のあと1手詰み)6.Qg6 Kh3 7.Kf3 Kh4(h2) 8.Qg4#(g2#)

 この收局ではルークの場合のように黒キングを盤端に行かせなければならない。クイーンはルークよりはるかに強力なので手順はずっと簡単で短い。以上が初歩の三つの收局で、すべてにおいて原則は同じである。それそれの場合キングとの協力が必要である。キングの助けなしに詰めるには少なくとも2個のルークが必要である。

(この章続く)

2014年06月27日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(006)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

2.ポーンの昇格

 ポーンを取ることは可能な最小限の戦力得である。そしてキングは別にしてそのポーンが残っている唯一の部隊のときでさえ勝つのに十分であることがよくある。一般的に言えば次のことが本質的に重要である。

 キングは自分のポーンの前に少なくとも1枡空けて置くのが良い。

 相手のキングがこちらのポーンのすぐ前にいれば勝つことができない。この説明には次の例が一番良い。

例5

 この局面は引き分けにしかならない。そうするためには黒は常にキングをポーンの直前に置くようにする。そして例えばこの局面のように白キングがいるためにそれができないときは、黒キングを白キングの正面に保つようにしなければならない。指し手は次のように進むだろう。1.e3 Ke5 2.Kd3 Kd5 これは非常に重要な手である。あとで分かるようにほかのどんな手でも負けになる。黒キングはポーンの直前に置いておくことができないので、できるだけ前方で同時に白キングの前に持ってこなければならない。

 3.e4+ Ke5 4.Ke3 Ke6 5.Kf4 Kf6 また同じ状況である。白キングが前進してきたが、黒キングはポーンの直前にいけないので白キングの前に置かなければならない。

 6.e5+ Ke6 7.Ke4 Ke7 8.Kd5 Kd7 9.e6+ Ke7 10.Ke5 Ke8 11.Kd6 Kd8

 ここでもし白がポーンを突けば黒キングはポーンの直前に行き、白はポーンを捨てるか Ke6 で空詰み(stalemate)にしなければならない。ポーン突きの代わりに白がキングを引けば、黒はキングをポーンの直前に持ってくる。そして下がらなければならないときはポーンのの方にキングを動かして、白キングが前進すれば前のようにその前に行けるようにする。

 この手順全体は非常に重要で、細かいところまで完全に習熟しておかなければならない。というのはあとで取り上げる原則を含んでいるし、多くの初心者が正しい知識の不足のために同様の局面で負けているからである。本書のこの段階ではその重要性をこれ以上強調することはできない。

(この章続く)

2014年06月28日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(007)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

2.ポーンの昇格(続き)

例6

 今度の局面は白キングが自分のポーンの前にいてその間に1枡あるので白が勝つ。

 やり方は次のとおりである。

 キングはポーンの安全を損ねない限り前進させ、ポーンはその安全を図ることが必須になるまで決して進ませない。

 そこで

1.Ke4 Ke6

 黒は白キングを進ませない。だからここで白は黒キングをどかせるように自分のポーンを進ませることになる。そのあとは自分のキングを前進させることができる。

2.e3 Kf6 3.Kd5 Ke7

 代わりに黒が 3…Kf5 と指したら、白は 4.e4 とポーンを前進させることになる。自分のキングを進めると黒に 4…Ke4 でポーンを取られることになるからである。黒がそう指さなかったので白はまだ安全を図る必要のないポーンを進めずに、キングをもっと前進させるようにするのが良い。だから

4.Ke5 Kd7 5.Kf6 Ke8

 ここでは白ポーンがはるか後方なのでキングで守れる範囲内に持ってくるのが良いだろう。

6.e4 Kd7

 ここで 7.Kf7 と指してはいけない。そう指すと黒に 7…Kd6 と指されて、白はポーンを守るためにキングを戻さなければならなくなる。だから白は次のように指さなければいけない。

7.e5 Ke8

 代わりに黒がキングをほかの地点に動かしたら、白は 8.Kf7 と指してからポーンをe6、e7、e8と進めることができる。これらの地点にはすべて白キングが利いている。黒がこれを防ごうとしているので、白はここで黒キングをどかせて同時に自分のキングを必ずポーンの前に置くようにしなければならない。そこで

8.Ke6

 8.e6 とポーンを突くと、黒は 8…Kf8 と指して例5で説明したのと同様の局面になるので引き分けになってしまう。

8…Kf8 9.Kd7

 黒キングが動き白はポーンをe8まで突き進めてクイーンを作りそれで終わりである。

 この收局は前例と似ている。だから同じ理由で先に進む前に完全に理解しておかなければならない。

(この章続く)

2014年06月29日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(008)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

3.ポーン收局

 2ポーン対1ポーンと3ポーン対2ポーンの簡単な收局を、読者がどのようにしたら勝てるのか理解できるように2例ずつ取り上げる。読者が自分で考えるように説明は少なめにする。さらに言えば本の学習からだけでうまい指し方を学べる者はいない。本は手引きとしてしか役に立たない。残りは初学者に先生がいれば先生がしなければならない。先生がいなければ長く厳しい経験によって、本に書かれている多くのことの実戦への応用を実現しなければならない。

例7

 白はこの局面で 1.f6 と突くことによって勝つことはできない。なぜなら黒は 1…gxf6 は負けるので 1…Kg8 と寄り、前述のように 2.fxg7 Kxg7 で引き分けになるからである。2.f7+ なら 2…Kf8 で、白はポーンを取られずにクイーンにすることはできない。2.Ke7 も 2…gxf6 3.Kxf6 Kf8 で引き分けになる。しかし白は次のように指すことにより勝つことができる。

1.Kd7 Kg8 2.Ke7 Kh8 3.f6 gxf6

 3…Kg8 なら 4.f7+ Kh8 5.f8=Q#

4.Kf7 f5 5.g7+ Kh7 6.g8=Q+ Kh6 7.Qg6#

(この章続く)

2014年06月30日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(009)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

3.ポーン收局(続き)

例8

 この局面で白は 1.f5 では勝てない。黒の最善の応手の 1…g6 で引き分けになる(自分で確かめてみること)。1.g5 も 1…g6 で引き分けになる。(これは「見合い」の原理のためである。これはこの收局だけでなくこれまでのポーン收局すべてにかかわっていて、あとでもっと詳細に解説する。)

 しかし白は次のように指すことにより勝つことができる。

1.Ke4 Ke6(1…g6 なら 2.Kd4 Ke6 3.Kc5 Kf6 4.Kd6 Kf7 5.g5 Kg7 6.Ke7 Kg8 7.Kf6 Kh7 8.Kf7 でポーンが取れる)

2.f5+ Kf6 3.Kf4 g6(このポーンが元の位置のままいるならば例7の收局になる)4.g5+ Kf7 5.f6 Ke6 6.Ke4 Kf7 7.Ke5 Kf8

 白はfポーンをクイーンに昇格させることはできない(理由を考えてみよ)。しかしこのポーンを捨てることによって黒ポーンを取って勝つことができる。

8.f7 Kxf7 9.Kd6 Kf8 10.Ke6 Kg7 11.Ke7 Kg8 12.Kf6 Kh7 13.Kf7 Kh8 14.Kxg6 Kg8

 黒の抵抗はまだ続く。実際白の勝ち方はいろいろやってみれば容易に分かるように次の手順しかない。

15.Kh6(15.Kf6 15…Kh7 に 16.g6+ は 16…Kh8 で引き分けになるので、白は勝つためには 16.Kf7 Kh8 17.Kg6 から本譜の手順に戻らなければならない)15…Kh8 16.g6 Kg8 17.g7 Kf7 18.Kh7

 これで白にクイーンができて勝つ。

 この收局は見た目は大変簡単そうだが、駒がほとんど残っていないときでさえ手のよく見える相手に対しては克服しなければならない大きな困難があることを初学者に示している。そしてチェスに本当に熟達する基礎を成すこれらの初歩的なことに対してもきちんと注意を払わなければならないことも示している。

(この章続く)

2014年07月01日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(010)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

3.ポーン收局(続き)

例9

 この收局で白は初手にどのポーンを突いても勝つことができる。しかしほかに特別な理由がないならば、向かいに相手のポーンがないポーンから突くという一般原則に従うのが手っ取り早くて良い。そこで次のように指し進める。

1.f5 Ke7

 1…g6 なら 2.f6 でこれまでに現れた收局のどれかと似た收局になる。また 1…h6 なら 2.g5 と突く。

2.Ke5 Kf7 3.g5 Ke7

 3…g6 なら 4.f6、3…h6 なら 4.g6+ でどちらの場合も既に出てきた收局のどれかと似た收局になる。

4.h5

 そしてこのあと白が g6 と突くことにより前出の收局と同じになる。黒が 4…g6 と突けば 5.hxg6 hxg6 6.f6+ で同じ結果になる。

(この章続く)

2014年07月02日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(011)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

3.ポーン收局(続き)

 ポーンがすべて盤の片側にある場合を見てきたが、今度は盤の両側にある場合を考える。

例10

 この場合の一般原則は戦力の優勢な方面ですぐに行動を起こすことである。そこで

1.g4

 一般に向かいに相手ポーンのないポーンから突くのが望ましい。

1…a5

 黒は反対側のポーンを突いた。ここで白は黒がさらにポーンを突くのを止めるべきかどうか考える余地がある。この場合はどちらでも良いが、一般には相手キングがそのポーンから離れているときは止めた方が良い。

2.a4 Kf6 3.h4 Ke6

 3…Kg6 なら単純に手数を数えることによって、白キングが反対側に行ってa5のポーンを取り自分の唯一のポーンをクイーンにするのが黒の同じことをすることよりずっと早いことが分かる。

4.g5 Kf7 5.Kf5 Kg7 6.h5 Kf7

 6…h6 なら 7.g6 で白の2ポーンが守り合い、白キングが反対側に行って黒のもう一つのポーンを取ることができる。

7.Ke5

 白キングは反対側に行くことができ、黒のポーンを取って自分のポーンをクイーンに昇格させる。これはこのような收局すべてに典型的なもので、似たような場合も含めて自分で研究しておくのが良い。

(この章続く)

2014年07月03日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(012)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

4.中盤戦での勝ちの局面

 これまでの説明をすべて理解した初学者は全駒を用いた実際の試合を指してみたいに違いない。しかし布局を考える前に、実戦によく現れる手筋に少し時間を割くことにする。手筋に習熟するようになればチェスの美しさについて考えるようになるだろう。

例11

 手番の黒は白の狙いが Qh6 から Qg7# での詰みと考えていて、1…Re8 と指して …Re1# での詰みを狙う。それに対して白は真のそして強烈な狙いを見舞う。

1…e8 2.Qxh7+ Kxh7 3.Rh3+ Kg8 4.Rh8#

(この章続く)

2014年07月04日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(013)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

4.中盤戦での勝ちの局面(続き)

 これと同種の手筋はもうちょっと複雑な局面でも生じることがある。

例12

 白は駒損していてすぐに取り戻すことができなければ負けてしまう。そこで白の指した手は

1.Nxc6 Bg5

 白から Qxh7+ に続く Rh3+ での詰みがあるので黒はナイトを取ることができなかった。

2.Ne7+ Qxe7

 2…Bxe7 は例の 3.Qxh7+ Kxh7 4.Rh3+ Kg8 5.Rh8# で詰まされてしまう。

3.Rxe7 Bxe7 4.Qd7

 白はどちらかのビショップが取れて、クイーンとビショップ対ルークとビショップになり簡単に勝つはずである。以上の2例はキャッスリングしたあとそこのナイト列ポーンを突く危険性を示している。

(この章続く)

2014年07月05日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(014)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

4.中盤戦での勝ちの局面(続き)

例13

 これも非常に面白い種類の手筋である。黒は白のナイトに対しルークを持っているので、白がすぐに何らかの代償を得ることができなければ勝つはずである、実際は白が短手数で詰みに打ち取る。

1.Nf6+ gxf6

 取らなければ 2.Qxh7# で詰まされる。

2.Qg3+ Kh8 3.Bxf6#

(この章続く)

2014年07月06日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(015)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

4.中盤戦での勝ちの局面(続き)

例14

 次の局面では同種の手筋がもっと複雑な形で生じる。

1.Bxd7 Qxd7

 1…Bxe4 は 2.Qc3 が詰み狙いになるので、当たりの黒クイーンが取られてしまう。

2.Nf6+ gxf6 3.Rg3+ Kh8 4.Bxf6#

(この章続く)

2014年07月07日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(016)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

4.中盤戦での勝ちの局面(続き)

例15

 次の局面にはよく見かける手筋が現れる。

 ここで白は交換損で1ポーン損だが、すみやかに勝つことができる。

1.Bxh7+ Kxh7(1…Kh8 なら 2.Qh5 g6 3.Qh6 で白が勝つ)2.Qh5+ Kg8 3.Ng5

 黒が Qh7# の詰みを避けるには …Qe4 とクイーンを犠牲にする以外になく、白ルークと黒クイーンの交換の駒割になる。

(この章続く)

2014年07月08日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(017)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

4.中盤戦での勝ちの局面(続き)

例16

 次の局面ではこれと同種の手筋がもっと複雑な形で見られる。

 白は次のように指し進める。

1.Nxe7+(これでビショップの斜筋が通る)1…Bxe7(白のビショップ切りのあとナイトがg5にやって来るのを防ぐため)2.Rxe7 Nxe7(最善)3.Bxh7+ Kxh7(3…Kh8 なら 4.Qh5 g6 5.Bxg6+ Kg7 6.Qh7+ Kf6 7.g5+ Ke6 8.Bxf7+ Rxf7 9.Qe4#)4.Qh5+ Kg8 5.Ng5 Rc8 6.Qh7+ Kf8 7.Qh8+ Ng8 8.Nh7+ Ke7 9.Re1+ Kd8 10.Qxg8#

 この手筋はかなり長く変化も多い。だから初心者はほとんど見抜けないだろう。しかしこのような手筋を知っていれば、同様の状況でさもなければ決して思いつかないような華麗な攻撃に打って出てやり遂げるかもしれない。これまで見てきた手筋はすべて根底に駒が適切に連係していて相手の弱点に効いていた。

(この章続く)

2014年07月09日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(018)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

5.駒の相対的な価値

 布局の一般原則に進む前に、駒の適正な相対的価値の考え方について初学者に教えておいた方が良いだろう。それらに関する完璧で正確な一覧はないので、やれることは駒を個別に比較することだけである。

 一般に理論上はビショップとナイトは同じ価値があるとみなさなければならない。もっとも私の考えではたいていの場合ビショップの方が価値のある駒となることが多い。そして2ビショップは2ナイトよりほとんどいつも優れていることは周知のとおりである、

 ポーンに対してはナイトよりビショップの方が強い。そしてルークに対してポーンと組むときもビショップの方がナイトよりも強い。

 ビショップとルークもナイトとルークより強い。しかしクイーンとナイトはクイーンとビショップより強いかもしれない。

 ビショップは3ポーンより価値があることが多いが、ナイトは滅多にそうでないどころか3ポーンより価値がないかもしれない。

 ルークはナイトと2ポーン、またはビショップと2ポーンの価値がある。しかし前述のようにルークに対してはビショップの方が優る。

 2ルークはクイーンよりわずかに強いが、2ナイトとビショップよりはわずかに弱く、2ビショップとナイトよりはもう少し弱い。ナイトの威力は駒が交換されていくにつれて減少する。ルークの威力は対照的に増加する。

 キングは中盤戦の間は純粋な守備駒だが、盤上から駒がすべて消えると攻撃駒になり、駒が1、2個残っているときでさえそうなることがある。キングの扱いは收局の段階に至れば何にもまして重要になる。

(この章続く)

2014年07月10日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(019)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

6.布局の一般的な戦略

 最も重要なことは駒を迅速に展開することである。できるだけ速く駒を戦闘に投入せよ。

 初手のうち 1.e4 と 1.d4 の2手がクイーンとビショップの道を開く。ほかの初手はこれほどのことは達成しないので、理論的にこの2手のうち一つが最善のはずである。

例17

 初手から次のように指し進めるものとする。

1.e4 e5 2.Nf3

 これは攻守を兼ねた手である。これに対して黒は同じ手で応じることもできるし次のように指すこともできる。

2…Nc6

 この手は展開しながら同時にeポーンを守っている。

3.Nc3 Nf6

 この2手は純粋に展開の手である。

4.Bb5

 一般にキング翼ナイトを外に出すまではこのビショップを出さない方が良い。このビショップはc4に出すこともできたが、可能ならいつも展開と攻撃を兼ねるのが良い。

4…Bb4

 黒も同じように応じ、次にビショップをナイトと交換してから …Nxe4 と取る手を狙っている。

5.O-O

 この手は間接的に 5…Bxc3 を防いでいる。十分な経験があれば、あるいはよく研究すれば、こう取る手が良くないことが分かる。同時にルークは要所の中央に持ってきて働かせるのが良い。

5…O-O

黒も同じ論理に従っている。

6.d3 d6

 この2手には二通りの目的がある。すなわちeポーンを守ることと、クイーン翼ビショップの展開のために斜筋を開けることである。

7.Bg5

(この章続く)

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チェスの基本(020)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

6.布局の一般的な戦略(続き)

例17(続き)

 (再掲)

 これは非常に強力な手で、Nd5 という手筋でたちまち勝ちになるのでもう中盤戦に入っている。この狙いのために黒は同じ道をたどることができなくなっている(黒も 7…Bg4 と指せば負けに至ることを示す長い分析がある)。実戦で示されたように黒は 7…Bxc3 と取ることが余儀なく、注目することが3点ある。

 第一に、布局の展開の完了がたった7手で済んでいる(非常に例外的な場合には10手や12手かかることがあるが、原則的には8手で十分である)。第二に黒はビショップをナイトと交換することを強いられたが、代償として白のaポーンを孤立させcポーンを二重にさせた(こんなに早い段階なので中央に向かって二重になったポーンは白にとってむしろ有利である)。第三に、白はこの交換によってポーンがd4の地点を支配するようになり、経験によれば黒を守勢に立たせ主導権を維持して紛れもなく優勢になっている(主導権の価値については第20章で説明する)。

 上述の戦略の原則はすべての布局で同じで、状況により応用する戦術が変わってくるだけである。

 先に進む前に初学者は次のことを心にとめておくように強調したい。

 戦力得するか動きの自由さを確保することが必須でなければ、展開が完了する前にどの駒も二度以上動かすべきでない。

 初学者は前述のビショップより先にナイトを出せに加えてこのことも覚えておくと良い。

(この章続く)

2014年07月12日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(021)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

7.中央の支配

 d4、e4、d5、e5の4枡は中央の地点で、これらの地点の支配は中央の支配と呼ばれる。中央の支配は何よりも重要である。これらの2地点、たぶん3地点を支配しなければ猛攻は成功しない。布局における多くの捌きの目的はただ一つ、それは中央の支配で、いつも主導権が確保される。このことはいつも心に留めておくのが良い。というのはそうでないと一連の手順が適切に理解できないことがよくあるからである。本書が先へ進むにつれてこれらの色々な点についてもっと詳しく説明する。当面は無作為に選んだ布局にページを割き、一般原則に従って手を説明する。初学者はそうすることによって正しい方向に思考が向き、新しく難しい状況に立たされたとき手段を見つけるのに苦労が少なくなる。

(この章続く)

2014年07月13日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(022)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

7.中央の支配(続き)

例18

1.e4 e5 2.Nf3 d6

 これは臆病な手である。黒はすぐに守勢の態勢をとった。原則からすればこの手は悪手である。布局では可能ならばいつでも駒はポーンに先駆けて出すのが良い。

3.d4

 白はすぐに攻勢に出て、戦力を展開する余地を広く確保できるように中央を支配しようとしている。

3…Nd7

 黒は中央を明け渡したくはなかった。そしてナイトをもっと自然な地点に行かせる 3…Nc6 よりも本譜の手を選んだ。しかし原則からすればこの手は悪手である。なぜならクイーン翼ビショップの利きをふさぎ、黒駒の動きを容易にするどころか拘束しがちだからである。

4.Bc4 h6

 黒は前の手の罰金を払わされている。黒がこんな手を指すこと自体それを必要とするどんな布局も非難されるもととなる。白は 5.Ng5 を狙っていて黒はそれを 4…Be7 で止めるわけにはいかなかった。なぜなら 5.dxe5 Nxe5(5…dxe5 なら 6.Qd5)6.Nxe5 dxe5 7.Qh5 で白はポーン得になりしかも完全に安全な陣形だからである。

5.Nc3 Ngf6 6.Be3 Be7 7.Qe2

 白がまだキャッスリングしていないことに注意が必要である。その理由は最初に戦力を展開したいからである。この最後の手は Rd1 から dxe5 を狙っていて、黒に …c6 でクイーンの動く余地を作らせる。黒のほかの手はついには …exd4 と取ることになり中央を白に明け渡すことになる。

7…c6 8.Rd1 Qc7 9.O-O

 白はこの最後の手で展開を完了した。一方黒は明らかに少々もたついている。白陣が金城鉄壁であることを示すには簡単に調べるだけで十分である。白のよろいには何も弱点がなく、白駒は敵陣への攻撃を始めるためにやりたい捌きの準備ができている。初学者はこの例を注意深く分析するとよい。ときにはキャッスリングを遅らせるのが良いことが分かるだろう。ここにあげた手順は布局の標準的な本によらずに思いついたままを示したものである。私の手順が標準的な本と一致するのかどうかは知らない。しかし本書のこの段階では初学者がもっと上達したときに理解できる専門的なことの議論に入るのは適当でない。

(この章続く)

2014年07月14日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(023)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

7.中央の支配(続き)

例19

1.e4 e5 2.Nf3 d6 3.d4 Bg4

 これは悪手である。ビショップを出す前に少なくとも一つのナイトを出せという原則に背いている。また、ビショップをナイトと交換するからでもあり、序盤では何らかの代償がない限り一般には良くない。

4.dxe5 Bxf3

 4…dxe5 は黒のポーン損になる。

5.Qxf3 dxe5 6.Bc4 Qf6

 6…Nf6 なら 7.Qb3 で白がポーン得する。

7.Qb3 b6 8.Nc3 c6

 この手は白の Nd5 を防ぐためである。

 しかし黒はクイーン以外の駒が何も動いていない。これに対し白はビショップとナイトが既に展開されていて、いずれ Nd5 によりすぐに優勢になる可能性がある。初学者はこの局面から生じる多くの変化を考えてみるとよい。

 これらの例は以前に説明した原則を実際に応用したものである。初学者は序盤の段階では駒より優先してポーンを動かすことのないようにした方が良い。特に端のポーンを突くのは初心者がよくやりがちな手である。

(この章続く)

2014年07月15日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(024)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

8.罠

 布局で避けるべき局面、すなわち罠を少しあげよう。これらは初心者がよく陥りやすいものである(実戦で起こっている)。

例20

 白は次のように指した。

1.dxe5 Nxe5

 黒はポーンで取り返すべきだった。

2.Nxe5 Bxd1 3.Bxf7+ Ke7 4.Nd5#

(この章続く)

2014年07月16日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(025)

第1部

第1章 收局、中盤戦そして布局での最初の原則(続き)

8.罠(続き)

例21

 手番の黒は …e6 と指すのが良い。しかし …Nf6 と指したと仮定すると次の手が飛んでくる。

1.Bxf7+

 1.Ne5 でも白が優勢で、狙いはもちろん 1…Bxd1 2.Bxf7# である。1…Bh5 でも駄目なのは 2.Qxh5 と取られるからである。1…Be6 は黒陣に傷ができる。しかし本譜の手ならすぐに白の戦力得が確定する。そして初心者はこのような好機を決して逃さないようにすべきである。

1…Kxf7 2.Ne5+ Ke8 3.Nxg4

 白は1ポーンを得して優勢になった。

 罠はほかにもいっぱいある。実際チェスの罠について書かれた一冊の本もある。しかし上記の型は最もよく見られるものである。

(この章終わり)

2014年07月17日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(026)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則

 ここで收局に立ち返って原則をもう少し取り上げ、それからまた中盤戦に行き、最後に布局にまた行って、進み方がゆるやかで一定になるようにする。このようにすれば本書の構成の基礎がしっかりした確実なものになる。

9.基本原則

 この局面で白はこのような場合に適用される対向ポーンのないポーンを突くことという一般原則に従って 1.b4 と指すことにより引き分けにすることができる。しかし白がこの原則を知らないか、ここでの場合に適用する価値を十分に理解していないために 1.a4 と指したとする。すると黒は基本原則の一つの

 1個が2個を抑える

というチェスの高等戦略を適用して 1…a5 と指すことにより勝つことができる。この場合1ポーンが相手の2ポーンを止めている。初学者はこの原則に重みを置きすぎてもいけない。これは多くの手段に応用でき、マスターの手にかかれば主要な武器の一つとなる。

例22

 上の例は十分な例証になる。想定される手順を少しあげよう。

1.a4 a5 2.Kg2 Kf4(最善手。このあと分かる)3.b4 axb4(最善手)4.a5 b3 5.a6 b2 6.a7 b1=Q 7.a8=Q Qe4+ 8.Qxe4 Kxe4

 これでキングとポーンの古典的な收局の一つとなって黒の勝ちの局面である。あまりよく分からない人のために指針となる考え方を説明していく。

(この章続く)

2014年07月18日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(027)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

10.古典收局

例23

 この局面で白の最善の防御策はポーンをh2のままにしておくことである。このポーンが前進するとたちまち黒の勝ちが容易になる。一方黒が勝つための作戦は(白がポーンを前進させないと仮定する)、3段階に分かれる。第1段階はポーンをそのままの位置に保つと同時にキングをh3に持ってくることである(これが非常に重要なわけは最後に白キングの位置によって最後尾のポーンを1枡突くか2枡突くかを決められるようにすることが勝つために必須だからである)。

1.Kg3 Ke3 2.Kg2

 2.Kg4 なら 2…Kf2 3.h4 g6 で白の勝ちになる。

2…Kf4 3.Kf2 Kg4 4.Kg2 Kh5 5.Kg1 Kh3

 第1段階が完了した。

 第2段階は短くて、hポーンをキングの後ろまで突き進めるだけである。

6.Kh1 h5 7.Kg1 h4

 第2段階はこれで終わりである。

 第3段階は白キングがh1にいるときにgポーンを …g3 と突くタイミングを計ることである。この例の最初に述べたように白キングの位置によってgポーンを1枡突くか2枡突くか決められることがいかに必要かがここで明らかになっている。この場合白の手番なので、白キングが隅にいるようにgポーンは2枡突くことになる。しかしもし黒の手番なら白キングがg1にいるのでgポーンを1枡だけ突くべきである。

8.Kh1 g5 9.Kg1 g4 10.Kh1 g3 11.hxg3

 11.Kg1 なら 11…g2 と突く。

11…hxg3 12.Kg1 g2 13.Kf2 Kh2

 これで黒の勝ちである。

 初学者が学ぶようにすべきことはこの分析の仕方にある。そうすればどんな局面を読む際にも論理的な筋道に従うようになる。ここであげた例は3段階に分けてそれぞれの要点を説明するのが容易なので練習に最適である。

 次の主題は単純な見合いである。しかしその前に次の二つのことに注意を向けて欲しい。

(この章続く)

2014年07月19日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(028)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

11.パスポーンの作り方

 次の例24の局面のように3ポーンまたはそれ以上のポーンが対峙しているときは、いつもどちらかにパスポーンを作る可能性がある。

例24

 上の局面でパスポーンを作る手段は真ん中のポーンを突くことである。

1.b6 axb6

 1…cxb6 なら 2.a6 と突く。

2.c6 bxc6 3.a6

 そして黒ポーンより白ポーンの方がクイーンへの昇格枡に近いので白が勝つ。そもそも黒の手番だったとしたら黒は次のように指す。

1…b6 2.cxb6 cxb6

 白ポーンの方が黒ポーンよりクイーンへの昇格枡に近いので、黒がパスポーンを作ろうとするのは賢明でない。

3.axb6 axb6

 そして試合は適切に指せば引き分けに終わるだろう。初学者は自分で確かめてみるといい。

(この章続く)

2014年07月20日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(029)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

12.どちらのポーンが先にクイーン昇格するかの見分け方

 両者のポーンが自由に進めるとき、またはそうなるとき、手数を数えることによりどちらが先にクイーン昇格できるかを見分けることができる。

例25

 この局面では手番の方がつねに勝つ。

 最初にすべきことは手数を数えることにより相手のキングがこちらのパスポーンのクイーン昇格を止めるのに間に合うかどうかを見極めることである。この場合のようにそれができないときは、どちらのポーンが先にクイーン昇格するかを見極めることが大切である。この場合手数は同じだが、先に最終段に到達したポーンがクイーンに昇格すると相手のできたばかりのクイーンを取ることができる。ということで

1.a4 h5 2.a5 h4 3.b6 axb6

 ここでちょっと読みが必要になる。白は黒ポーンを取ることができるが、そう取るとポーンがクイーンに昇格したときに黒ポーンがクイーンに昇格する枡に利いていない。だから取らずに次のように指す。

4.a6 h3 5.a7 h2 6.a8=Q で白の勝ち。

 初学者はこのような単純な收局に数多く慣れて、手数を数える習慣を身に着け先に目的を遂げることができるかどうかを容易に知ることができるようにするのが良い。本だけでは指し方を学ぶことができないということに再び注意を喚起しなければならない。本は指針として役立つだけで、残りは経験によって学び取らなければならない。もし同時に先生についてもらえるならば、ずっと速く学ぶことができるだろう。

(この章続く)

2014年07月21日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(030)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

13.見合い

 両者がキングを動かさなければならず、一方が下図のような局面で相手のキングを強制的に動かさせてこちらの進路を空けさせることができるとき、見合いで有利であるという。

例26

 この局面で白が次のように指したとする。

1.Kd4

 ここで黒は 1…Kd6 と指して白キングの行き先をふさぐこともできるし、望むなら 1…Kf5 と指すことによりやり過ごすこともできる。注意点はお互いのキングが直接向かい合っていて、キング同士の間の枡が奇数、この場合は1、であることである。

 見合いは上図のように実正面見合い、または近接正面見合いと呼ばれる形の場合もあるし、次図のように

実斜め見合い、または近接斜め見合いと呼ばれる形のこともあるし、さらに

実側面見合い、または近接側面見合いと呼ばれる形のこともある。

 実戦ではどれも同じことである。キングは必ず同じ色の枡の上にいて、キング同士を隔てている枡は一つだけで、最後に指した方が「見合いを取っている。」

 それぞれの図でキング同士を縦、斜め、横に引き離せば遠方正面、斜め、側面見合いになる。

 見合いの問題は非常に重要で時にはいくらか複雑な形になることがあるが、どれも数学的に解決することができる。しかし当面は最も単純な形を考えればよい(既出のキングとポーンの收局の分析ではいくつかが近接見合いの例になっていた)。

(この章続く)

2014年07月22日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(031)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

13.見合い(続き)

 単純な見合いのすべてで両者のキングが同じ筋にありその間の枡が偶数ならば手番の方が見合いを取ることになる。

例27

 この局面には見合いの計り知れない有利さが表れている。局面は非常に簡素で、初心者にはたぶんまったくの互角と見えるだろう。しかしそうではなく、手番の方が勝つ。注意点は両方のキングが正面に向かい合い、その間の枡が偶数であるということである。

 このような局面での正しい勝ち方はまずキングをまっすぐ前進させることである。

1.Ke2 Ke7 2.Ke3 Ke6 3.Ke4 Kf6

 ここで白は 4.Kd5 で自由にキングを進めることもできるし、4.Kf4 で黒キングの針路をふさぎ見合いを保つこともできる。前者は手数を数えるだけで引き分けになることが分かるので、白は後者のように指す。

4.Kf4 Kg6

 4…Ke6 なら 5.Kg5 で白が勝つ。

5.Ke5 Kg7 6.Kf5 Kh6 7.Kf6 Kh7 8.Kg5

 あとは黒のhポーンを取って白の勝ちになる。

(この章続く)

2014年07月23日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(032)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

13.見合い(続き)

例27(続き)

 上記の手順は比較的単純だった。しかし黒にはもっと対処の難しい別の手順がある。最初からやってみよう。

(再掲)

1.Ke2 Kd8

 ここで 2.Kd3 なら 2…Kd7、または 2.Ke3 なら 2…Ke7 で、どちらも黒が見合いを取る(両方のキングが正面に向かい合い、隔てる枡の数が奇数のとき、最後に指した方が見合いを取っている)。

 白は勝つためにはキングを動かさなければならない。ほかに行ける地点はf3だけだが、そこが正解である。だから相手がいわゆる手待ちをした場合、キング同士を1列または1段空けてキングを動かさなければならないことが分かる。そこで

2.Kf3 Ke7

 ここで白がキングを前進させるのは悪手となる。なぜなら黒はキングを白キングの正面に持ってくることにより見合いを取るからである。黒のこの手に対し同様の手を指すのは白の番である。すなわち

3.Ke3

 これで最初の手順の局面になった。初学者は見合いのいろいろな例でキングの動きに慣れるのが良い。それが勝ちと負けとを分けることになることがよくある。

(この章続く)

2014年07月24日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(033)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

13.見合い(続き)

例28

 次の局面は防御の手段としての見合いの真価の素晴らしい証明である。

 白はポーンを損していて負けそうである。しかし以下のように指せば引き分けることができる。

1.Kh1!

 このポーンの配置では白は実見合いや近接見合いの手段で引き分けにすることができない。だから遠方見合いをとる。事実 1.Kf1(実または近接見合い)1…Kd2 2.Kf2 Kd3 で、f3に自分のポーンがあるために生存に必須の側面見合いをとり続けることができない。本譜の手のあとは

1…Kd2 2.Kh2 Kd3 3.Kh3! Ke2 4.Kg2 Ke3 5.Kg3 Kd4 6.Kg4

でポーンを当たりにして黒に 6…Ke3 と指させて 7.Kg3 と戻ることができ、つねに見合いを保つことができる。

 最初の局面に戻って

1.Kh1 g4

 2.fxg4 と取ると 2…e4 で負けるので白は次のように指す。

2.Kg2 Kd2

 2…gxf3+ なら 3.Kxf3 から 4.Ke4 で引き分けになる。

3.fxg4 e4

あとは両者が単純にクイーンを作って引き分けになる。

 キングとポーンの例に戻れば、そのすべてで見合いが最高に重要なものであることに気づくだろう。実際ポーンの位置自体で勝ちが決まってしまう場合を除いてキングとポーンのほとんどの收局でそうである。

(この章続く)

2014年07月25日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(034)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

14.ナイトとビショップの相対的価値

 この問題に移る前にここで2ナイトだけでは詰めることができないということを言っておいた方が良いだろう。もちろん相手にポーンがあるようなある条件下では詰めることができることがある。

例29

 上の局面で黒キングは隅に追い詰められているけれども白は詰めることができない。しかし黒にポーンがある次の局面では

白は手番であってもなくても次のように指して勝つ。

1.Ng6 h4

 白はこのポーンを取っているわけにはいかない。上述のように引き分けになってしまう。

2.Ne5 h3 3.Nc6 h2 4.Nb5 h1=Q 5.Nc7#

 チェスのこの奇妙さの理由は明らかである。

 黒に動かせるポーンがないならば、2ナイトでは黒キングを空詰みにしかできない。

(この章続く)

2014年07月26日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(035)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

14.ナイトとビショップの相対的価値(続き)

例30

 次の局面で白はビショップとポーンを得していても勝つことができない。

 ルーク列ポーンの昇格枡がビショップのいる枡と反対の色で、相手のキングがポーンの前方にいるときは、ビショップはまったくの無力である。これがビショップの最大の弱点である。黒はキングを隅のあたりで動かしているだけでよい。

(この章続く)

2014年07月27日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(036)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

14.ナイトとビショップの相対的価値(続き)

例31

 上の局面で白は手番であってもなくても勝つことができる。最も難しい手順を示すことにする。

1…Kh2 2.Ng4+ Kh1 3.Kf1 g5 4.Kf2 h2 5.Ne3 g4 6.Nf1 g3+ 7.Nxg3#

 いくつかの例外的な場合を見てきたので、これからはナイトとビショップのいろいろな得失と相対的な価値を分析していくことができる。

(この章続く)

2014年07月28日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(037)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

14.ナイトとビショップの相対的価値(続き)

 アマチュア選手は一般にナイトの方がビショップより大切だと考えているようである。その大きな理由はビショップと違ってナイトは白枡にも黒枡にも行けるからである。しかしある時点に限ればナイトが行けるのはどちらかの色の枡だけであるという事実が一般に見過ごされている。一方の翼から反対の翼に行くのにナイトはずっと手数がかかる、また、次の例に見られるようにビショップはナイトを足止めすることができるが、ナイトはその返礼をすることができない。

例32

 弱い選手ほどナイトを怖がるが、強くなるにしたがってビショップの価値が分かるようになり、もちろんそれに伴ってナイトの価値の評価が下がっていくしそうなるべきである。この点でほかの多くの点のように今日のマスターは前の世代のマスターよりはるかに進歩している。それほど昔でない時代にはピルズベリーやチゴーリンのように強豪の中にもビショップよりナイトを好む者がそれなりにいたが、今日のマスターには上述のことにまったく同意しない者はほとんどいない。

(この章続く)

2014年07月29日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(038)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

14.ナイトとビショップの相対的価値(続き)

例33

 ナイトがビショップより価値があるのは次のような場合だけである。

 これがいわゆる「閉鎖局面」である。そしてポーンがすべて片方の翼にある(もしポーンが両翼にあればナイトの有利性はなくなる)。このような局面では黒の勝つ可能性はすごく高い。もちろん白には自分のポーンがビショップのいる枡と同じ色の枡にいるという不利も加わっている。これはよくやりやすい誤りである。一般に收局での正しいやり方はポーンをビショップのいる枡と反対の色の枡に置くことである。ビショップのいる枡と同じ色の枡に置くと、駒の価値は利き筋の枡の数によって判断できることがよくあるので、ビショップの動きがそれらによって制限されそのため価値も減少する。このことに注意を向けると一般に自分のポーンは相手のビショップのいる枡の色と同じ色の枡に置くのが有利となることが多い。特にパスポーンがキングによって支援されているならばそうである。原則は次のように述べることができるだろう。

 相手がビショップを持っているときは自分のポーンを相手のビショップのいる枡と同じ色の枡に置いておくこと。

 自分がビショップを持っているときはいつでも、相手がビショップを持っていようといまいと、自分のポーンを自分のビショップのいる枡と反対の色の枡に置くこと。

 もちろんこれらの原則は局面の状況に合わせて修正しなければならないときがある。

(この章続く)

2014年07月30日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(039)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

14.ナイトとビショップの相対的価値(続き)

例34

 次の局面で両者のポーンは盤の片側だけにあり、ナイトを持っている方にもビショップを持っている方にも有利性はない。試合は引き分けに終わるのが確実である。

(この章続く)

2014年07月31日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(040)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

14.ナイトとビショップの相対的価値(続き)

例35

 前図に3ポーンずつつけ加えて盤の両側にポーンがあるようにしてみよう。

 今度はビショップを持っている方が有利である。もっとも正しく指せば試合は引き分けに終わるだろう。ビショップの優位は盤の一方から他方へすばやく動くことができることに加えて盤の中央から両翼に長い利きを及ぼすことができることにある。

(この章続く)

2014年08月01日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(041)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

14.ナイトとビショップの相対的価値(続き)

例36

 上図の局面では両者とも同じポーン数だけれども盤のそれぞれの側で数が異なっているので、ビショップを持っている方が有利であることは疑いない。キング翼では白が3対2、クイーン翼では黒が3対2になっている。白がやや有望ではあるけれども、正しく指せば試合は引き分けに終わるはずである。

(この章続く)

2014年08月02日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(042)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

14.ナイトとビショップの相対的価値(続き)

例37

 今度の局面ではビショップを持っている方がが決定的に有利である。なぜなら盤の両側にポーンがあるだけでなく、パスポーンがあるからである(白のhポーンと黒のaポーン)。黒は引き分けにできるとしても極度の困難が伴うはずである。

(この章続く)

2014年08月03日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(043)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

14.ナイトとビショップの相対的価値(続き)

例38

 次の局面でも黒が引き分けるのに非常に苦労する。

 初学者はこのような局面を注意深く分析するとよい。多くの例がナイトとビショップの相対的な利点を真に理解するのに役立つと期待している。一般的な手法については指導者につくか実戦経験を積み重ねるのが最良である。しかし一般にこれらの收局での正しいやり方はすべての同様の收局と同じように次のように言うことができるだろう。「キングを盤の中央に、またはパスポーンの方へ、または攻撃されそうなポーンの方へ進める。そして安全が確保される限りパスポーンやポーンを迅速に突き進める。」

 具体的な手順を示すのはつまらない。收局はそれぞれ異なり、相手のやり方により違った対処が必要となる。先の局面を思い描く読みが大切である。

(この章続く)

2014年08月04日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(044)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

15.ナイトとビショップでの詰ませ方(続き)

 中盤戦と收局に戻る前にナイトとビショップでの詰ませ方をやり、そのあとクイーン対ルークでの勝ち方をやっておく。

 ナイトとビショップではビショップのいる枡と同じ色の隅でだけ詰ませることができる。

例39

 この例ではa1かh8で詰ませなければならない。收局は2段階に分かれる。第1段階では黒キングを盤端に追い込む。いつもの場合のように最初は自分のキングを盤の中央に進める。

1.Ke2 Kd7

 黒はもっと手がかかるようにするために白枡の隅を目指す。

2.Kd3 Kc6 3.Bf4 Kd5 4.Ne2 Kc5 5.Nc3 Kb4 6.Kd4 Ka5 7.Kc5 Ka6 8.Kc6 Ka7 9.Nd5 Ka8

 これで第1段階は終わりである。黒キングは白枡の隅にいる。

(この章続く)

2014年08月05日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(045)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

15.ナイトとビショップでの詰ませ方(続き)

例39(続き)

 (再掲)

 終わりの第2段階は黒キングをa8からa1またはh8に追い込んで詰ませる。この局面ではa1が最短手順になる。

10.Nb6+ Ka7 11.Bc7 Ka6 12.Bb8 Ka5 13.Nd5 Ka4

 黒キングはh1を目指そうとしている。黒にはこれを防ぐ手段が二つある。一つは 14.Be5 Kb3 15.Ne3 で、もう一つは私が本譜とした手順である。本譜の方が組織的で、すべての收局の精神に合致したキングをできるだけ活用することを用いているので、初学者が学ぶのに適していると思う。

14.Kc5! Kb3 15.Nb4 Kc3 16.Bf4 Kb3 17.Be5 Ka4 18.Kc4 Ka5 19.Bc7+ Ka4 20.Nd3 Ka3 21.Bb6 Ka4 22.Nb2+ Ka3 23.Kc3 Ka2 24.Kc2 Ka3 25.Bc5+ Ka2 26.Nd3 Ka1 27.Bb4 Ka2 28.Nc1+ Ka1 29.Bc3#

 見られるとおりこの收局はかなり手が込んでいる。大きな特徴は二つある。それはキングの密接な関与と、ビショップのいる枡と反対の色をナイトとキングの強力で支配することである。初学者はこの收局を自分で組織的に練習するのがよい。そうすれば駒の本当の力がよく分かるだろう。規定では50手以内で詰ませることが必要である。

(この章続く)

2014年08月06日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(046)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

16.クイーン対ルーク

 これは最も難しいポーンなし收局の一つである。防御手段は豊富にあり、達人しか既定の50手以内で目的を達することができないだろう。(規定によれば50手以内で相手キングを詰めなければならない。ただし駒の交換があったりポーンの前進があった場合はまた1手目から始まる。)

例40

 これは黒がよく陥る局面の一つである。ここで手番は白である。黒の手番ならルークをキングから離さなければならず(理由を考えてみること)比較的簡単に召し取られてしまう。このことから分かることは主要な目標はルークを黒キングから引き離すことで、黒にそうさせるためには図の局面での手番にさせなければならない。何をしなければならないかが分かってしまえば、手段を見つけるのは容易になる。そこで

1.Qe5+

 1.Qa6 は 1…Rc7+ 2.Kb6 Rc6+ 3.Kxc6 で空詰みになってしまう(初心者は必ずこの落とし穴にはまる)。

1…Ka8 または a7 2.Qa1+ Kb8 3.Qa5

 短手数で目的を達した。第1段階はこれで終了である。次は第2段階である。ルークは白枡にしか行く所がない。さもないとクイーンのチェック一発で取られる。だから

3…Rb3 4.Qe5+ Ka8(最善)5.Qh8+ Ka7 6.Qg7+ Ka8 7.Qg8+ Rb8 8.Qa2#

(この章続く)

2014年08月07日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(047)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

16.クイーン対ルーク(続き)

 初学者は 3…Rb1 4.Qe5+ Ka7 のあとどうやったら白が勝てるかを自分で考えてみるとよい。

例41

 ここでも手順はほとんど同じである。心すべきことはルークがb8に行くとたちまち詰みになること、そして黒キングはa6にもc8にも行くわけにいかないことである。

(この章続く)

2014年08月08日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(048)

第1部

第2章 收局でのさらに進んだ原則(続き)

16.クイーン対ルーク(続き)

例42

 今度はもっと難しい局面を考えよう。

 多くの選手はこの局面にだまされる。もっともそうな手は最善手ではない。その手から始めてみよう。

1.Qe5+ Kf8 2.Kg6 Rd7

 こう受けるしかない。しかし白にとっては不運なことにぴったりすぎる手で非常に難しい局面にしてしまう。3.Qe6 は 3…Rg7+ 4.Kf6 Rg6+ で引き分けになってしまう。3.Qc5+ でも 3…Ke8 4.Kf6 Rd6+! で白キングが押し戻されるので簡単には勝てない。

 局面の困難さが分かったので元に戻ろう。最善手は次のとおりである。

1.Qg5+! Kh8

 1…Kh7 は 2.Qg6+ Kh8 3.Kh6!

2.Qe5+! Kh7 最善手 3.Kg5 Ra7! 最善手

 3…Rg7+ なら 4.Kf6 で例40および例41の局面と似た局面になる。

4.Qe4+ Kg8 5.Qc4+ Kh7 6.Kf6 Rg7 7.Qh4+ Kg8 8.Qh5

 これで図40で黒の手番の局面になった。

 それではまた最初に戻ろう。

1.Qg5+ Kf8 2.Qd8+ Kg7 3.Kg5 Rf3

 ルークが黒キングから離れるならここが最善の地点である。3…Kh7 は 4.Qd4 Rg7+ 5.Kf6 で既に見た局面に似てくる。

4.Qd4+ Kf8 5.Kg6

 5.Qd6+ Kg7 6.Qe5+ Kf8 6.Kg6 でもルークを取ることができる。しかし本譜の手はこのような收局に現れる巧妙な手を示すために選んだ。白はクイーンがd8に行っての詰みを狙っている。

5…Rg3+ 6.Kf6 Rf3+ 7.Ke6 Rh3

 白はクイーンがh8に行っての詰みを狙っていた。

8.Qf4+

 これでルークが落ちる。

 以上の例で斜筋での長射程のチェックがしばしば勝ちにつながる駒捌きの要点だったことに注意して欲しい。また、クイーンとキングは異なった筋上に置かれたままのことがよくある。初学者は局面を注意深く分析して本譜に出てこなかった変化を考えてみるのがよい。

 先に進む前にこれまでの内容をもう一度復習してみるとよい。

(この章終わり)

2014年08月09日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(049)

第1部

第3章 中盤戦での勝ち方

 ここからは私の実戦からとった勝勢の局面を少しお見せしよう。採用したのはと考えてよいものである。すなわちいくらか似た形がよく現れるかもしれない局面である。そのような局面を知っていると大変役に立つ。実際は何から何まで知り尽くすことはできない。事前の知識なしでは全然見つけることができないかもしれない正しい手をほんの少しの努力で見つけることに役立つかもしれないことがよくある。

17.ナイトのかかわらない攻撃

例43

 手番は黒でナイトとポーンを損しているので、勝ちがあるならすぐやらねばならない。そこで

1…Rdg8! 2.Rf2

 2.Qxe7 は 2…Rxg2+ 3.Kh1 Bd5 ですぐに詰まされる。

2…Rxg2+ 3.Kf1 Bc4+ Nxc4 Rg1#

(この章続く)

2014年08月10日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(050)

第1部

第3章 中盤戦での勝ち方(続き)

17.ナイトのかかわらない攻撃(続き)

例44

 黒の直前の手は …e3 で、白の狙いの Ra5 を止める目的だった。その手に対しては …Qf4+ から千日手で引き分けにする。しかし白には有無を言わさぬ手があり、次のように3手詰めに仕留めた。

1.Rxa7+ Qxa7 2.Ra5 黒が何か指す 3.白が詰ます

(この章続く)

2014年08月11日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(051)

第1部

第3章 中盤戦での勝ち方(続き)

17.ナイトのかかわらない攻撃(続き)

例45

 白はいい態勢を築いているが、可能なら黒が防御態勢を固める前に戦力得を図るのが良い。そこで白が指した手は

1.Rxh6! gxh6 2.Bxh6+ Ke7

 2…Nxh6 なら 3.Rxh6 で黒に望みはない。

3.Qh7+ Ke8 4.Qxg8+ Kd7 5.Qh7+ Qe7 6.Be8 Qxh7 7.Rxh7+ Ke8 8.Rxa7 黒投了

 少しの実戦例だったが攻撃はルークとビショップがクイーンと協力して行っていた。どのナイトも攻撃に参加していなかった。次はナイトが攻撃力の重要な役割を果たす例をあげよう。

(この章続く)

2014年08月12日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(052)

第1部

第3章 中盤戦での勝ち方(続き)

18.ナイトが主役の攻撃

例46

 白は2ポーン損になっている。だから攻撃にかけなければならない。試合は次のように進んだ。

1.Nfxg7 Nc5

 これは明らかに悪手で、単にナイトでルークを取られて攻撃が続くので白の勝ちを容易にさせた。黒は 1…Nxg7 と取るべきだった。そして次のように進んだだろう。2.Nf6+ Kg6 3.Nxd7 f6(最善手)4.e5 Kf7 5.Nxf6 Re7 6.Ne4 これで白が勝つはずである。(全指し手と解説は拙著『My Chess Career』の第11局に出ている。)

(この章続く)

2014年08月13日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(053)

第1部

第3章 中盤戦での勝ち方(続き)

18.ナイトが主役の攻撃(続き)

例47

 初学者はこの局面を注意深く分析するとよい。同様の局面でのビショップ切りはありふれていて、実戦ではそのような機会によくめぐり合う。指し手は次のように進んだ。

1.Bxh7+ Kxh7 2.Ng5+ Kg6

 こう逃げるのが最強である。2…Kh6 は 3.Nxf7+ でクイーンが取られ、2…Kg8 は 3.Qh5 で白の攻撃が止まらない。

3.Qg4 f5 4.Qg3 Kh6

 最終的に白が勝ち切った。この局面は例50で詳細に解説している。

(この章続く)

2014年08月14日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(054)

第1部

第3章 中盤戦での勝ち方(続き)

19.間接攻撃による勝ち

 これまでは攻撃そのものが激しくてしかも相手キングに向けられている局面を考えてきた。しかし中盤戦で攻撃が相手陣、駒さらにはポーンに向けられる場合もよくある。

 同じ強さの上手な選手同士では1ポーン得が勝ちにつながることがよくある。

 だからそのような局面の分析は非常に大切である。以下では最終的に勝つ手段としてたった1ポーンを得することを目指す攻撃の局面を二つあげる。

例48

 黒はポーンを損していて、白キングに対する激しい直接攻撃はない。しかし黒駒は非常に良い地点に位置していて動きも自由である。すべての駒をよく働かせればすぐにポーンを取り返すことができるだけでなく優勢になれる。初学者はこの局面と手順とを注意深く研究してみるのがよい。戦力を使いこなす上で適切な連係の好例になっている。

1…Ra8 2.a4

 白の最善手は 2.b3 だった。2…Nxd2 3.Qxd2 3.Ra3 と進んで黒がいずれaポーンを取り戻し常にわずかな優勢を保つ。本譜の手は黒をやりやすくさせた。

2…Nxd2 3.Qxd2 Qc4 4.Rfd1 Rfb8

 黒は 4…Bxc3 と取ればポーンを取り返すことができた。しかしそれ以上のものが得られることを見通していて、そのために白のクイーン翼に対する圧力を強めた。本譜の手には 5…Rxb2 という狙いがある。

5.Qe3 Rb4

 この手は 6…Bd4 で交換得することを狙っている。

6.Qg5 Bd4+ 7.Kh1 Rab8

 この手はナイトを取る手を狙っているので、白に交換損を余儀なくさせる。

8.Rxd4 Qxd4 9.Rd1 Qc4

 このあと黒はポーン損も回復する。

(この章続く)

2014年08月15日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(055)

第1部

第3章 中盤戦での勝ち方(続き)

19.間接攻撃による勝ち(続き)

例49

 この局面をよく調べると黒の大きな弱点はキングが露出していることと、クイーン翼ルークがまだ戦いに参加していないことであることが分かる。実際ここで黒の手番ならクイーン翼でポーンが3対2でビショップが対角斜筋を支配しているので黒の優勢と判断できるかもしれない。

 しかし手番は白で、二通りの針路がある。すぐ見える 1.Bc4 でも 1…Rad8 2.b4 で黒の応手が難しいので白が十分かもしれない。しかし完全に黒陣を翻弄してポーンを得し優勢を勝ち取る手もある。その手とは 1.Nd4! である。実際の進行を見てみよう。

1,Nd4! cxd4 2.Rxc6 Nb4

 3.Bc4 を狙われているのでほかに指しようがない。

3.Bc4+ Kh8 4.Re6 d3 5.Rxd3

 白がポーン得で優勢である。

 これらの局面は初学者にいろいろな手筋に慣れてもらうためのものであった。強い選手になるために必須の資質である想像力を養うのにも役立つと期待している。これらの中盤戦の局面すべてで次のことに気をつけると良い。

 絶好の機会が訪れたならすべての駒が必要があれば「一丸となって」行動を起こす。そしてすべての駒が機械のような正確さで協調して行動する。

 これらの局面でこれがすべてではないとしても、少なくとも理想的な中盤戦の戦い方である。

(この章終わり)

2014年08月16日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(056)

第1部

第4章 一般的な理論

 布局の技法に戻る前に一般的な理論をもう少し考える方が役に立つ。そうすれば布局が試合の以降の部分との関連でもっと良く理解できるだろう。

20.主導権

 駒が最初に盤上に並べられたとき両者は同じ配置で同じ戦力である。しかし手番は白にあり、この場合の手番は主導権を意味し、ほかが互角なら主導権は有利さとなる。そしてこの有利さはできるだけ長く保持しなければならず、戦力や陣形のようなほかの有利さが取って代わるときだけ放棄すべきである。白は既に述べた原則に従って駒をできるだけ迅速に展開するが、その際可能ならどこでも圧力をかけることにより相手の展開を妨害するように努める。まずは中央の支配に努め、これがうまくいかなければ陣形上の有利さを得て相手を困らせることができるようにする。主導権を手放すのは相手の攻勢にも耐えられることが確信できるような有利な状況で戦力を得することができるときだけである。そしてついには戦力の優位を生かして再び主導権を取り戻しそれだけで勝つことができるようになる。この最後に述べたことは自明なことである。なぜなら勝つためには相手キングを攻撃から逃げ場のない状況に追い込まなければならないからである。駒が適切に展開されても出来上がる局面は特徴が異なるかもしれない。つまりキングに対する直接攻撃が可能かもしれないし、すでに有利な局面をさらに良くする場合かもしれないし、もっと長くかかっても主導権を手放す代わりに戦力を得することができるかもしれない。

(この章続く)

2014年08月17日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(057)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

21.一斉直接攻撃

 まず第一に攻撃は成功が保証されるように十分な戦力で行わなければならない。キングに対する直接攻撃はあくまで成功の確信がなければ行なってはならない。なぜなら失敗すれば自分の破滅を招くからである。

例50

 キングに対する直接攻撃の成功の好例は次の図のような場合である。

 この局面で白は単に 12.Bc2 と引いておくこともでき、それでも形勢は優勢である。しかし白は代わりに攻撃が勝ちにつながると確信してすぐにキング翼攻撃に出る方を選択した。指し手は次のように進んだ。(注 これからは実際の棋譜に基づいて解説し、チェスのマスターがたえず頭の中で考える多くの様々な読みに初学者が慣れるようにしていく。初学者が一定の棋力に達しているものとし、すべての手を完全に理解できるわけではないにしても解説の中から何かが得られるものと考える。)

12.Bxh7+ Kxh7 13.Ng5+ Kg6 14.Qg4 f5

 これが最善の受けである。14…e5 はすぐに破滅する。つまり 14…e5 15.Ne6+ Kf6 16.f4! e4 17.Qg5+ Kxe6 18.Qe5+ Kd7 19.Rfd1+ Nd3 20.Nxe4 Kc6(20…Ke8 なら 21.Nd6+ で黒はクイーンを切らなければならない)21.Rxd3 Qxd3 22.Rc1+ Kb6(22…Kd7 は2手詰みになる)23.Qc7+ のあと5手で詰む。

15.Qg3 Kh6 16.Qh4+ Kg6 17.Qh7+ Kf6

 17…Kxg5 なら 18.Qxg7+ ですぐに詰む。

18.e4 Ng6 19.exf5 exf5 20.Rad1 Nd3 21.Qh3 Ndf4 22.Qg3 Qc7 23.Rfe1 Ne2+

 黒はこのポカですぐに負けになる。しかしいずれにせよ負けは避けられなかった。例えば 23…Be6 なら 24.Rxe6+ Nxe6 25.Nd5# までとなる。

24.Rxe2 Qxg3 25.Nh7+ Kf7 26.hxg3 Rh8 27.Ng5+ Kf6 28.f4 黒投了

(この章続く)

2014年08月18日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(058)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

21.一斉直接攻撃(続き)

例51

 似たような別の例をあげる。

 この局面では単純に 21.Nxe5 でも白が勝つ。しかし白は難解さの中の美しさを求めた。そのようなやり方はマスターとの数多くの実戦で経験を積み局面のあらゆる可能性に対し見通す力が十分養われるまでは非常に危険である。本局は1914年のサンクトペテルブルクでの大会で名局賞を受賞した。

21.Bh4 Qd7 22.Nxc8 Qxc6 23.Qd8+ Qe8

 23…Kf7 なら 24.Nd6+ で、黒がクイーンを切らずにキングが逃げれば1手で詰む。

24.Be7+ Kf7 25.Nd6+ Kg6 26.Nh4+ Kh5

 26…Kh6 なら 27.Ndf5+ Kh5 28.Nxg7+ Kh6 29.Nhf5+ Kg6 30.Qd6+ で白の次の手で詰みになる。

27.Nxe8 Rxd8 28.Nxg7+ Kh6 29.Ngf5+ Kh5 30.h3!

 これが 21.Bh4 から始まった一連の手筋の仕上げだった。白はまだ詰みを狙っていて、黒がそれを逃れる最善の手段はこれまでに得た戦力得をすべて返し3ポーン損になることである。

 これまであげた例で初学者が注意すべきことは、攻撃が動員可能なすべての駒を用いて行われていること、そして解説した変化のいくつかにあるように最終的に相手を仕留めるのは最後に使用可能な駒の登場であることが多いことである。既に述べた原則は次のように言い表せる。

 キングに対する直接の猛攻は成功が保証されるように全戦力で一丸となって実行しなければならない。抵抗は何があろうと克服しなければならない。攻撃は中断できない。なぜならそのような場合は敗北を意味するからである。

(この章続く)

2014年08月19日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(059)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

22.狙いを持つ攻撃の威力

 2番目の例の場合直接攻撃の機会がないなら、敵陣の中にあるかもしれないどんな弱点も増大させるようにしなければならない。もし弱点が何もないなら、一つでもいくつでも生じさせるようにしなければならない。何か狙いがあることは常に有利である。しかしそのような狙いはすぐに何か得られる場合に限り実行に移さなければならない。なぜなら狙いを持っていれば相手にその実行に備えさせ、対処のために戦力を用意させるからである。だから相手は別の時点で狙いを簡単に見落とすかもしれないし対処ができなくなるかもしれない。しかし狙いが実行されれば狙いはもう存在しないし、相手は注意をすべて自分の作戦に振り向けることができる。この種の試合で最善で最も成功率の高い捌きの一つは、片方の翼で動き回って相手の戦力をその方面に引きつけるようにすることである。そのあとで自分の駒の相手より優る機動力により戦力を反対の翼に迅速に移動しすれば、相手が防御のために必要な戦力を呼び寄せる余裕ができる前に敵陣突破ができる。

 大局観に基づいた指し方の好例は次局に見ることができる。

例52

 本局は1913年のハバナ国際マスターズ大会でのJ.R.カパブランカ対R.ブランコ戦である(戦型はフランス防御)。

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Nd7 5.Nf3 Ngf6 6.Nxf6+ Nxf6 7.Ne5

(この章続く)

2014年08月20日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(060)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

22.狙いを持つ攻撃の威力(続き)

例52(続き)

 (再掲)

 この手は才能のあるベネズエラのアマ選手のM.アヤラに初めて教えられた。目的はこの戦型で黒の通常の展開となる …b6 のあとクイーン翼ビショップをb7に展開するのを防ぐことである。一般に布局でほかの駒を出す前に同じ駒を2回動かすのは良くなく、この手に適用できる唯一の意義はこの原則に違反するということであるが、それを除けば何もかも推奨に値する。

7…Bd6 8.Qf3

(この章続く)

2014年08月21日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(061)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

22.狙いを持つ攻撃の威力(続き)

例52(続き)

 (再掲)

 8.Bg5 の方が良いかもしれない。本譜の手はやらずもがなの機会を黒に与えた。

8…c6

 正着は 8…c5 だった。そうすれば必ずしも黒が悪くない混戦になっていただろう。少なくとも白はどう応じるか難しい。本譜の手によって成し遂げられることは何もなく、黒は完全に守勢に追いやられる。黒の秘めた狙いの 9…Bxe5 10.dxe5 Qa5+ は簡単に受けられる。

9.c3 O-O 10.Bg5 Be7

 黒がここでビショップを引かなければならないということは、展開の構想が誤っていたということを如実に物語っている。黒が多くの手損をしたので、白は駒を何の邪魔もされずに最も攻撃的な位置につけることができる。

11.Bd3 Ne8

 ここは 11…Nd5 もあった。黒はナイトを動かさないと白に 12.Qh3 と指されたとき 12…g6 と突かざるを得ず(12…h6 は 13.Bxh6 と切られる)キングの囲いをひどく弱める。

12.Qh3 f5

 白はもう攻めが効かないが、黒に際立った弱点を作らせた。ここからの白の作戦はこの弱点(弱いeポーン)につけ込むことで、初学者は以前に述べた原則が本局でどのように適用されるかを見ることができる。どの手も弱いeポーンを支えきれなくさせるか、ほかの箇所で白の態勢を良くするためにこのポーンを守る黒駒の不活発さにつけ込むことに向けられる。

13.Bxe7 Qxe7 14.O-O Rf6 15.Rfe1 Nd6 16.Re2 Bd7

 ようやくビショップが出てきたが、活動的な攻撃駒としてではなく単にルークに道を空けただけである。

17.Rae1 Re8 18.c4 Nf7

 これは巧妙な手で、c5 突きを防ぐのに役立ち、白に 19.Nxd7 から 20.Bxf5 と取るよう誘っている。この手は 19.Nxd7 Qxd7 20.Bxf5 Ng5 21.Qg4 Rxf5 22.h4 h5 23.Qxf5 exf5 24.Rxe8+ Kh7 25.hxg5 Qxd4 となって白が悪い。しかしこのような場合にいつも起こることは、ある攻撃手順が見えれば別の攻撃手順も見えるということである。そしてこれから見られるようにこれは原則に対する例外ではない。

(この章続く)

2014年08月22日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(062)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

22.狙いを持つ攻撃の威力(続き)

例52(続き)

 (再掲)

19.d5! Nxe5

 明らかに白の多様な狙いに対処するにはこれが最善の手段である。19…cxd5 では白ビショップがいつかc4の地点から弱点のeポーンに狙いをつけるようになるので事態をもっと悪くする。

20.Rxe5 g6 21.Qh4 Kg7 22.Qd4 c5

 白から 23.dxe6 と 23.Qxa7 を狙われていたのでこの手は仕方がない。

23.Qc3 b6

 この手よりも 23…Qd6 と指す方が良かった。しかし黒は白に 24.dxe6 と取らせたくて、すぐにポーンを取り返すことになり自陣が安全になると考えていた。しかし白がすぐに見せつけるようにそうはならなかった。つけ加えておくと、黒駒はポーンの守りに縛りつけられているのに対し白駒は自由に動けるので、私の考えではいずれにしても黒陣は持たない。

24.dxe6 Bc8

(この章続く)

2014年08月23日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(063)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

22.狙いを持つ攻撃の威力(続き)

例52(続き)

 (再掲)

25.Be2!

 この満を持した捌きが決め手だった。このビショップがd5に到達すれば黒駒はすべて無用になる。

25…Bxe6 26.Bf3 Kf7 27.Bd5 Qd6

 これで黒駒がすべて縛りつけられていることが明らかで、残っているのは白が勝負をつける最速の手段を見つけることだけである。白はクイーンをh6に進めてからhポーンをh5に突き進めて黒キングを守っているポーンを破壊する。

28.Qe3 Re7

 28…f4 なら 29.Qh3 h5 30.Qh4 Re7 31,Qg5 Kg7 32.h4 Qd7 33.g3 fxg3 34.f4 で黒はすぐにどうしようもなくなる。白がポーンをf5に突き進める準備をしている間黒は駒を遊ばせておかなければならず、最後は Rxe6 で白の勝ちになる。

29.Qh6 Kg8 30.h4 a6 31.h5 f4 32.hxg6 hxg6 33.Rxe6 黒投了

 E.ラスカー博士は当時この試合の白の指し方を評して、白の手をどんなに分析してももっと良い手段が見つからないかもしれないと言っていた。

 このような一見単純な試合は最も難しい類であることがよくある。このような場合における完璧な指し方は、キングに対して捨て駒を伴う派手な直接攻撃が要求される局面よりもはるかに難しい。

(この章続く)

2014年08月24日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(064)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

23.主導権の放棄

 三つ目の場合戦力得が得られればすることは何もなくしばらくの間相手に攻撃にさせ、それを撃退したら全力で戦力得にものを言わせて勝ちになる。この種の好例が次の試合である。

例53

 本局は1913年のハバナ国際マスターズ大会でのJ.R.カパブランカ対D.ヤノフスキー戦である(戦型はルイロペス)。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 Nf6 4.O-O d6 5.Bxc6+ bxc6 6.d4 Be7 7.Nc3

 この手では 7.dxe5 と取る方が良いのかもしれない。しかし当時はその戦型には詳しくなかったので良いと分かっている手を指した。

7…Nd7 8.dxe5 dxe5 9,Qe2 O-O 10.Rd1 Bd6 11.Bg5 Qe8 12.Nh4 g6

 黒は手を稼いで攻撃に回るために交換損を持ちかけた。黒のそのような方針が正しいかどうか何も考えるまでもなく、白の方はやるべきことはただ一つ、すなわち交換得をしてそのあとは嵐をしのぐということである。そして嵐が過ぎればすばやく全力で数的優位にものを言わせるようにする。

13.Bh6 Nc5 14.Rd2 Rb8 15.Nd1 Rb4

 この手は白に c4 と突かせて、黒のナイトのためにd5に空所(注)を作らせる狙いである。このような遠大な作戦はマスターの技量を示すものである。

16.c4 Ne6 17.Bxf8 Qxf8 18.Ne3

 18.Nf3 の方が良かった。

18…Nd4 19.Qd1 c5

 この手は白が 20.Rxd4 で交換損を返しポーンを得て局面を緩和させるのを防ぐためである。

20.b3 Rb8

 ルークを宙づりにさせずに …Bb7 と指すためにこう引いた。

 大局的な優位を求める黒の捌きは本局を通して見事だった。そして黒は負けたとしても、それは1ポーンも得ない交換損の犠牲が本筋の防御に対して成功しなかったことによるものである。

注 チェス用語の「空所」とはポーン陣形の欠陥を意味している。相手は駒をくさびのように埋め込むことができたり、敵のポーンによってどかされたりする可能性がない。上図で黒にはf6とh6の二つの「空所」があり、白はナイトやビショップをそこに進駐させて駒やポーンで支えることができる。

(この章続く)

チェスの基本(065)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

23.主導権の放棄(続き)

例53(続き)

 (再掲)

21.Nf3 f5 22.exf5 gxf5

 局面は本当に白にとって危険そうになってきた。実際は黒の攻撃は最高潮に達しつつあってもうまもなく頂点に達し、そのあとは用意周到の白が反撃を始めて戦力の優位により優勢になることは疑いない。

23.Nf1 f4 24.Nxd4 cxd4 25.Qh5 Bb7 26.Re1 c5

 黒は 27.Rxd4 があるので 26…Re8 と指せなかった。それに …e4 と突きたいこともあった。今のところ白は Rxe5 と指すわけにはいかないが、すぐにそのための手はずを整える。そうすればルークを切ってビショップとポーンを取ることにより完全に黒の攻撃を頓挫させポーン得になることができる。白の防御の捌きはここに基礎をおいている。

27.f3 Re8 28.Rde2 Re6

(この章続く)

2014年08月26日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(066)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

23.主導権の放棄(続き)

例53(続き)

 (再掲)

 これで黒ルークが戦闘に加わるが、白は準備ができている。ここが交換得を返上する時機である。

29.Rxe5 Bxe5 30.Rxe5 Rh6 31.Qe8 Qxe8 32.Rxe8+ Kf7 33.Re5 Rc6 34.Nd2

 34.Rf5+ の方が良かったかもしれない。本譜の手は期待していたほど強力でなかった。

34…Kf6 35.Rd5 Re6 36.Ne4+ Ke7

 36…Rxe4 では簡単に黒の負けになる。

37.Rxc5 d3!

 この手は好手だった。白は 38.Rc7+ と指せない。そう指すと 38…Kd8 39.Rxb7 Rxe4 で黒の勝ちになる。

38.Kf2 Bxe4 39.fxe4 Rxe4 40.Rd5 Re3

 白がこの收局に勝つのは困難である。ここで白は指し掛け前の最後の手を指さなければならなかった。

(この章続く)

2014年08月27日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(067)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

23.主導権の放棄(続き)

例53(続き)

 (再掲)

41.b4 Re4 42.Rxd3 Rxc4 43.Rh3 Rxb4 44.Rxh7+ Kf6 45.Rxa7 Kf5 46.Kf3 Rb2 47.Ra5+ Kf6 48.Ra4 Kg5 49.Rxf4 Rxa2 50.h4+ Kh5 51.Rf5+ Kh6 52.g4 黒投了

 この試合は突き詰めると難解で、それに今のところ收局よりも布局と中盤戦の方に関心があるので、解説は軽めにした。收局は別の章で扱う。

(この章続く)

2014年08月28日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(068)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

24.戦場からの駒の遮断

 マスターが相手の駒の一つを戦闘の舞台からいわば遮断することがよくある。完全に働くなるのはビショップまたはナイトであることが多い。このような場合その瞬間から勝負がついたと言えるかもしれない。なぜなら実際問題として一方が他方より駒が1個多いことになるからである。これにぴったりの例が次の試合である。

例54

 本局は1919年のヘースティングズ勝利大会でのW.ウィンター対J.R.カパブランカ戦である(戦型は4ナイト試合)。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Nc3 Nf6 4.Bb5 Bb4 5.O-O O-O 6.Bxc6

 このニムゾビッチ戦法は多くの試合で指して好成績を得てきた。白は堅実な試合ができる。ニムゾビッチの構想は白がいずれ適当なときに f4 と突くことができて、ルークのためにf列が素通しになりf5に陣取るナイトと相まって勝ちが十分望めるということである。彼は黒が白ナイトのf5への進出を止めようとすれば何らかの形で自陣を弱めなければならないと考えていた。これが本当かどうかは不明なままだが、私の考えではこの手は完全に好手である。その一方で黒が楽に駒を展開できることには疑いがない。しかしこの戦法で考えなければならないことは、白が黒の展開を邪魔しようとしないこと、ただ難攻不落と考える陣形を構築しようとすること、そしてそこからいずれは攻撃を始めることができるということである。

6…dxc6

 代わりに 6…bxc6 と取るのは間違いなく白にとって願ったりかなったりの結果になる。(注1)

7.d3 Bd6 8.Bg5

 この手はこの戦法の特徴と全然合っていない。白の一般的な戦略作戦は h3 突きのあとgポーンを効果のあるうちにg4に突き、クイーン翼ナイトをe2からg3またはd1からe3を経由してf5に行かせることである。そのあともし可能なら状況が必要とするときにキング翼ナイトを、h4、g3またはe3に置くもう一つのナイトと連結させる。白キングはe1にいるままのこともあり、g2にいることもあるが、たいていはh1にいる。最終的には f4 と突くことになりここから攻撃が実質的に始まる。ときにはキングに対する直接襲撃になり(注2)、ときには単に駒のほとんどが交換されたあとの收局における陣形の優位を求めることもある(注3)。

8…h6 9.Bh4 c5

注1 1913年ハバナ国際マスターズ大会記録本のカパブランカ対クプチック戦、または1911年カールスバートでのアリョーヒン対ビドマール戦を参照。

注2 1914年サンクトペテルブルクでの全ロシアマスターズ大会でのニムゾビッチ対レビツキー戦を参照。

注3 1913年ニューヨーク・マスターズ大会でのカパブランカ対ヤノフスキー戦を参照。

(この章続く)

2014年08月29日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(069)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

24.戦場からの駒の遮断(続き)

例54(続き)

 (再掲)

 この手は d4 突きを防ぎ白から致命的となる Nd5 という手を引き出すためである。黒の作戦は状況が許せばできるだけ早く …g5 と突いて、クイーンとナイトを敵ビショップによる釘付けから解放することである。

10.Nd5

 白は罠に落ちた。この手は経験不足としか言いようがない。白はこのような手が良い手なら私のような経験と棋力の選手が決して許すはずがないと考えるべきだった。

10…g5

(この章続く)

2014年08月30日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(070)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

24.戦場からの駒の遮断(続き)

例54(続き)

 (再掲)

 この手のあと白はもう負けになっている。11.Nxg5 は 11…Nxd5 で駒損になるので駄目である。だから Nxf6+ の前でも後でも Bg3 と指さなければならず、どちらにしても実戦の進行に見られるような散々な結果になる。

11.Nxf6+ Qxf6 12.Bg3 Bg4 13.h3 Bxf3 14.Qxf3 Qxf3 15.gxf3 f6

(この章続く)

2014年08月31日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(071)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

24.戦場からの駒の遮断(続き)

例54(続き)

 (再掲)

 局面をざっと見みれば、白が実質的にビショップ損であることが分かる。ポーンを1個犠牲にしなければこのビショップを自由にできないが、たぶんそれですらだめだろう。少なくともポーン損に加えて手損もこうむる。黒はここからクイーン翼に全精力を傾けるが、実質的にビショップ得なので結果に疑問の余地はない。残りの手順からはこのような試合に勝つのがなんと容易であるかが見て取れるだろう。

16.Kg2 a5 17.a4 Kf7 18.Rh1 Ke6 19.h4 Rfb8

 キング翼に注意を払う必要はさらさらない。なぜならポーンを交換しh列を素通しにすることにより白が得るものは何もないからである。

20.hxg5 hxg5 21.b3 c6 22.Ra2 b5 23.Rha1 c4

 もし白が差し出されたポーンを取れば、黒は …bxc4 のあと …Rb4 ですぐに取り返す。

24.axb5 cxb3 25.cxb3 Rxb5 26.Ra4 Rxb3 27.d4 Rb5 28.Rc4 Rb4 29.Rxc6 Rxd4 白投了

(この章続く)

2014年09月01日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(072)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

25.対局者の読みと批評

 自戦解説を少ししてきたので今度はジョージ・トーマス卿の好局を詳解し分析してみる。彼はイングランドを代表する選手の一人で、対戦相手はF.F.L.アレグザンダー、試合は1919年から1920年の冬にかけて開催されたロンドン・チェスクラブ主催の市選手権戦である。初学者にとって興味深いのはトーマス卿が私の依頼に応じて快く解説を書いてくれて私が適当に解説を付け加えることを了解してくれたことだろう。トーマス卿の解説は括弧の中に入れるので、私の解説とは区別できる。

例55

 白はF.F.L.アレグザンダー、黒はジョージ・トーマス卿である(戦型はクイーン翼ギャンビット拒否)。

1.d4 d5 2.Nf3 Nf6 3.c4 e6 4.Nc3 Nbd7 5.Bg5 c6 6.e3 Qa5

(この章続く)

2014年09月02日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(073)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

25.対局者の読みと批評(続き)

例55(続き)

 (再掲)

 (黒の防御法の目的の一つは …Ne4 で白のクイーン翼ナイトを二重に当たりにして …dxc4 と取ることである。この狙いに対処するには 7.Nd2 が強い受けだろう。)黒の防御法にはこのほかにも好ましい理由が二つある。第一に、ほかの防御ほど多くは指されていないのでよく知られていないことである。そして第二に、白のビショップとナイトに対して黒が双ビショップを持つことになり、一般には優位に立つことである。

7.Bxf6 Nxf6 8.a3 Ne4 9.Qb3 Be7

 このビショップはd6に据えるべきで、ここは理にかなった地点ではない。布局では手の損得は非常に重要で、それゆえに展開にはことのほか注意を払い駒が最適の地点に配置されるようにすべきである。

10.Bd3 Nxc3 11.bxc3 dxc4 12.Bxc4 Bf6

 (白ナイトをe5に来させたくなかった。eポーンを弱めるので …f6 と突いてどかすわけにはいかない。)12…Bd6 と指しても同じ結果になるだろう。ということはこのビショップを最初からd6に展開すべきとした私の以前の指摘が実証されることになる。

13.O-O

 代わりに 13.e4 から e5 と突いてから O-O とキャッスリングする手もあった。そうすれば白は主導権を握るがポーンの形をかなり弱めるので、敵キングに対する猛攻にすべを賭けることを強いられるかもしれない。ここは試合の分岐点で、選手の気性と棋風で試合の方向が決まるのはこのような局面である。

13…O-O 14.e4 e5

(この章続く)

2014年09月03日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(074)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

25.対局者の読みと批評(続き)

例55(続き)

 (再掲)

15.d5

 (白は 15.Rfd1 と指して中央の破壊はあとに残す方が良いかもしれない。こちらのビショップにとってはc5の地点が好所になるので相手にこのポーン突きをやらせたかった。)白はこのポーン突きによってこの局面を真に理解していないことを露呈した。白の唯一の優位は黒のクイーン翼ビショップがまだ展開していないことにあった。だから黒のビショップが出てくるのを防ぐ作戦を立てるべきだったし、それが無理ならば黒にビショップを出すためにポーンの形を弱めさせるようにすべきだった。そのために考えられる手は3手あった。第一は威圧するような地点にいる白ビショップを現位置にとどまらせるために 15.a4 と突く手である。これには 15…Qc7 と応じてくるだろう。第二はどちらかのルークをd1に回して 16.dxe5 Bxe5 17.Nxe5 Qxe5 18.Bxf7+ を狙うことである。この手には 15…Bg4 と応じてくるだろう。第三は 15.h3 と突いて …Bg4 を阻止し、そのあとどちらかのルークをd1に回すことにより前述の Bxf7+ を防ぐために黒に …b5 と突かせてクイーン翼のポーンを弱めさせることである。だから白は 15.h3 と突くことにより望みの目的を達していただろう。本譜の手は白ビショップの利きをふさぎ黒の展開を容易にさせている。このあと白は守勢に立たされ、残りの進行の興味は主に黒の指し手と攻撃の仕方に集まることになる。

15…Qc7 16.Bd3

 (この手は黒のクイーン翼の展開をもっと楽にさせたので悪手だと思われる。現在のところ黒は …b6 と突けない。そう突くと白に dxc6 から Bd5 という手を与える。)

16…b6 17.c4 Bb7 18.Rfc1

 (次に Rab1 から c5 と突くつもりである。しかし黒がどのみち指すビショップをc5に出す手を指させるだけである。)

18…Be7 19.Rc2 Bc5 20.Qb2 f6

 (たぶん …f5 を含みに 20…Rfe8 と指す方が良かった。)このあたりの黒の指し方はぬるい。厳しさに欠け攻撃の作戦がはっきり定まっていないようである。もちろんここらは試合の中で最も難しい局面である。このような場合は成功を約束するような全体に渡る作戦を立てなければならない。それと共に自由な手段で実行できるような作戦でなければならない。この局面の様相からすると黒が一番有望なのは、白の中央に対する攻撃に戦力を集中しそのあと白キングを直接攻撃することである。だから黒は 20…Rae8 で …f5 突きを狙うべきである。もし白がこの作戦を打ち負かすことができれば、というよりむしろ防ぐことができれば、黒は白駒の一部をキング翼に固定したあと迅速にクイーン翼での攻撃に移行しルークのために素通し列を作るべきである。そうすればルークが活動を始めれば双ビショップの大きな威力のために優勢になるはずである。

21.Rab1 Rad8 22.a4 Ba6 23.Rd1

 (白はルークの動きで明らかに手損をした。)

23…Rfe8 24.Qb3

 (この手は Nh4 と Be2 のあとクイーンを反対翼に転回するためである。)

24…Rd6 25.Nh4 g6 26.Be2

(この章続く)

2014年09月04日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(075)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

25.対局者の読みと批評(続き)

例55(続き)

 (再掲)

26…cxd5

 (白がビショップをg4を経てe6に潜り込ませようと狙っているので、ここでこの交換が必要だと思った。白がcポーンで取り返せば、ビショップ同士をを交換してクイーン翼の2対1のポーンに期待するつもりだった。eポーンで取り返すのは白が激しいキング翼攻撃にさらされるかもしれないので予想していなかった。)ここでの黒の判断は誤っていると思う。黒の期待どおりに白がcポーンで取り返したら黒は最悪のポーンの形になっていた。なぜならクイーン翼で白によく守られたパスポーンができるからである。黒の唯一有利な点は位置の悪いナイトに対しビショップが絶好の位置にいることと、上述のような局面ではいつもビショップの方がナイトより強力であるということである。黒は 26…Bc8 と指すことによりこれらすべてを防ぐことができたしそうすべきだった。というのはもし白が 27.Qg3 と応じれば黒は 27…cxd5 と取ることができ、白が 28.cxd5 と取り返すのは 28…Bxf2+ で交換損になるからである。

27.exd5 e4 28.g3 e3

 この手は気に入らない。何かのときのためにとっておき 28…f5 と突く方が良かっただろう。そのあとは必要に応じてクイーンをd7、f7またはそのほかのどこかに配置してから、時が来れば …g5 から …f4 と突いていく。本譜の手はc5の強力なビショップの利きをふさぎ、白陣を本来よりも安全にすることになる。この手自体は非常に強力だが孤立ポーンになり効果的な次の手がない。このようなポーン突きは原則として駒の協力が得られるときだけ行うべきである。

29.f4 Bc8 30.Nf3 Bf5 31.Rb2 Re4 32.Kg2 Qc8 33.Ng1 g5

 (34.Bf3 と来れば 34…gxf4 35.Bxe4 Bxe4+ で黒の攻撃が決まる。)

34.fxg5 fxg5 35.Rf1 g4

 35…Rh6 と指す手もあった。白は 36.Kh1 と指すしかないだろう。実戦の局面は明らかに黒の勝勢で、あとは正着を見つけるだけの問題である。ここからのトーマス卿の最終攻撃は非の打ちどころがなかった。

36.Bd3 Rf6 37.Ne2 Qf8

(この章続く)

2014年09月05日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(076)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

25.対局者の読みと批評(続き)

例55(続き)

 (再掲)

 (白ルークに対する隠れ攻撃により再び 38.Bxe4 を防いでいる。だから白はルークに紐をつける。)38.Nf4 なら 38…e2! 39.Nxe2 Rxe2+ 40.Rxe2 Be4+!! 41.Bxe4(最善)41…Rxf1 で白が負ける。

38.Rbb1 Qh6 39.Qc2

 (まだ取るわけにはいかないルークに当たりを追加し、h2のポーンを守る用意をした。)白が代わりにルークやビショップを取るとたちまち詰まされる。

39…Qh3+ 40.Kh1 Rxc4!!

(この章続く)

2014年09月06日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(077)

第1部

第4章 一般的な理論(続き)

25.対局者の読みと批評(続き)

例55(続き)

 (再掲)

 (代わりに 40…Rh6 は 41.Ng1 Qxg3 42.Qg2 と防がれる。だから黒は白クイーンを防御から引き離そうとした。)鮮やかな手だし、攻撃の最善の手段である。

41.Qxc4

 (最善の受けは 41.Rxf5 だった。しかし黒がクイーン対ルークとナイトの駒割になる。)

41…Bxd3

 (42.d6+ があるのでやはり 41…Rh6 は成立しない。)

42.Rxf6

 (42.Qxd3 ならついに 42…Rh6 で黒が勝つ。)

42…Bxc4 43.Nf4 e2!

 (黒クイーンは逃げられないが、白はそれを取っている暇がない。)

44.Rg1 Qf1 白投了

 きれいに決めた。

(この章終わり)

2014年09月07日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(078)

第1部

第5章 收局の戦略

 次はまた收局に戻らなければならない。その重要性は私のヤノフスキーとの試合(例53)を分析した読者にとっては明らかであろう。普通の戦法(ルイロペス)の一つのどうと言うこともない布局のあと、相手は交換損を持ちかけることにより急に事態を面白くしてきた。私はもちろん受諾した。そのあとは難解な戦いが続き、相手の巧妙な捌きによって可能になった非常に危険な攻撃に対し守勢に立たなければならなかった。最終的には交換損を返して駒のほとんどを交換し明らかに優勢な收局に持ち込むことができた。しかしその收局は当初の見込みほど簡単ではなかった。そしてついにはたぶん1手の緩着のために勝ちを見つけるのが非常に困難になった。私が收局の弱い選手だったらたぶん引き分けに終わりそれまでの努力がすべて無駄になっていただろう。残念なことにそれが收局に弱い大多数の選手にとって非常によくあることである。一流のマスターでも時にはそういう失敗を免れない。ついでながら注意を喚起すると、過去60年の世界最強者は皆並はずれて收局に強かった。モーフィー、シュタイニッツ、それにラスカー博士は在位中この方面において並ぶものがなかった。

(この章続く)

2014年09月08日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(079)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

26.別の翼への急襲

 「一般的な理論」の章で既に述べたように、勝つための手段としてまず片翼を攻撃し、駒の動きが相手より優るとして他翼に迅速に攻撃を移動して相手が攻撃に耐える十分な戦力を集めることのできる前に敵陣を突破することがある。中盤戦の原則は時としていくらか似たようなやり方で收局にも適用できるときがある。

例56

 上図の局面から黒の私は次のように指した。

1…Re4+ 2.Re2 Ra4 3.Ra2 h5

 この手の意味はすぐに見られるように …h4 と突いて先を見据えて白のキング翼のポーンを固定することである。白がキングをb3にやって弱い孤立2ポーンを助けてルークを解放したがっていることは黒には明らかである。だから黒はルークの動きやすさから優勢を引き出すために、適当なときに攻撃をキング翼に移す作戦を立てた。

4.Rd1 Rda5

 この手はルークをa列に移動させて白の両ルークを縛りつけるためである。

5.Rda1 h4 6.Kd2 Kg7 7.Kc2 Rg5

 黒は攻撃をキング翼に移し始めた。

8.Rg1

 これが大悪手で、敗着になった。白は 8.Kb3 と指すべきだった。そうすれば 8…Raa5 9.f3 となるが、g3に黒キングのための侵入口ができ最終的に勝利につながるかもしれない。

8…Rf4

 …Rb5+ があるので白キングはb3に上がれない。

9.Kd3 Rf3+ 10.Ke2

 10.gxf3 は 10…Rxg1 から …Rh1 で黒が勝つ。

10…Rxh3

 このあと短手数で黒の勝ちになった。

(この章続く)

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チェスの基本(080)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

26.別の翼への急襲(続き)

例57

 收局で駒の活動性に優ることが優勢につながることが現れている別の好例は、1913年ハバナ・マスターズ大会で指されたカパブランカ対クプチク戦である。本局の全棋譜と解説は大会記録本で見ることができる。

 上の局面で白の唯一有利な点は素通し列を占拠していることと手番を握っていることで、主導権が約束されている。クイーン翼でポーンが連結されていることも少し有利で、黒はaポーンが孤立ポーンになっている。前の收局のように正しい進路は、ルークを上にあげて少なくとも一つのルークが一方の翼から反対の翼へ移動できるようにし、それにより黒のルークを自由に動けないようにすることである。「一般的な理論」の章でこれが何を意味するかは既に述べている。それによると – 相手を困らせよ。相手に大駒を用いてポーンを守らせるようにせよ。相手に弱い箇所があればもっと弱くさせるかどこかよそに別の弱点を作らせれば、相手陣はいずれ崩壊する。相手が弱点を持ちそれをなくすことができるなら、どこかほかに別の弱点を作らせるようにせよ。

(この章続く)

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チェスの基本(081)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

26.別の翼への急襲(続き)

例57(続き)

 (再掲)

 上図の局面から次のように進んだ。

1.Re4 Rfe8

 この手は白の捌きに追随する意図と、白に素通し列を支配させないためである。

2.Rae1 Re6 3.R1e3 Rce8 4.Kf1 Kf8

 黒は白が攻撃の端緒を開く所ならどこでもその近くにいられるようにキングを盤の中央に持って来たかった。そのような收局ではキングは盤の中央部にいるべきなので、少なくとも一般原則ではこの手はうなずける。結局のところ黒は白のやることにならう以外は何もしていない。その上何かもっと良い手を指摘するのも難しい。例えば 4…d5 と突くと 5.Rg4+ から Ke2 で黒は非常に不愉快な状況になる。また 4…f5 なら 5.Rd4! Rxe3? 6.fxe3 Rxe3 7.Kf2 Re7 8.Ra4 で白が黒のaポーンを取り、キング翼で黒の3ポーンが白の2ポーンによって止められているのでクイーン翼で白が事実上パスポーン得になる。

5.Ke2 Ke7 6.Ra4 Ra8

 初学者は同じ捌きで黒が前局の收局と似たような局面に陥ったことに注意すべきである。

7.Ra5!

 この手には色々な目的がある。事実上黒の唯一2枡進めるdポーンを除くすべてのポーンを固定している。特に黒のfポーンが進むのを防いでいて、それと同時に自分のfポーンをf4からf5へ進める狙いを持っている。この狙いによりほとんど黒に …d5 突きを余儀なくさせていて、すぐに明らかになる理由により白の待ち望むところである。

7…d5 8.c4! Kd6

 明らかにこう指すしかない。このポーンを助ける唯一のほかの手は 8…dxc4 だが、黒のポーンがすべて孤立し弱くなる。代わりに 8…d4 は 9.Re4 Kd6 10.b4! Re5 11.Ra6 で絶望的な形勢になる。

9.c5+ Kd7 10.d4 f5

 これは …Rh6 の狙いでルーク交換を強要するので見るからに強手である。しかし実際は何にもならない。一番可能性があるのは 10…Rg8 だった。

11.Rxe6 fxe6 12.f4

 ここまでの白の指し手は完璧だった。しかしこの手は緩着だった。黒にaポーンかcポーンを放棄させる 12.Ra6 が正着だった。

12…Kc8 13.Kd2

 この手も良くなかった。13.Ra3 が正着で、13…Rb8 なら 14.b3 Kb7 15.b4 Ka8 16.Rb3 で勝つ可能性が非常に高い。実際は勝勢だと思う。

(この章続く)

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チェスの基本(082)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

26.別の翼への急襲(続き)

例57(続き)

 (再掲)

13…Kb7

 黒は唯一の機会を逃した。13…Rb8 なら引き分けになっていただろう。

14.Ra3 Rg8 15.Rh3 Rg7 16.Ke2 Ka6 17.Rh6 Re7 18.Kd3 Kb7

 黒はeポーンを守るためにキングを下がらせた。そうすればルークが使えるようになる。しかしこの手とは関係なく白のあとの緩着で黒にまた引き分けの機会が巡ってくる。

19.h4 Kc8 20.Rh5

 この手は黒に素通し列を支配させないためである。

20…Kd7 21.Rg5 Rf7 22.Kc3 Kc8

 白がキングをb4からa6に進める構えを見せているので、黒はキングをその方面にとどまらせなければならない。

23.Kb4 Rf6 24.Ka5 Kb7 25.a4 a6 26.h5 Rh6

 黒は白の指す手を傍観しているしかない。本譜の手は白ルークを動けなくしているが、たった1手の間にすぎない。

27.b4 Rf6

 黒の指せるほかの手は 27…Ka7 だけで、白は 28.Rg7 と指せるし 28.b5 と突くことさえできる。

(この章続く)

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チェスの基本(083)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

26.別の翼への急襲(続き)

例57(続き)

 (再掲)

28.b5

 この手は緩手で、黒にまだ戦う機会を与えた。この收局で白はほとんどの選手にありがちなように、状況が難しくて慎重な指し方が必要なときは最善手を指していたが、局面が圧倒的に良くなったように感じると努力を緩めて、何も誇れない結果になった。正着は 28.Rg7 だった。

28…axb5 29.axb5 Rf8! 30.Rg7 Ra8+ 31.Kb4 cxb5 32.Kxb5 Ra2 33.c6+ Kb8 34.Rxh7 Rb2+ 35.Ka5 Ra2+ 36.Kb4 Rxf2

 黒は最後の機会を逃した。36…Rb2+ で白に千日手を避けるために 37.Kc3 とさせれば引き分けになっていただろう。読者に注意しておくと相手は当時非常に若くて経験が不足していた。だから彼の敢闘精神は高く評価しなければならない。

37.Re7 Rxf4

 37…Rb2+ から …Rh2 と指す方がまだ可能性があった。

38.h6! Rxd4+ 39.Kb5 Rd1 40.h7 Rb1+ 41.Kc5 Rc1+ 42.Kd4 Rd1+ 43.Ke5 Re1+ 44.Kf6 Rh1 45.Re8+ Ka7 46.h8=Q+ Rxh8 47.Rxh8 Kb6 48.Kxe6 Kxc6 49.Kxf5 Kc5 50.Ke5 黒投了

 この收局は緩手を指すのはなんとたやすいことか、そしてマスターの試合でさえ悪手が出て機会が失われることがいかに多いかを示している。また優勢の局面で戦力の優位が大したことがない限り、いかに強い選手でもたった1手にさえ注意を緩めることはできないことを示している。

(この章続く)

2014年09月13日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(084)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

27.安全な局面に潜む危険性

例58

 前述の文章の良い証明は同じ大会(ハバナ、1913年)でのマーシャル対クプチク戦2局のうちの1局に現れた收局でよく見て取れる。

 上図の局面でマーシャル(白)が大苦戦していることは明らかである。ポーンを取られるだけでなく、陣形もかなり悪い。実際に起こったように何かまったく予期しないことでも起こらなければ望める最良のものは引き分けだった。黒が負けた理由は、ポーン得で形勢が良く安全な局面だと確信していたので、極端に不注意になり実際に存在する危険を考えなかったこと以外にあり得なかった。どのようになったのかを見てみよう。

1.g4 Rxa2

 間違いが始まった。これがその最初である。黒は何の危険もなくポーンを取ることができると考え、何かもっと良い手がないかと考えてみなかった。正着は 1…Rf2+ だった。2.Kg3 なら 2…Rxa2 と取るし、2.Ke4 なら 2…Re5+ のあと …Rxa2 と取る。

2.Rd1 Ra4+

 間違いその2。そして今回は敗着になってもおかしくない重大な間違いだった。正着は 2…f5 で白のポーンの形を崩すと同時に黒キングの空き場所を作る手で、実際すぐに危険に陥ることになる。

3.Rd4 Raa5

 間違いその3。そしてこれが致命傷になった。最善手は 3…Rga5 だった。本譜の手のあとは受けがなかった。黒の負けが決まった。これは一見単純な收局でさえ注意深く指さなければならないことを見せつけている。黒はほとんど勝ちの局面からわずか3手で負けに転落した。

4.Rdd8 Rg7

 4…f5 なら 5.Rh8+ Kg6 6.Rcg8+ Kf6 7.Rxh6+ Rg6 8.g5+ Ke7 9.Rhxg6 fxg6 10.Rg7+ Ke8 11.Rxg6 で白の楽勝になる。

5.h4 h5 6.Rh8+ 黒投了

 投了はやむを得ない。6…Kg6 と逃げても 7.gxh5+ Rxh5 8.Rxh5 Kxh5 9.Rh8+ Kg6 10.h5# までとなる。

(この章続く)

2014年09月14日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(085)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

28.1ルークとポーンの收局

 読者はたぶんこれまでに2ルークとポーンの收局が非常に難解なこと、そして1ルークとポーンの收局にもそれが当てはまることに気づいているだろう。2ルークとポーンの收局はそれほどありふれているわけではない。しかし1ルークとポーンの收局は盤上に出現する收局の中で最も普通の種類である。しかしよく出現するけれども完璧に習得している者は少ない。この收局はしばしば非常に難解になり、ときには一見非常に単純そうだけれども実際はとてつもなく複雑なことがよくある。次の例は1909-10年のマンハッタン・チェスクラブ選手権戦でのマーシャル対ローゼンタール戦である。

例59

 この局面でマーシャルには 1.Rc7+ という簡単な勝ちがあった。しかし指した手は 1.f6 で、そのために黒に引き分けの可能性を与えた。彼にとっては幸運なことに黒は引き分けにする手が見えず、まずい指し方をして負けてしまった。黒は状況が分かっていたら 1…Rd6 で引き分けていただろう。

1.f6 Rd6!

 ここで白には(a)2.f7 と(b)2.Rc7+ がある。

(a)2.f7 Rd8! 3.Rh5+ Kc4

白は最終的にルークで黒ポーンを取らなければならない。あるいは

(b)2.Rc7+ Kd4! 3.f7 Rg6+!

この手は非常に重要である。3…Rf6 では 4.Re7 で白の勝ちになる。

4.Kf1 Rf6 5.Rb7 Kc3

白は最終的にルークでポーンを取るか、永久チェックで引き分けにしなければならない。

 この收局でほかに何もなければ大した価値がないことになるところである。しかし非常に面白い手順がある。1.f6 Rd6 2.f7 のあと黒が 2…Rd8 が引き分ける唯一の手であることに気づかなかったとする。そして次の局面をもとに考える。

(この章続く)

2014年09月15日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(086)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

28.1ルークとポーンの收局(続き)

例59(続き)

 (再掲)

 ここでほかに考えられる手は(a)…Rg6+ と(b)…Rf6 である。それらを検討する。

(a)1…Rg6+ 2.Kf3 Rf6+ 3.Ke3 Re6+

 3…b3 なら 4.Rh5+ で白の勝ちになる。黒キングが下がれば 5.Rh6 だし、上がれば 5.Rh4+ から 6.Rf4 でよい。

4.Kd3 Rf6

 4…Rd6+ なら 5.Ke4 で白が勝つ。

5.Rh5+ K下がる 6.Rh6 白勝ち

(b)1…Rf6 2.Rg7! Kc4

 2…b3 なら 3.Rg3 で白ルークがbポーンを取るか、f3に行って勝ちの收局になる。

3.h4 b3 4.Rg4+ K動く 5.Rg3

 白ルークがbポーンを取るか、f3に行って勝ちの收局になる。

(この章続く)

2014年09月16日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(087)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

28.1ルークとポーンの收局(続き)

例59(続き)

 それでは最初の局面に戻って 1.f6 Rd6 2.Rc7+ のあと黒が引き分けるには 2…Kd4 が唯一の手であることに気づかずに 2…Kb6 と指したとしよう。それが次の局面である。

 ここからの最善の手順は次のようになるだろう。

1.f7 Rg6+(最善)2.Kf1 Rf6 3.Re7! Kc5(最善)

 白は 4.Re6+ を狙っていた。

4.Ke2 b3(最善)

 代わりに 4…Kc4 なら 5.h4 でも 5.Ke3 でも白の勝ちになる。特に最後の手は楽勝になる。

5.Re3 b2(最善)6.Rb3 Rxf7 7.Rxb2 Rh7 8.Rd2 Rxh2 9.Ke3

(この章続く)

2014年09月17日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(088)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

28.1ルークとポーンの收局(続き)

例59(続き)

 (再掲)

 敵キングが白ポーンと2列隔たっていて白ルークによって遮断されていて、しかもこのポーンが黒ルークによって縦からチェックされる前に4段目に進むことができるので、この局面は白の勝ちである。この最後の条件は非常に重要である。なぜならもし黒ルークが図の局面でh8にいて黒の手番だとしたら、チェックをかけ続けるか適当なときにf8に位置することにより白ポーンの前進を防ぐことができるからである。

 なぜこの局面が白の勝ちかを説明したので、正確な手順は初学者の勉強にまかせる。

 一見単純な收局からいくつかの最も珍しく難解な收局を分析できたことは、初学者の心に收局のすべての種類、特にルークとポーンの收局によく慣れる必要性を強く印象づけたはずである。

(この章続く)

2014年09月18日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(089)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

29.2ルークとポーンの難解な收局

 布局だけでなく收局を学ぶ最良の方法はマスターの試合を勉強することだという考えに沿って、2ルークとポーンの收局をもう二つあげる。これらの收局は既に述べたようにあまり一般的ではない。著者は幸いにも普通よりも多くこれらの收局を指している。既にあげた收局(例56と例57)を次の收局と注意深く比較し分析することにより、初学者はこれらの場合に従うべき正しい手法の考え方を間違いなく習得することができる。それらのやり方はどの場合でもいくらか似かよったところがある。

例60

 本局は1910年のニューヨーク州選手権戦でのR.カパブランカ対クレイムボルグ戦である。

(この章続く)

2014年09月19日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(090)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

29.2ルークとポーンの難解な收局(続き)

例60(続き)

 (再掲)

 手番の黒はこのような局面を引き分けにするのはたやすいと考えていたのは間違いなく(黒はそのためだけに指していた)、待機戦術に満足していた。そのようなやり方は常に批判されなければならない。破滅に通じることがよくある。このような局面を指す最良の方法は、主導権を握って相手を守勢に立たせることである。

1…Rae8

 この局面の初手からして間違いである。この手から得られるものは何もない。黒は 1…a5 と突くべきで、白が b3 と指さなければさらに …a4 と突く。これによりクイーン翼が固定されることになる。そのあとは敵ルークを寄せつけないために自分のルークをどう使うかを決めることができるだろう。

2.Rd4

 この手は黒の意図していた 2…f4 を防ぐだけでなく 3.b3 を狙っていて、…cxb3+ と取ってくれば片方か両方のルークを用いて黒のaポーンを攻撃する。

2…Rf6

 たぶん …Rg6 から …Rg2 によってキング翼で事を起こす考えであろう。

3.b3 cxb3+ 4.axb3 Kf7 5.Kd3

 この手では 5.Ra1 で黒に 5…Re7 と守らせるべきだった。しかし白はすぐに作戦を明らかにして黒に自陣の危険性に気づかせたくなかった。この手はそのためで、黒のクイーン翼のポーンを乱そうと見せかけている。

5…Re7 6.Ra1 Ke6

 これは悪手である。黒は自陣の危険性に気づいていない。代わりに 6…g5 と指すべきで、…Rh6 で白のhポーンを狙うと見せかけて白がこれから行なう黒のクイーン翼ポーンに対する攻撃をやめさせる。

7.Ra6 Rc7

 黒は 7…Kd6 とは指せなかった。8.c4 で白が少なくとも1ポーン得する。これだけでも前手の 6…Ke6 の非が分かる。何にも寄与せずほとんど見込みのない局面にしただけだった。

8.Rda4 g5

 こう指すしかないが少し遅すぎた。代わりに 8…Rff7 と守るのは 9.f4 で完全にしびれてしまう。黒はようやく危険に気づいてキング翼で反撃することにより窮地を脱しようとするがもっと早く始めるべきだった。本譜で白はもちろん 9.Rxa7 とは取れない。9…Rxa7 から 10…Rh6 でポーンを取り返して黒が優勢になる。

9.h4! g4

 黒にとってはにっちもさっちも行かない局面になっている。9…gxh4 と取ると 10.Rxh4 と取り返されて始末に負えない状況になる。キングが下がるわけにはいかないし、どちらのルークも動かせない。10…h6 と突くしかないが、白は 11.b4 と突き b5 でポーン得を狙う。それで十分でないなら Kd4 のあとキングをc5かe5に侵入させるかもしれない。

10.Ke2

(この章続く)

2014年10月18日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(091)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

29.2ルークとポーンの難解な收局(続き)

例60(続き)

 (再掲)

10…gxf3+

 ここでも 10…h5 と突くことはできない。11.f4 で麻痺してしまう。黒がhポーンを突けば白のhポーンが安全になり、f6のルークがaポーンを守るためにf7に下がらなければならなくなる。そうなればaポーンが取られるといけないので黒キングがd7に行けなくなるだけでなく、どのポーンも進めなくなる。これに対し白は b4 と突いて b5 でポーンを取ることを狙う。または先に Kd4 と指しておいて、ほかに何ももっと良い手がなければ適当なときに b5 と突く。この間に黒は実際何もすることができず、ルークを動かしているしかない。この封じ込め手法を例57の收局と比べてみれば非常に似ていることが見てとれるだろう。

11.Kxf3 Rff7 12.Ke2

 この手はたぶん悪手である。すぐに b4 と突くのが正着だった。本譜の手は黒に高い引き分けの可能性を与えた。

12…Kd6 13.b4 Rb7

 白が 12.b4 と指していればこの手は決してあり得なかった。なぜなら黒の …Kd6 に対して白が b5 と突けるからである。

14.h5

 この手は良くなかった。14.f4 が最も勝つ可能性が高かった。14…Rg7 とくれば 15.h5 Rg2+ 16.Kd3 Rh2 17.Rxa7 Rxa7 18.Rxa7 Rxh5 19.Ra6 で白が勝つ可能性がある。

(この章続く)

2014年10月19日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(092)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

29.2ルークとポーンの難解な收局(続き)

例60(続き)

 (再掲)

14…h6

 黒は最後の機会を逃した。14…f4 なら引き分けになっただろう。15.exf4 なら 15…Rbe7+! 16.Kf1 Rxf4 17.Rxa7 Re3! でよい。

15.f4 Rg7 16.Kd3 Rge7 17.Ra1 Rg7 18.Kd4 Rg2 19.R6a2 Rbg7

 19…Rgg7 の方がもっと頑張れただろうが、しょせん負けである(分析は各自にまかせる)。

20.Kd3! Rxa2 21.Rxa2 Re7

 何をしても無駄である。21…Rg1 なら 22.Ra6! Rd1+ 23.Kc2 Rh1 24.b5 Rxh5 25.Rxc6+ Kd7 26.Ra6 で白の楽勝になる。

22.Rg2 Re6 23.Rg7 Re7 24.Rg8 c5

 黒は破れかぶれである。ポーンを守り切れないことは分かっている。

25.Rg6+ Re6 26.cxd5+ Kd7 27.Rg7+ Kc6 28.Rxa7 Kxc5 29.Rf7 黒投了

(この章続く)

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チェスの基本(093)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

29.2ルークとポーンの難解な收局(続き)

例61

 本局は1913年ニューヨークでのカパブランカ対ヤノフスキー戦である。

 黒は二重cポーンのために不利で、さらに悪いことには …b6 と突くととたんに白に b4 と突かれるので突くわけにいかない。白はこのことに基づいて作戦を立てる。まず黒のクイーン翼ポーンの進攻を止め、それから自分のキングをe3に持ってくる。そして時が来れば d4 と突き、最後は e5 または g5 と突いてポーン交換させてe列でパスポーンを作る。手順を追えばわかるがこの作戦は実際に実行されそれにより白が勝勢になった。白の指し手は勝ちを期待したe列でのパスポーン生成の可能性に基づいている。

1.g4

 時機が来れば g5 と突く用意を整えた。

1…b6

 黒は次に 2…c5 と突きたいのだが、白はもちろんそれを防ぐ。

2.b4! Kb7

 このキングは危険にさらされているキング翼に来るべきである。

3.Kf2 b5

 この手は 4…Kb6 から 5…a5 と突いて …axb4 と取る目的で、自分のルークのために素通し列を作り白のキング翼での進攻を止めるためにクイーン翼で反撃をちらつかせることができる。

4.a4! Rd4

 もちろん 4…bxa4 と取ると黒のクイーン翼のポーンはすべて乱れて孤立し、白はどちらのルークでもa列に回して容易にポーンを取り返すことができる。

5.Rb1 Re5

 黒はまだ …c5 と突きたいのだが白が再びそれを防ぐのは容易にわかるので、本譜の手は実際重大な手損である。黒はキングをすぐに反対側に持ってくるべきだった。

6.Ke3 Rd7 7.a5

 白の戦略的な作戦の前半はこれで達成された。黒のクイーン翼のポーンは実際上は固定されている。

7…Re6

 7…Rxf5 なら 8.gxf5 で白の中央が強大化する。それでも黒にとって一番可能性があったかもしれない。

8.Rbf1 Rde7 9.g5 fxg5 10.Rxg5

(この章続く)

2014年10月21日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(094)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

29.2ルークとポーンの難解な收局(続き)

例61(続き)

 (再掲)

 白の戦略的な作戦の後半はこれで達成された。得られた優勢が勝つのに十分な程度かどうかを見極めることが残っている。白にはパスポーンがあるし、キングは盤央で威張っていて白ポーンの前進を助ける用意ができているし、必要とあればc5の地点に行ったり危急のときにはキング翼に駆けつける用意もできている。さらにはルークの片方で素通し列を確保している。全体的に白が優勢で、勝つ可能性がかなり高い。

10…Rh6 11.Rg3 Rhe6

 この手は白からの d4 突きを防ぐためである。それとキング翼の2ポーンをあとで使いたくなるかもしれないのでルークをそれらの前に置いておかないようにした。

12.h4 g6 13.Rg5 h6

 白は 14.h5 突きを狙っていた。黒はついにはそれを取らされ、そのあと白は黒の孤立ポーンに対してルークを重ねて取ってしまうか黒のルークを完全に縛りつけてしまう。それでも本譜の手は白を利するだけである。だから黒はじっと待つしかなかった。13…Re5 はあまり助けにならない。白は 14.Rf8 Re8 15.Rxe5 と応じるまでで、黒がどちらのルークを取っても白の楽な試合になる(変化は各自で注意深く調べて欲しい)。

14.Rg4 Rg7 15.d4 Kc8 16.Rf8+ Kb7

 16…Kd7 はあまり助けにならないが、前手の顔を立ててそう指すべきだった。

17.e5 g5 18.Ke4 Ree7 19.hxg5 hxg5 20.Rf5 Kc8 21.Rgxg5 Rh7 22.Rh5 Kd7 23.Rxh7 Rxh7 24.Rf8 Rh4+ 25.Kd3 Rh3+ 26.Kd2 c5 27.bxc5 Ra3 28.d5 黒投了

 以上のような收局すべてで勝つための戦術は相手のルークを1個または複数のポーンの守りに縛りつけておくことだけで、こちらのルークは動きが自由だった。これは試合のどの段階にも等しく適用できる一般原則である。その意味するところを一般的な用語で表すと

 相手の捌きを邪魔しながらこちらの捌きを自由に保て

 もう一つ非常に重要なことがあって、それは勝つ側には好きなように手段を実行できる一般的な戦略の作戦が常にあるが、負ける側には作戦が全然なくてただその時の必要によって駒を動かしているだけということがよくあるということである。

(この章続く)

2014年10月22日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(095)

第1部

第5章 收局の戦略(続き)

30.ルークとビショップとポーン対ルークとナイトとポーン

 ここではルークとビショップとポーン対ルークとナイトとポーンの收局を分析する。ルークがときには既出の收局と同様に用いられることがあることが見られる。

例62

 本局は1907年のラスカー対マーシャルの世界選手権戦第1局(ラスカーの黒番)である。

 この局面は黒の手番である。初心者には引き分けの局面に見えるかもしれないが、上級者は黒が勝つ可能性が非常に高いことにすぐ気がつく。それは黒が主導権を持っているからだけでなく、白のクイーン翼が展開されていなくてこのような局面ではビショップの方がナイトより有利だからである(第14章を参照)。白がルークとナイトを戦いに投入するにはしばらく手数がかかる。黒はそれにつけ込んで優位に立つことができる。黒には二つの針路がある。最も明らかでほとんどの選手が選ぶのは、ビショップによるa6でのチェックと必要ならば黒ルークとを連動させて、ポーンをc5からc4へとすぐに突き進めることである。黒の選んだのは別のもっと巧妙な針路だった。それは前出の收局と同じ手段でルークを活用することで、白にいつも何かを守らせ白のナイトとルークの動きを制限しそれと同時に自分のルークとビショップの動きを自由にしておいた。

1…Rb8

 この手は 2.b3 と突かせてその地点を白ナイトが使えないようにするためである。

2.b3 Rb5

 この手はルークでキング翼のポーンを攻撃して白キングを防御のためにそちらに行かせ、それにより間接的に黒のクイーン翼のポーンをもっと安全にするためである。

3.c4 Rh5 4.Kg1 c5

 注目すべきは白ナイトの動く範囲が非常に制限されていて、5.Nd2 のあと白自身のポーンが邪魔になることである。

5.Nd2 Kf7 6.Rf1+

 このチェックは何の役にも立っていない。黒キングに行きたい所に行かせているだけであり、結果として大悪手である。すぐに 6.a3 と突くのが最善手だった。

6…Ke7 7.a3 Rh6

 戦力と陣形で有利になっているクイーン翼に攻撃を移す用意をした。

8.h4 Ra6

 このルークの捌きは前出の收局で見たのと似通っていることに注意して欲しい。

9.Ra1 Bg4

 黒ナイトの動きを麻痺させてキング翼全体を固定している。

10.Kf2 Ke6

 白はこの手に対して 11.Nf3 と応じられない。なぜなら 11…Bxf3 から 12…Ke5 で黒ルークのf6でのチェックを止められないのでeポーンが落ちるからである。

11.a4 Ke5 12.Kg2 Rf6 13.Re1 d3 14.Rf1 Kd4

 これで黒キングが白のポーンを攻撃してすぐにすべてが終わる。

15.Rxf6 gxf6 16.Kf2 c6

 これはただ白の手を枯渇させるためである。白はついにはキングかナイトを動かさなければならなくなる。

17.a5 a6 18.Nf1 Kxe4 19.Ke1 Be2 20.Nd2+ Ke3 21.Nb1 f5 22.Nd2 h5 23.Nb1 Kf3 24.Nc3 Kxg3 25.Na4 f4 26.Nxc5 f3 27.Ne4+ Kf4

 これが最短の勝ち方である。白は投了すべきである。

28.Nd6 c5 29.b4 cxb4 30.c5 b3 31.Nc4 Kg3 32.Ne3 b2 黒投了

 本局はこのような收局の指し方の絶好の例だった。

(この章終わり)

2014年10月23日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(096)

第1部

第6章 進んだ布局と中盤

31.ポーンについての特筆点

 布局と中盤の局面の議論に戻る前に、ポーンの形に関する事項を少し心に刻むのが良いかもしれない。ポーンの形は手順を理解するのに役立つことは間違いなく、布局の戦型の目的や中盤の捌きの目的を理解するのにも役立つことがある。

例63

 図の局面で黒ポーンの形は極めて悪い。c7のポーンは完全に出遅れになっていて、白はこの弱点に対して素通し列に戦力を集中できるかもしれない。白にはc5の地点も支配していて、白駒がここに陣取ればどかされることがない。黒はそれを取り除くには交換するしかないが、必ずしも容易なことではなく、可能ではあっても適切ではないことがよくある。同じことは黒のe、fおよびgポーンについても言えて、これらは黒のf6の地点にいわゆる「空所」を作っている。このようなポーンの形はいつも災難につながるので避けなければならない。

(この章続く)

2014年10月24日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(097)

第1部

第6章 進んだ布局と中盤(続き)

31.ポーンについての特筆点(続き)

例64

 図の局面では白の中央のポーンが攻撃的な態勢で黒の中央のポーンは守勢的な態勢と言えるかもしれない。このようなポーンの陣形はフランス防御に現れる。このような局面ではたいていキング翼にキャッスリングする黒キングに対して白は f4 から f5 と突いて壊滅させようとすることがよくある。黒はこれを防ぐために、そして主導権または戦力得を得るためにも、…c5 と突いて反撃の構えを見せ、(白が c3 と突いてd4のポーンを守ったとき)…cxd4 と取りd4の白ポーンに対して駒で集中攻撃する。これは白の黒キングに対する直接攻撃を麻痺させるための、白の中央に対する断固たる攻撃と言って良いかもしれない。本書の初めの方で述べたように「中央の支配はキングに対する攻撃の成功に必須の条件である」ことは記憶しておかなければならない。

 理論的には2個または3個のポーンは同じ段に並んでいるとき最も強いと言えるかもしれない。それゆえに中央のポーンはd4とe4に並んでいるときいわば最強である。だからどちらかを5段目に進める問題は、最も注意深く考えなければならない問題である。どちらかのポーンを突き進めるのはその後の針路を決定することになることがよくある。

 別の考えるべきことは1個以上のポーンが単独または対で孤立しているときである。パスポーンは非常に弱いか強いかのどちらかで、弱さまたは強さは突き進むにつれて増し、それと同時に盤上の駒の数と直接関係していると言えるかもしれない。この最後の点については一般に「パスポーンは盤上の駒の数が減るにつれて強さが増す」と言えるだろう。

 これらのことすべてをしっかり覚えておいてここからは布局と中盤戦に戻る。実戦を初めから終わりまで一般原則に従って注意深く分析する。可能ならば常に自分の試合を用いる。これは要点がよりよく表れているからではなく、何を考えていたのか完全に知っているので他者の試合よりも自信をもって説明できるからである。

(この章続く)

2014年10月25日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(098)

第1部

第6章 進んだ布局と中盤(続き)

32.ルイロペスからの進展の可能性

 布局の戦型と中盤の捌きは解説したばかりの初歩的な原則のいくつかに基づいていることがよくある。それは次の試合にもよく見てとれる。

例65

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O Nxe4 6.d4 b5 7.Bb3 d5 8.dxe5 Be6 9.c3 Be7 10.Re1 Nc5 11.Bc2 Bg4 12.Nbd2 O-O 13.Nb3 Ne6

 ここまではルイロペスの非常によく知られた戦型で、実際1912年パリでのヤノフスキー対ラスカー戦の手順でもある。

14.Qd3 g6

 ここから仮想の手順で白が適当なときにナイトの一つをd4に動かすことにより両方のナイトを交換させ、そのあと両方のビショップも交換させ、次図のような局面に到達したものとする。(ポーランドのウッチでの対局で非常に似た局面になったことがある。私の白番で、サルべに率いられた相談チームとの対戦だった。)

(この章続く)

2014年10月26日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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チェスの基本(099)

第1部

第6章 進んだ布局と中盤(続き)

32.ルイロペスからの進展の可能性(続き)

例65(続き)

 (再掲)

 ここで気づくのは黒の出遅れcポーンである。黒はこのポーンをc5に突くわけにはいかない。このような局面は理論的に負けであると言ってよいかもしれない。実戦では一流のマスターは必ずと言ってよいほど黒に勝つ。(私自身のことを言わせてもらえば前述の私の試合は私が勝った。)

 もう少し手を進めれば局面は簡単に次図のようになるだろう。

 黒駒は固定されていると言える。白が Qc3 と指せば黒は …Qd7 と応じなければならない。さもないと Rxd5 でポーンをただ取りされる。そして白が Qa3 とクイーンを戻せば黒もまたa6のポーンを取られないように …Qb7 とクイーンを戻さなければならない。だから黒は白の手に従って指すしかない。このような状況で白はポーンをf4とg4へ容易に突いていくことができ、黒は …f5 と突いて白の f5 突きを止めることを強いられる。そしてついには次のような局面になるかもしれない。

(この章続く)

2014年10月27日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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第1部

第6章 進んだ布局と中盤(続き)

32.ルイロペスからの進展の可能性(続き)

例66

 (再掲)

 この状況から試合は次のように続くかもしれない。

1.gxf5 gxf5 2.Qf3 Qd7

 白は 3.Qxd5 でポーン得を狙っていた。黒が 2…Rf8 と指せなかったのは 3.Rxc6 で少なくともポーン損になるからである。

3.R5c2 Rg6 4.Rg2 Kh8 5.Rcg1 Rcg8 6.Qh5 Rxg2 7.Rxg2 Rxg2 8.Kxg2 Qg7+ 9.Kh2 Qg6 10.Qxg6 hxg6 11.b4 以下白勝ち

 さて、上図の局面で黒の手番とし、1…Rf8 と指したとしよう。それなら白は単純に 2.Qf3 のような手でfポーンを守り、そのあとキングをg3まで持ってくる。そして適当な時機に上の例のように敵陣突破を図る。白は次のような局面にさえ到達できるかもしれない。

(この章続く)

2014年10月28日 | コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

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